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口内環境でもフレイルが起こる?色んな病気をもたらす「オーラルフレイル」を予防するためには?

みなさんは「オーラルフレイル」という言葉を聞いたことありますか?
年齢を重ねるにつれて、口腔内が脆弱になってしまう症状のことをいいます。
歯や歯茎が弱くなることで、身体の至るところで悪影響をもたらすそうです。

どんな症状が「オーラルフレイル」に該当するのでしょうか?
どのように治せば良いのでしょうか?

本日はオーラルフレイルについてご紹介します。

オーラルフレイルとは?

画像提供:imagenavi(イメージナビ)

「フレイル」について、スローネットではたびたびご紹介してきました。
すでにご存じの方も多いかと思いますが、まずは改めてフレイルについておさらいしましょう。

フレイルとは?

フレイルは健康と要介護状態の中間の状態のこと。

フレイルは身体の状態だけでなく、社会との関わりを含む日常生活全般を見つめ直すことで改善することができます。
厚生労働省研究班の報告書によると、「加齢とともに心身活力が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」だと定められています。

フレイルの基準とは?

フレイルの基準は次の5つ。

  • 体重減少(ダイエットなどではなく、年間4.5kgまたは5%以上)
  • 疲れやすい(何をするにも面倒だと週に3、4日感じる)
  • 歩行速度の低下
  • 握力の低下
  • 身体活動量の低下

フレイルは体重減少や筋力低下といった身体的な変化だけでなく、気力の低下などの精神的な変化や社会的な変化も含まれるのが特徴。
見た目だけではフレイルかどうか、確実にわかるものではない、というのが大きな特徴です。

フレイルになってしまうと、死亡率の上昇や身体能力の低下も併発します。
老人性うつと誤認されやすいこともあり、とても気をつけなければならない病気なのです。



フレイル状態に陥いると、風邪をひいただけでこじらせて重症化(肺炎など)してしまったり、慢性的なだるさを起因とする転倒、転倒したときに打ち所が悪ければ打撲や骨折をしてしまうことも少なくありません。

このほか、入院をきっかけに一気にボケてしまった、歩けなくなってしまった、という話を聞いたり、身近にそういった人はいますか?
フレイルは入院をきっかけにして発症することもあります。

入院することでこれまでの住環境が変化します。
環境の変化に対応できず、一時的に認知症状(自分がどこにいるのかわからなくなる)が発現したり、自分の感情をコントロールできなくなる、といった症状も報告されているのです。

転倒や打撲、骨折で入院すると、寝たきりになってしまうこともあるので、周囲が注意深く様子を見ておく必要があります。

簡単フレイルチェック

両手の親指と人差し指でひとつの輪を作り、ふくらはぎを囲む。
このとき、隙間ができてしまう場合は要注意。

このフレイルチェックを作った東京大学高齢社会総合研究機構の飯島教授は、ふくらはぎが細い人ほどフレイルの度合いが進んでいるといいます。

実際に千葉県柏市で約2000人を対象に実施した調査では、隙間ができる人の総死亡リスクが輪っかでふくらはぎがつかめない人の3.2倍。

これはあくまで簡易テストですが、ふくらはぎが細い人はフレイルを特に気をつけなければならないでしょう。

オーラルフレイルとは?

では本題のオーラルフレイルについて見ていきましょう。

オーラルフレイルは口腔機能の軽微な低下や食の偏りなどを含んでおり、フレイルのひとつ。
東京大学高齢社会総合研究機構の辻哲夫特任教授、飯島勝矢教授らの大規模な健康調査などの厚生労働科学研究によって示され、この研究をきっかけにさまざまな検討が進められている最中です。

オーラルフレイルとは、健康と機能障がいの中間。
フレイルは治療や適切な関与をすれば改善が見込めますが、オーラルフレイルも可逆的であることが特徴です。
早めに気がつき、適切な対応をすることで、健康な状態に近づけることができるのです。

オーラルフレイルのはじまりは滑舌が悪くなったり、食べこぼしが増えたり、むせてしまうことが増えたり、噛めない食品が増える、口腔内が乾燥する、といった年齢を重ねれば誰にでも起こりうる些細なこと。
そのため、余り気がつきにくく、知らぬ間に症状が進行してしまう恐れがあるのです。

フレイルも同様ですが、オーラルフレイルは共食など社会性を維持することが重要。
多岐にわたる健康分野に社会性が関与することがわかっているのです。
オーラルフレイルも通常のフレイルと同様に社会性が非常に重要です。
オーラルフレイルの場合、特に歯や口腔機能の健康と密接な関係があると言われています。
歯周病や虫歯などで歯を失ってしまった場合、適切な処置を早急に受けることはもちろんですが、定期的に歯科医院に通院し、歯や口の健康状態を専門医にチェックしてもらうことで、オーラルフレイルを予防できる可能性が高くなります。

厚生労働省と日本歯科医師会は1989(平成元)年から「8020運動」を実施しています。
これは80歳までに20本以上の歯を保ち、自分の歯で噛んで食べられることを目指した運動。
開始当初は8020達成者はわずか数パーセントでしたが、現在は50パーセント以上になっているといいます。
日本歯科医師会は「8020運動」などをさらに発展させるべく、東京大学高齢社会総合研究機構などさまざまな機関と連携し、「オーラルフレイル」という新たな考え方を加えて、健康長寿をサポートすべく、発信・啓発を行っています。

オーラルフレイルについてはまだまだ研究途上。
新たな知見やエビデンスの追加が今後さらに必要になります。
まずはしっかりと口のなかの環境を見直してみませんか?

>>次ページ 誤嚥性肺炎などオーラルフレイルが身体に及ぼす病気や影響は?

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コメント
  1. 口腔フレイルについて詳しく説明されていてとても参考になりました。自身このような状態を自覚していたので歯科医院への通院で診察、治療を受けています。ドライマウス、ドライアイを気にしていますので
    唾液腺をマッサージしたり、入浴の時にパタカラ体操をしたり、舌の運動も試みています。日常の習慣にしていきたいものです。

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