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アルコールスプレーや消毒ハンドジェル。どこまで効果があるの?

ウイルス予防のために、外出のときや外出から家に戻ってきて消毒アルコールで手や服など、清潔に保つよう心がけている人も多いのではないでしょうか?
マスクだけでなく、消毒用アルコールの品薄で消毒用ではないアルコールを代わりに使ってしまう人も少なくないそうです。
本日は消毒用アルコールについて御紹介します。

アルコールが殺菌するプロセスは?

画像提供:imagenavi(イメージナビ)

参考:花王 アルコールと殺菌の話
https://www.kao.co.jp/pro/hospital/pdf/08/08_05.pdf

そもそもなぜアルコール類を殺菌に利用しようと思ったのか?

これは、相当古い時代に始まると考えられています。

現代において多くの場所でも生体消毒剤、機材や環境消毒剤としてアルコールは使用されています。
さらに食品分野においても、原料や製品の保存剤として、また製造現場の清浄剤として、幅広く活用されています。

家庭においてもテーブルを拭くときに利用したり、まな板の除菌目的で利用したりするなど、アルコール消毒は業者だけではなく家庭でも広く用いられていますよね。

殺菌や消毒用として用いられるアルコールはエタノール、イソプロパノールが主。
アルコール類の殺菌効果は、炭素鎖長が長いほど、疎水性が強くなればなるほど強くなります。
炭素鎖長が10以上になると水に対する溶解性が減少しその効果は減少。

そのため、消毒用としてはエタノールが広く用いられているのです。

殺菌に有効なアルコール濃度とは?

では、エタノールにはどのぐらいの殺菌効果があるのでしょうか?

エタノールの殺菌効果は40パーセントあたりから急激に現れ始め、70パーセントで最大の効果を示すと言われています。
70パーセント以上のエタノールを用いたとしても、常温での効果は中・高濃度の場合と変わらないそうです。
また、0℃以下ではエタノールの疎水基同士の結合によって、細菌に対して作用しづらくなるそう。

その一方で、40パーセント以下の低濃度のエタノールであっても、作用する時間を延長することができれば、一定以上の殺菌効果が期待できるそうです。
この場合は30パーセントで30分、20パーセントで数時間という長い時間が必要になるみたいですね。

高濃度エタノール殺菌剤の特徴は、殺菌スピードが速いこと、様々な微生物に対して有効であること、耐性菌ができないこと、残留性がないこと、特性が比較的少ないこと、有機物共存下でも効果の減少が少ないこと、といったことが挙げられます。

しかし、細菌の芽胞に対しては殺菌効果がない、低濃度の状態では殺菌効果があまりない、揮発によって濃度が低くなりやすい、可燃性がある、という欠点もあります。
そのためエタノールを殺菌用として使用する場合は、こうしたメリット・デメリットをしっかりと理解した上で使用しましょう。

アルコール殺菌のメカニズム

アルコールの殺菌メカニズムについては、様々な研究が進められていますが、詳細については今もなお明らかになっていません。
様々な研究が行われ、様々な報告が行われているので、ここではその一例をご紹介いたします。

中低濃度アルコールの場合、細胞質膜に変化を生じ、核酸、アミノ酸、リン酸、カリウム、マグネシウムなどの菌体内物質が漏出すると同時に、菌体内への栄養成分の取り込みも阻害されることから、菌が飢餓状態になり死滅に至ると考えられています。

高濃度アルコールの場合は、細胞膜、タンパク質などが破壊され、変性を受けるために、急激な菌の死滅が起こるという説が認められています。
この時、溶液中のエタノール分子は水素結合、疎水結合によりポリマー様構造を形成しており、さらに水分子と会合することで、大きな疎水性表面を持つクラスターを形成していることが報告されています。
このクラスター構造は、究極では分子組成比がエタノール:水=1:1、つまり重量で70パーセントの溶液となっていることから、70パーセントのエタノール溶液が最も殺菌力が高い、と言われるわけなのです。

アルコールとエタノールの違い

画像提供:imagenavi(イメージナビ)

エタノールと似たような名前の物質に、「メタノール」がありますよね。
どちらもなんとなくアルコールを含んでいる、というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
しかしそれぞれにどのような違いがあるのか。
そのことを説明できますか?

エタノールとは

エタノールは、「エチルアルコール」の国際化学命名法での呼び名。
つまりアルコールの一種です。
日本酒では酒精と呼ばれるのがこのエタノールです。

大きな特徴は、アルコール類の中では唯一、飲んでもあまり害にならない点。
もちろん飲みすぎると人体に害を与えますが、少量であればあまり外にはなりません。

ここまでもご紹介している通りエタノールの性質として一番大きいのは殺菌作用。

この他、水にも油にも混ざりやすいという性質があり、幅広く様々な汚れを除去する能力が高いのです。
キッチンなどの油汚れを除去するだけではなく、カビ対策をする上でも非常に効果を発揮します。

ちなみにエタノールにもアレルギーがあり、消毒液を使った時に発疹やかゆみ、化粧品による肌荒れ、といった自覚症状で発覚することが多いですが、あまり目立った症状がないため、見過ごされがちなのが特徴です。

このほかエタノールは揮発性が高いため燃料としても利用されています。

メタノールとは

ではメタノールとはどのようなものなのでしょうか?

メタノールはアルコールの一種で、「メチルアルコール」と呼ばれます。

エタノールと異なりメタノールは体に害のある物質。
さらに、毒物劇薬取締法で劇物として指定されている危険な物質なのです。
どの位危険かと言うと、純粋なメタノールだと30グラムから100グラムほどが致死量なのだか。
ほんの一口で死んでしまうというわけです。

またメタノールが神経に作用することが知られており、仮に治療に達しないほどの量を摂取したとしても、失明をしてしまったり、嘔吐をしてしまったり、といった危険性があるのです。

そんな劇物のメタノールですが、日本においてはランプの原料として用いられることが最も多いでしょう。
大変危険な薬品ですが、意外と身近なところで用いられているのです。

殺菌に一番効果的な方法は?手をしっかりと洗うことが重要

画像提供:imagenavi(イメージナビ)

殺菌効果の高い濃度70パーセントのエタノール。
しかし、新型コロナウイルスが流行っている影響からか、なかなか手に入れることができませんよね。

せっかくウイルスに対しても有効で、殺菌効果が期待でき、気軽に利用できるエタノール。
エタノールがない場合は、どのように新型コロナウイルスから身を守れば良いのでしょうか?

エタノールは万能ではない

アルコール消毒をしているからウイルス対策は大丈夫というわけではありません。
適切なタイミングできちんと手洗いをすることが求められるのです。

その際は石鹸を用いて指の間、爪の間、手の甲、手首、可能なら肘まで、しっかりと泡立てて洗うことか大切です。

この他、換気も重要だと言われています。
1日に何度か、できれば1時間に10分ほど窓を2箇所だけ空気を通すようにすると、部屋の空気が入れ替わり、病気にかかりにくくなる、という研究もあります。
もしもマスクや、消毒用のアルコールが手に入らなかった、という方はしっかりとした手洗い、室内の換気、この2点を心がけて生活を送ってみましょう。

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