冬に起こる突然死!「ヒートショック」の原因や対処法とは
冬になると話題になるのが「ヒートショック」による突然死。
寒い浴室から熱いお湯に浸かることで発生する、ということはなんとなく知っている方も多いのではないでしょうか?
冬はヒートショックをはじめ、さまざまな病に注意しなければならない季節。
これらを防ぐためにはどのような対処法が有効なのでしょうか?
今回は冬に多い「ヒートショック」をご紹介いたします。
冬は高齢者の死亡率が高い季節
厚生労働省が発表する月別死亡率によると、夏よりも冬の方が死亡率が高いことがわかります。
インフルエンザなどの病気はもちろんですが、寒さや寒暖差で血圧への影響が大きいことも関係しているようです。
その一方で夏の危険度も相対的に増してきているようです。
実際に夏と冬の死亡率を比較すると、徐々に差が縮まりはじめています。
とはいえ、毎年12月〜2月にかけては死亡数が急増します。
一体どのような理由があるのでしょうか?
平成24年のデータを見てみると、年間死亡数の約28.4パーセントが12月〜2月に集中しています。
最も死亡数が少ない6月〜9月は約22.5パーセントなので、差は約6パーセント。
人数にすると7万4,586人にも及びます。
相当な差があることがわかりますよね。
実際に内科は冬が繁忙期だといいます。
風邪、インフルエンザ、呼吸器疾患などを訴え、受診する人が増加するのだとか。
また、年末にかけ、飲食の機会が増加するため、暴飲暴食を起因とする胃痛を訴える人も多いのだとか。
寒さと血圧
このほか、冬に気をつけたいのが血圧です。
冬は寒さの影響で、夏よりも血圧が高くなりがちに。
実際に高血圧を理由に受診する人も多いそうです。
高血圧状態を放っておくと、心筋梗塞などの心疾患の原因にもなりますし、寒暖差で血圧の急上昇・急降下があると心臓に負担をかけ、突然死にもつながってしまいます。
いくら薬を飲んでいたとしても、冬場は相対的に血圧が高くなってしまうもの。
また、暖かい室内に入ると通常の血圧に戻るため、どうしても血圧の上下幅が広くなってしまいます。
外出するときはなるべく暖かい服装を心がける、帰宅するときはなるべく寒暖差を小さくするよう工夫する、ということを徹底するのが冬の高血圧対策に有効な手段だといえそうです。
このほか、冬は相対的に乾燥する季節。
空気が乾燥すると皮膚トラブルも起こしやすくなるだけでなく、インフルエンザや風邪、肺炎の原因ウイルスや細菌なども活性化します。
室内が乾燥しないよう、加湿器を動作させるなどの工夫が必要だといえるでしょう。
ヒートショックのメカニズム。サウナ、朝風呂、長風呂、熱いお湯は危険?
