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2.江戸の浮世絵師たちとその作品

大人のための趣味道ガイド

第3回「浮世絵」

2.浮世絵師たちとその作品

現在は美術館などでしか見る機会のない浮世絵ですが、本来は大衆文化の一部として娯楽本や瓦版の挿絵、玩具絵など、気軽に手に取って眺められたものです。
ブームに乗ってたくさんの絵師が誕生しましたが、その中から頭角を現した絵師が素晴らしい作品を残しています。

このコーナーでは、皆さんも名前をご存知の人気絵師をピックアップして、その代表作、話題作をご紹介します。

葛飾北斎(1760-1849) 「富嶽三十六景」

「富嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)」は、葛飾北斎の代表作にして、浮世絵風景画の代表作。「神奈川沖浪裏」や「凱風快晴」は、余りにも有名です。このシリーズは天保初年ごろより、西村永寿堂から出版されました。
初め、題名の通り36図出版されましたが、非常に好評であったため、後から10図が追加され、最終的に46図のシリーズになりました。(当初の36図を「表富士」、追加の10図を「裏富士」と呼びます。)全図に富士山が描かれていますが、46様それぞれの個性的な富士山の姿は、いつまでも見飽きることがありません。

葛飾北斎は、様々なジャンルの浮世絵を手がけ独自の画風を確立していったものの遅咲きで、北斎の名を不動のものとした「富嶽三十六景」を手がけたのは70歳を過ぎてからです。46枚全ての絵にいろいろな場所から見た富士山が描かれ、遠近法や透視図法による大胆な構図が、この時代において信じられないほど素晴らしいです。

歌川広重(1797-1858) 「東海道五十三次」

品川から京都まで、新幹線で2時間強。しかし江戸時代、人々は江戸日本橋から京都まで、約500kmの東海道をおよそ2週間かけて旅しました。日本橋、京都、そしてその間に設けられた53の宿駅を描いた浮世絵のシリーズ「東海道五十三次(とうかいどうごじゅうさんつぎ)」。この全55図の大作を描いたのは、浮世絵風景画の巨匠、歌川広重です。広重は、東海道を描いたシリーズを、生涯に20種類以上制作していますが、天保4年(1833年)に保永堂から出版された「東海道五十三次」は、日本美術史上に名を残す永遠のベストセラーとなりました。

歌川広重は、幼少より絵を好み初めは美人画や役者絵を描いていましたが、しだいに数々の情緒溢れる風景画を得意とし、人気絵師として名を馳せました。日本橋から京都までに設けられた53の宿駅を描いた浮世絵のシリーズ「東海道五十三次」は、お茶漬け海苔のおまけカードとしても馴染みのある味わい深い作品です。

喜多川歌麿(1753-1806) 「深川の雪」

「深川の雪」 喜多川歌麿の幻の浮世絵が66年ぶりに一般公開
戦後まもなく行方不明になっていた「幻の浮世絵」が66年ぶりに一般公開されることになった。江戸時代の浮世絵師、喜多川歌麿の代表作として知られる「深川の雪」が、2012年から国内の古美術商で保管されていたことが、NHKの取材で分かったという。

浮世絵の黄金期に、美人画絵師として活躍した歌麿。町娘や遊里の女性たちを魅力的に描き、浮世絵美人画の第一人者としてその名を知らしめました。
「深川の雪」は縦2メートル、横3.5メートルと巨大な肉筆の浮世絵で、この春「幻の浮世絵発見!」と話題になりました。神奈川県箱根市の岡田美術館で、2014年4月4日から6月末まで一般公開されています。

東洲斎写楽(生没年不詳)「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」

明快で迫力がありながら、どこか違和感のある絵。東洲斎写楽(以下、写楽)である。なぜか酒場の類に写楽という店が多い。“しゃらく”を辞書で引いてみれば、洒落・灑落とあり、物事に頓着せず、さっぱりとしてわだかまりのないこと。「洒落に生きる」などと使うのだそうだ。洒落臭いという形容詞も意味深げだ。写楽のイメージは、洒落の語感と重なり興趣が宿る。

彗星のごとく浮世絵界に登場し、わずか10ヶ月の期間に140数点に及ぶ浮世絵を世に送り出し、忽然と姿を消した謎の浮世絵師、写楽。役者の欠点までをも独特のデフォルメによって描き、見る者に強烈なインパクトを与えます。この記事では写楽の魅力を分析し、代表作「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」の見方を解説しています。

歌川国芳(1797-1861)「東都三ツ股の図」

江戸時代の浮世絵師が「東京スカイツリー」を予知していた…かどうかは分かりませんが、驚くことに、新しく開業の電波塔にそっくりの“謎の塔”が、隅田川を描いた風景画に残されていました。作者は、大胆な構図や奇抜な発想で人気の浮世絵師 歌川国芳(1797~1861年)

北斎、広重、歌麿、写楽という四大絵師の江戸情緒あふれる作品とは一線を画す歌川国芳の作品は、パワフルな武者絵やユーモラスな戯画で大衆に大人気でした。鯨や骸骨、化け物などが描いたダイナミックな作品もあれば、無類の猫好きで猫を擬人化した作品もあり、かと思えば「寄せ絵」という顔を人間の体で表現する絵もありで、そのバラエティにとんだ作風は破天荒でユニークです。また「東都三ツ股の図」は、江戸時代に東京スカイツリーの建設を予言していたのでは!?と話題になりました。



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