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ゆっ~くり道草北國街道を歩く-25ー2

姨捨山人さん
姨捨山人 さんのブログ[カテゴリ:寄り道散歩
2021.7.5 18:20
 信濃町役場入り口、十字路の通りの反対側に、自然石に彫られた「従是戸隠山道」の道標。明暦三年(1,657)に建てられたこの道標は戸隠神社奥社・中社に向かう信仰の道であり、旅人にとっては「小玉古道」や牟礼宿を通らず善光寺に向かう道でもありました。

 その役場玄関前には、こんな句がありました。題は「豊秋(とよのあき)」です。「外ヶ濱」は昔の津軽半島の陸奥湾を指します。今も「外ヶ浜町」が存在します。北は外ヶ浜、南は鬼界島まで日本全国豊作で、落穂も拾わない程だと詠んだのでしょうか。
   日本の
     外ヶ濱まで
        落穂かな
 (ひのもとの そとがはままで おちぼかな)

 役場信号から街道を100mほど行ったところに「柏原宿本陣跡」。柏原宿の中央には松並木と町用水があり、本陣の前に高札場がありました。今も当時の石燈篭と切石が残っています。代々「中村六左衛門」を名乗り、本陣には、御門や御殿が設けられ、御殿の天井には、加賀藩の紋所「梅鉢」の格天井で飾られていたそうです。


 家の角と電柱に挟まれて一茶の句碑があります。心で感じてもらうのが一番と思っています。
   露の玉
    一つ々に
      故郷あり

 郵便局の前に「ふるさと記念切手」発行時に建てたもので額面80円ですが今は84円。終焉の土蔵と「痩せがえる まけるな一茶 これにあり」のデザイン、判官(ほうがん)びいきの日本人の心理、自身でも何でそうなのか分かりません。

 俗にいう金のなる木やサボテンに囲まれて、一茶にそばの句は沢山ありますが、この発句はあまりなじみのない句碑。いろいろな書物には一茶の時代、信州のそばは名物だと書かれていますが、私見ですが庶民は、山地故、米は多くは採れず仕方なくそばを食べていたように思えます。今では皆さん蕎麦を有難くいただく時代になりました。
   そば所と
     人は云う也
        赤蜻蛉
蕎麦の白い花のジュータンに赤蜻蛉、さりげない風景を一茶はこう詠みました。しかし、深堀すれば白い蕎麦の花は北信濃の大雪の白さが頭に浮かんでいたのではと「人は言う也」の言外(げんがい)にあるように思います。

 聞きたくもない蕎麦談議です。「赤椀に 竜も出さふな そば湯かな 」本場の打ち立てそばのゆで汁「そば湯」は濃くトロトロしています。箸でかき混ぜると渦を巻いた雲の中から龍が出そうだと詠んでいます。「江戸店や 初そばがきに 袴客 」新蕎麦で作った香り高い蕎麦がきには袴姿の侍までもそば屋の暖簾をくぐる様子も詠んでいます。初物好きの江戸庶民も競って新そばを食べたのでしょう。
ちなみに、当時のそばの値段は十六文、2×8は16ゆえに「二八蕎麦」と言われていました、江戸っ子のしゃれ好きが垣間見れます。値段が二十文を越える頃から、そば粉八、小麦粉二の呼び名に変わったという説がありますがはっきりしません。

 蕎麦は穀類の中でビタミンB1,B2が一番多いと聞いています。動脈硬化や高血圧に薬効のある「ルチン」は蕎麦だけに多く含まれています。ビタミンやルチンは水に溶けやすいため、蕎麦を食べた後、蕎麦湯を飲んでください。
長野県が長寿日本一なのも蕎麦が一役買っているのかもしれません。
落語好きの方は蕎麦といえば「時蕎麦」を思い出すかもしれません。一茶の時代にはもうこの演目があったようです。
https://www.nikkoku.co.jp/entertainment/sobajiten/020.php
 一茶の菩提寺「終北山明専寺」の本堂と鐘楼。鐘楼のそばに「明和の鐘の碑」がありましたが、戦時中に供出を免れた鐘であるかは確認できませんでした。本堂の前には幼い頃を思い出して晩年の句と思われる句碑がありますが、6歳の弥太郎(一茶の幼名)が詠んだと思った方が夢があります。
   我と来て
     遊べや
       親のない雀   六才 弥太郎
 昔読んだ一茶の本に「親のない子はどこでも知れる、指をくわえて角に立つ」が妙に心に残っています。



