「食の欧米化」でも死亡リスクは低下　がん研、食事パターン調査の意外な結果

「健康」「欧米」「伝統」の3つを比較

不健康な食生活になっているという意味で、「食の欧米化が進んでいる」と言われることがしばしばあります。

伝統的な和食へと改善したほうが健康的であるとも思われていますが、国立がん研究センターが日本人の食事パターンを長期間追跡したところ、肉やパン、コーヒー、乳製品などをよく食べる「欧米型」の食事でも死亡リスクが低下していることがわかりました。

調査は全国10か所に住む40～69歳の男女約8万人を90年代から追跡調査している「多目的コホート研究（JPHC研究）」の一環として行われたものです。まず、8万人を代表的な食品134種類の摂取量の多さによって、

1. 健康型：野菜や果物、いも類、大豆製品、きのこ類、海そう類、脂の多い魚、緑茶などが多かった食事。
2. 欧米型：肉類・加工肉、パン、果物ジュース、コーヒー、ソフトドリンク、マヨネーズ、乳製品などが多い食事。
3. 伝統型：ご飯、みそ汁、漬け物、魚介類、果物などが多かった食事。

の3つの食事パターンに分類しています。

毎日ハンバーガーやピザを食べればいいという話ではない

調査ではそれぞれの食事パターンの頻度や食品の摂取量によって「食事パターンスコアが低い」「普通」「高い」「とても高い」に分類。調査期間中のがん死亡、循環器疾患死亡、心疾患死亡、脳血管疾患死亡との関連を分析しました。

その結果、「健康型」の人はスコアが高くなるほど全死亡リスク（すべての死因を含めた死亡リスク）が低下しており、がん以外の病気での死亡リスクも約30～40％低下していました。

さらに「欧米型」でも「健康型」ほどではありませんが各死亡リスクが10～20％程度低下しています。意外なことに「伝統型」は死亡リスクとの関連が確認されませんでした。

この結果について、国立がん研究センターは発表の中で欧米型は一般的に健康的ではないと考えられていることを認めつつ、その摂取量には日本人と欧米人で大きな差があると指摘。コーヒーや牛乳、乳製品などが持つ健康に好ましい効果によって、他の食品の負の効果が打ち消されリスクが低下したのではとしています。

ただし、今回の調査は食品数や被験者の年齢が限定されており、同センターも「研究結果を慎重に解釈すべき」とコメント。毎日ハンバーガーやピザを食べればいいという話にはならないようです。

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