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いずれは無人コンビニエンスストアが誕生するかも?コンビニ営業時間短縮の問題を考える

日本はコンビニ大国だと言われています。
大手チェーン店だけでも、セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、デイリーヤマザキ、Newdays、セイコーマート、ポプラなどがあり、日々私たちの暮らしを便利にしてくれています。

多くのコンビニエンスストアは24時間営業を基本としていますが、昨今の人手不足の問題などで営業時間を短縮する動きが広がってきていることをご存知の方は多いでしょう。

そこで今回は、コンビニエンスストアの未来について考えていきます。

コンビニの営業時間見直し問題はなぜ起きた?

コンビニの営業時間見直し問題はなぜ起きた?

画像提供:imagenavi(イメージナビ)

日本にコンビニエンスストアが何店舗あるかご存知ですか?

業界団体である日本フランチャイズチェーン協会が公開している資料によると、2017年度のコンビニエンスストア数は5万7,956軒もあるそう。
1983年度はわずか6,308軒、2012年度でも5万206軒だったことを考えると、30年近くで急増していることがわかります。

2019年4月時点でもっとも店舗数が多いのは、セブン-イレブンの2万925軒。
次いで多いのがファミリーマートで1万5,503軒、その後を追うのがローソン1万4,671軒となっています。
ここからグンと数が下がり、ミニストップは2,183軒、デイリーヤマザキは1,460軒、Newdaysは1,203件、セイコーマートは1,189件という結果になりました。

コンビニチェーン店としてはセブン-イレブンが2018年1月末で2万件を突破。
いまやいたるところにコンビニエンスストアがある状態です。

便利なコンビニですが、今年に入ってから問題が本格的に顕在化したのが「営業時間の見直し」。
発端となったのは東大阪市のセブン-イレブンの店主が人手不足を理由に、営業時間を短縮したこと。
営業時間短縮を独断で行った結果、セブン-イレブン本部に契約解除と違約金1,700万円を請求されたことから問題が表面化しました。

セブン-イレブンの店舗は98%がFC(フランチャイズ)。
セブン-イレブン本部と店との契約は「年中無休で連日24時間開店」が盛り込まれています。
そのため、加盟店には営業時間の裁量がないのです。
そんななか、2019年2月27日、セブン-イレブン店主らの組合「コンビニ加盟店ユニオン」はセブン-イレブン本部に対し、営業時間の柔軟化を求める交渉申し入れ書を提出しました。
セブン-イレブン本部は3月4日に、24時間営業の見直しに向けた実証実験を本部直営の10店舗で実施することを表明しましたが、FC店の参加なしではデータの客観性に欠けるという批判を受け、FC店も加える方向で検討に入るなど、どうにも後手後手な印象は拭えません。
3月6日にも交渉を申し入れたコンビニ加盟店ユニオンの酒井委員長は記者会見で、「コンビニは住民票や印鑑証明などの発行、緊急災害時の相談を含め、社会インフラとしてなくてはならない存在になっている。しかし、サービスが増える一方でアルバイトの人件費や水道代などの経費は加盟店負担。アルバイトの時給も昨今は高騰しているので、本部に相応の分担をしてもらわないとやっていけない。店主の多くは精神的、肉体的、経済的にも限界に達している。現行のコンビニのシステムを変えていかないとコンビニ自体が継続できない状況になってしまう」と話しました。



セブン-イレブンなどコンビニ加盟店の経営は、店舗の売上高から商品原価を差し引いた粗利を本部と分け合う収益構造になっています。
分け合った利益から人件費、水道光熱費、食品廃棄ロスを引いた残りが儲けになるわけで、コンビニオーナーの年収は平均で551万円(平成22年3月調べ)ですが、年収200万円代という人も多いのだとか。
それに対し、本部が受け取る粗利割合は4割~6割となっているそうです。

