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諒観さんの投稿

田舎教師 田山花袋

諒観さん
諒観 さんのブログ[カテゴリ:明治文学
2017.8.13 10:02
      十六

 暑いある日の午後、白絣しろがすりに袴はかまという清三の学校帰りの姿が羽生の庇ひさしの長い町に見えた。今日月給が全部おりて、懐ふところの財布が重かった。いま少し前、郵便局に寄って、荻生君に借りた五十銭を返し、途中で買って来たくず餅を出して、二人で茶を飲み飲み楽しそうに食った。「どうも、これも長々ありがとう」と言って、二月ほど前から借りていた鳥打とりうち帽を取って返した。
「まだいいよ、君」
「でも、今日夏帽子を買うから」
「買うまでかぶっていたまえ、おかしいよ」
「なアに、すぐそこで買うから」
「足元を見られて高く売りつけられるよ」
「なアに大丈夫だ」
 で、日のカンカン照りつける町の通りを清三は帽子もかぶらずに歩いた。通りに硝子がらす戸をあけ放した西洋雑貨商があって、毛糸や麦稈むぎわら帽子が並べてある。
 清三は麦稈帽子をいくつか出させて見せてもらった。十六というのがちょうどかれの頭に合った。一円九十銭というのを六十銭に負けさせて買った。町の通りに新しい麦稈帽子がきわだって日にかがやいた。
hanatoriあかつき 2人がいいねと言っています
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