あのね
もしかしたらね、みんな魔法に掛かってるのかもしれないって思う

拾ってきた猫が可愛いと思うのは、その猫に、あなたは私を可愛いと思いなさい、と言う魔法
姉の家に居た猫なんて、年寄りと言う事もあったけど、私が見ても美人じゃないのに美人だって言うし

次男の患者会だって
別に私が二十年も世話人をする必要なんてなかったのに
私がそれをするようにと言う魔法、この魔法は誰の魔法なのかな
終わってみたら、こんなにラクチンなことはなくて
ああ、もしかしたら、夫の妹の魔法かなあ
寝たきりの妹が、言葉も無くした妹が、患者会をするように、私のことを参考にするようにって、魔法を掛けたのかもしれない

夫との結婚だって、この園芸店を辞めるためにはこの人と結婚すれば辞められるという魔法

この家から出たら生きていけないんだぞ、だからほとんどイヤミしか言わないような夫でも一緒に居てニコニコ笑っていなさいと言う魔法

だから魔法が解けたとき、みんなが言うような荷下ろし症候群とか、空の巣症候群なんてなくて、ケロッとしたもので

じゃあ、もう良い歳なんだから、もっと良い方向の魔法に掛かりたいな

この人は必要な人だ、ただ笑っているだけで良い、というような簡単で苦労のない魔法が良いな

みんなきっと、それぞれの魔法に掛かっていて、しなければいけないと思うようにされてる

でも、魔法に掛かっていても、小さな隙間はあって、その隙間で大切に育てた思いは、きっときっとあると思うから
だから私は、いろんな魔法が解けた後でも、こうしていられる、ありがたい思いを知ってる

八百万の神さん、ありがとう＾＾