さて、本題のヒートショックについて、まずはヒートショックとはどのような病気なのかを見ていきましょう。
ヒートショックは急激な温度差が原因で引き起こされる、肉体的なショック症状のこと。
ヒートショックによって失神、心筋梗塞、脳梗塞にまでつながることがある恐ろしい病気なのです。
ヒートショックを引き起こしやすいのは一般的に身体の弱い高齢者といわれており、特に冬場の発生率が高くなっています。
日本ガス石油機器工業会のホームページによると、外気温が低くなる12月から1月は、最も少ない8月と比較すると11倍も患者数が多いのだとか。
暖房の効いた暖かい部屋から冷たく寒いことが多い浴室で熱いシャワーを浴びるのはとても気持ちよいもの。
長年こうした習慣を続けている方もいるでしょう。
しかし、温度変化が急すぎると、血圧は一気に上下し、全身の血管の異変が起きます。
お風呂に入るとき、服を脱いで裸になりますよね。
脱衣所が寒いと、ブルブル震えながら浴室に向かうかと思います。
寒さから解放されるため一刻も早くシャワーを浴びるか、浴槽に浸かりたいものです。
しかし、ヒートショックは10度以上の温度差があると発生すると医学的には考えられているので、いきなり熱いお湯を浴びたりすると危険です。
必ず温度計、水温計などで温度を確かめておきたいところですね。
ヒートショックの原因
ヒートショックのメカニズムは、服を脱いで裸になることで寒くなる、つまり血管が収縮し、血圧が急上昇します。
血圧が過度に上がった状態でお湯に浸かることで、さらに血圧が上昇。
しかし、周りは暖かいので血管は拡張しだし、今度は突然血圧が下がっていきます。
こうした血圧の乱高下は心臓によくありません。
心臓に強い負担をかけ、ヒートショックを招いてしまうのです。
実際に年間約1万人がヒートショックで死亡しており、未だ増加傾向にあるようです。
ヒートショックによる心筋梗塞、脳梗塞、脳卒中、不整脈などが直接の原因ではなく、失神から溺死、転倒で死亡するケースもあるようなので、温度差には充分配慮したいところ。
ヒートショックになりやすい人
ヒートショックは身体の弱い高齢者に多く見られる症状です。
一般的には65歳以上の男女は、いくら今まで病気に罹ったことがない、という健康体であってもリスクを抱えています。
特に高齢者はお風呂の設定温度が高いことが多いので、浴室と脱衣所の温度差が10度以上にならないよう、本人はもちろん、家族も注意が必要です。
高齢者だけでなく、糖尿病、高血圧などを患っている人も要注意。
コレステロール値が高い、メタボリックシンドロームの人なども血圧の乱高下でヒートショックを引き起こしてしまうことがあるので要注意です。
また、晩酌後の入浴もリスクを高める要因。
お酒を飲む前にお風呂に入るよう、習慣を改めたいところです。
肉体はもちろんですが、ヒートショックは住まいの問題から発生することもあります。
現代的なお風呂であればあまりありませんが、タイル張りのちょっと昔の窓があるお風呂の場合、熱が非常に脱げやすいため、浴室が寒くなりがちです。
築年数が経っている物件の場合、隙間風が吹いたり、断熱材が入っていなかったりするので、身体が冷えて入浴のとき、温度差が大きくなってしまう傾向にあります。
家を改築できれば良いですが、現実的ではないので、脱衣所に簡易的なヒーターを置くなどして対策をしっかりと行いましょう。
ヒートショックは万全の対策を
対策をしっかりと行っていれば完全に安全、というわけではありませんが、何も対策を行わないよりも、しっかりと対策を行っておいた方がヒートショックのリスクは小さくなります。
どのような対策が有効なのでしょうか?
水分補給
まず予防法として有効なのが水分補給です。
入浴することで汗をかき、必然的に体内の水分が減ってしまいます。
体内の水分量が減ると、血がドロドロになってしまうのです。
ドロドロの血は血栓ができやすく、血圧が上がると脳梗塞や心筋梗塞の原因にもなってしまうため、しっかりと水分を取って、血液をサラサラな状態にしましょう。
ゆっくり温まる
高温のお風呂でサッと烏の行水、という人もいるかもしれません。
しかし、高温の場合、ヒートショックのリスクが高くなってしまうので、38度〜40度程度のぬるめのお湯から入り、徐々に温度を亜画定期魔性。
長風呂はNG
長風呂派の方も多いでしょう。
しかし、ヒートショックという観点から考えると、長風呂はNGです。
長湯をしてしまうと、それだけ心臓に負担がかかり、疲労感も増してしまいます。
お風呂に入ったはずなのに疲れてしまう原因になるわけですね。
また、血圧が下がりすぎてしまい、お風呂を出た後血圧が急上昇する恐れもあります。
長風呂派の方は、少しだけ入浴時間を短くしましょう。
このほか、浴槽から急に立ち上がらない、浴室に手すりをつけるといったことも重要です。
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