 明専寺を出てしばらく歩くと、右側に茅葺の民家の鍛冶住宅(旧中村家)があります。家の中に鍛冶場があり、防火のために土天井となっていること、親方が座る横座の後ろに風を取り入れる腰窓があること、仕事始めの一月二日につくる剣が柱に飾ってあることなどの特徴が見られます。全国的にみてもほとんど残されておらず、昔の鍛冶屋の様子を今に伝える貴重な住宅といえます。敷地内には一茶の碑があります。野鍛冶は包丁や農具など雑多なものを手がける鍛冶屋のこと。白い霜の降りた寒い朝、野鍛冶の打つ火花が飛び散っている美しい情景です。
   朝霜に
    野鍛冶が散火
         走る哉
 此処の主中村与平は手作業にこだわり、動力ハンマーを導入せず、妻フデの向鎚によって鉄を打ちました。 また、燃料にはコークスを用いず、昔ながらの松炭を使い、鞴(ふいご)で火床(ほど)に風を送り、火を起こしました。
そのためここには明治以前の、まさに童謡「村の鍛冶屋」に歌われた光景の古い形の鍛冶場が残されました。



 また少し歩くと左側に「村の鍛冶屋」の♪しばしも休まず槌打つ響き…♪の歌碑。説明板に由来が書かれています。野鍛冶「中村与平」を彷彿とさせる歌詞です。


 説明板の横にこんな句碑がありました。下総の流山に滞在していた旧暦正月の句と思われます。ぽかぽか陽気で昨日までなかった茶屋が今日は「美味しいよ!美味しいよ!」と店を開けている情景でしょうか。
   陽炎や
    きのふは見へぬ
         だんご茶屋

 宿場はずれの「打刃物展示館」の玄関脇に句碑がありました。50才を過ぎた晩婚の一茶が、初めて子をもった喜びが感じられる句でありますが、その子は二歳の誕生を迎えぬまま、早逝しています。
   庭の蝶
    子が這へばとび
         はへばとぶ


 梅雨の晴れ間をぬって街道を歩いていますが、なかなか一日中晴れという日がありません。7月からは講座も始めましたので、ますます間隔が空きますがご容赦ください。今年、雪の降る前には北國街道出雲崎まで完歩したいと思っています。
信々亭ジャムしょうく@スズジイ@酔どれアンコウコキリコ四つ葉ゆりのきtopkatホテイラン 27人がいいねと言っています
コメント
柚月さん
柚月 さんのコメント
2021.7.6 11:52
姨捨山人さん♪ こんにちは♪

二八そばのお話は知りませんでした。
ずっとそば粉八、小麦粉二と思ってましたが
それ以前のことは。。。

一茶って家庭的には恵まれなかったところが
多い方だったのですね。
それゆえ、詠まれた句も庶民的で情愛のある句を詠まれたのでしょうね。
2人がいいねと言っています
姨捨山人さん
姨捨山人 さんの返信コメント
2021.7.6 19:31
柚月 さん
こんばんは
丁寧に読んで頂けたようでありがとうございます。
私の話は殆どが受け売りで、自分の考えは極わずかでお恥ずかしい限りです。
大好きな一茶の句をもう少し書こうと思っています。お嫌いでなければまたお読みください。
2人がいいねと言っています
チャコさん
チャコ さんのコメント
2021.7.5 20:39
長野というより信州という呼び名に親しみがわきます。 
一茶がいかに信州を愛し、そばに親しみをこめて俳句を詠んだかがわかる気がします。

私は、一茶といえばこの童謡がすぐ浮かびます

一茶のおじちゃん 一茶のおじちゃん
あなたのうまれは どこですの
ハイハイ 私のうまれはのー
信州信濃の 山奥の
そのまた奥の 一軒家
すずめとお話し してたのじゃ

一茶のおじちゃん 一茶のおじちゃん
おなたのおうたを 聞かせてね
それでは歌って みましょかのー
私が小さい ときじゃった
おせどの畑で ひとりきり
母さん思うて よんだうた

われときて あそべや 親のないすずめ
われときて あそべや 親のないすずめ

一茶のおじちゃん 一茶のおじちゃん
信州信濃は どんなくに
ハイハイ 信州信濃はのー
大雪小雪の 山のくに
春が来たとて まだ寒い
すずめもふるえて おりますじゃ
1人がいいねと言っています
姨捨山人さん
姨捨山人 さんの返信コメント
2021.7.6 7:52
チャコ さん
おはようございます。
私も一番だけは正確に歌えますが、後はうやむや。最後までお書き頂き有り難うございます。
先日柏原の一茶記念館裏にこの歌碑が一番だけ刻んであるのを見つけたばかりです。
小学校の頃、教室にこの歌が流れていたのを思い出していたところでした。さっきのこともすぐ忘れるのに、老いぼれると何故か昔のことだけが鮮明に思い出されます。
0人がいいねと言っています
しょうくさん
しょうく さんのコメント
2021.7.5 19:15
今晩は、じっくり北国街道眺めさせていただきました。
出雲崎だけはお単独で行ったことがあり、歩いた記憶があります、でも、40年くらい前の事です、楽しみに待ってます。
1人がいいねと言っています
姨捨山人さん
姨捨山人 さんの返信コメント
2021.7.5 20:27
しょうく さん
こんばんは。今回もお読み頂き有り難うございます。
今、新潟県へ入ったばかりです。行程の半分をちょっと過ぎたところだろうと思います。
寄り道ばかりしているので、なかなか先に進めません(>_<)
期待に沿えるか分かりませんが頑張ってみます。
1人がいいねと言っています
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