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飛鳥藤原京の山河意匠

いのうえさん
いのうえ さんのブログ[カテゴリ:読書感想
2019.2.9 17:10
「飛鳥藤原京の山河意匠」
木庭元晴著、昨年3月、関西大学出版部発行。
下記はつたない感想です。

専門書である。
厳密で正確、
真実を極めようとする研究者の情熱に圧倒される本。

だが、私のような素人でも、充分に楽しめる。
特に、飛鳥時代に関心のある人には、おすすめの本。

6世紀末の推古期に、天の北極信仰は導入されていた。

隋書の倭国伝の有名な文
「倭王は天を以て兄となし、日を以て弟となす・・・」の主意は、
隋と同じように、我が国も天の北極を尊みつつ治世をなす、隋と同等の先進国であるプライドの現れ。

また、天武記に採用された天皇という名称も、もともと、天文学や占星術の発達で
北極星が神格化されたもの。

北極星は、時代と共に変わっていく。
漢の時代は、こぐま座のβ星。
現在は、こぐま座のα星。

北極星の移り変わりを含む天体観測の学は漢時代には完成していた。
飛鳥時代、日本でも正確な観測が実施されている。
推古28年に、オーロラが観測され、
推古36年に、皆既日食を観測という日本書紀の記述がある。

推古期には、法興寺(飛鳥寺)、法隆寺、四天王寺などの大伽藍や
大規模な道路や水路が建設され、その施工に天文や土木の高度な算術が使われている。

著者は、藤原宮の立地の由来について述べている。
藤原宮の中心点(大極殿院と朝堂院の境界をなす大極殿閣門の中心点)は、
主要道路(中ツ道、下ツ道、横大路)から正確に等距離にある。
そして、肝心な点は、
大和三山から、垂心の位置にあること。
(現在の高い精度で測れば約100mズレているというが、器具が劣る時代を考えればすごい)

大和三山は、東方三神山(蓬莱、えいしゅう、方丈)に見立てられている。
「万葉集」巻1の52番歌「藤原宮御井歌」では、
大和三山に護られた藤原宮に関わる持統天皇の山見の儀式が描かれている。

この歌は、春の歌。
春分時には、持統天皇による、太陽を山頂の真上にみる山見が可能となる。
持統9年の春分はグレゴリオ暦3月18日。当時の暦では2月25日。
天香山と畝傍山は、どちらも太陽神話の山(神武天皇記から)。
その儀式をよんだ歌が「藤原宮御井歌」
詳しくは、本に当たってください。

私には、初めて知るような事柄ばかりで、
さすがに、学の浅い小生、少し荷が重い感想になりました。

しかし、著者の信念は、本の文字をたどるだけでも、
研究者の魂が迫ってくる迫力があります。

飛鳥時代の暦、天文学、測量や観測技術、万葉集や日本書紀の理解、
すべてに習熟していないと、真髄はとても理解できないと感じた。

木庭さんは、すごい本を書いたと、ただただ脱帽いたしました。
海食崖 1人がいいねと言っています
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