24時間営業するFC店は深夜に人が来なくとも、アルバイト代、水道光熱費は発生し、営業するだけ損するケースも多いことが考えられます。
また、近年はアルバイト代の上昇傾向。
リクルートジョブズの調べでは、2007年1月のコンビニアルバイトの平均時給は三大都市圏で928円でした。
しかし、2019年3月では1,044円にまで上昇しているそうです。
1人あたり100円以上上昇していることを考えると、人を雇い続けるのも苦労しそうですよね。
コンビニアルバイトの業務は年々煩雑化しているため、より時給が高く、より楽に稼げる業種へと人材も流出していっていることが考えられるでしょう。

利益を最大6割持っていき、オーナーだけが苦労するコンビニの24時間営業。
一体なぜコンビニは24時間営業をやめられないのでしょうか?

コンビニは24時間営業をやめられない?営業時間を短縮できない理由とは

コンビニは24時間営業をやめられない?営業時間を短縮できない理由とは

画像提供:imagenavi(イメージナビ)

セブン-イレブンも当初の強硬な態度から一転し、短縮営業の実証実験をはじめたのには「人手不足」という根本的な問題があるからでしょう。

コンビニ業界に限った話ではなく、外食産業や建設業界など多くの業界で人手不足が叫ばれています。
単純にきつい、給料が安いから応募が少ない、という問題だけでなく、少子高齢化や人口減少も人手不足の一端を担っています。

コンビニの場合は留学生や定年後の高齢者などを働き手として採用していっていますが、それでも増え続ける店舗数に対して人材は大きく不足しています。
賃金をあげてもアルバイトを集めるのは難しい現状にあるようです。
人件費向上は本部ではなく、FC店の負担となります。
給料を上げて募集をしたくても、今以上に利益が上がらなければ採用することができない。
こうした構造的な問題をコンビニFC店は抱えているのです。

では、なぜ24時間営業にこだわるのでしょうか?
朝7時からよる11時までの文字通りセブン-イレブンの営業時間にすれば深夜帯分の人手は不要となり、いくらか人手不足も楽になりますよね。
しかし、24時間営業を崩せないのは収益的損害が大きいためだといいます。

現在セブン-イレブンの平均日販は66万円。
66万円の内、5万円前後が夜間での収入だと言われています。
全国に2万店以上あるセブン-イレブンとしては、1日あたり6億円もの利益は無視できない金額だと言えるでしょう。



10年前にはローソンが時短営業の実証実験を行いました。
その結果は夜の収益減だけでなく、昼も収益が減るという結果になりました。
また、日経新聞によるとセブン-イレブン全店が24時間営業をやめた場合、最大1割の連結営業利益が減るというデータもあるのです。

そのため、コンビニ本部としては何が何でも24時間営業を続けてほしい、というのが本音でしょう。

このほか、物流網にも問題があります。
コンビニは1日に7、8回商品が納入されます。
朝方販売する商品は夜中や明け方に納入されるのです。
商品を受け取り、並べるためには現状深夜に人がいなければなりません。

深夜営業をやめた場合、搬入の問題もクリアしなければならないのです。
利益が上がらなくなり、物流網が乱れる可能性があるコンビニ24時間営業。
やめられるのなら、やめたいけれど…というのが本音かもしれませんね。

アメリカでは無人コンビニがスタート?将来的には無人コンビニがスタンダードになるかも

アメリカでは無人コンビニがスタート?将来的には無人コンビニがスタンダードになるかも

画像提供:imagenavi(イメージナビ)

一方のアメリカでは無人コンビニがスタートしていました。

アメリカ・シアトルに本社を構えるAmazonは無人店舗「Amazon Go」を出店。
店舗にレジはなく、商品を手に取るだけで購入することができるのが特徴です。
天井のカメラやセンサーなどで商品状況を把握し、ICチップで補完する仕組みを用いているよう。
棚から取り、一度はカバンに入れたけれどまた棚に戻したら、それもきちんと認識してくれるようです。
決済はAmazonのアカウントに紐付けられたクレジットカードから引き落とされるようになっています。

この仕組が日本でも導入可能なら、将来的には人手不足の問題はある程度解決できるでしょう。

現在の日本のような過剰サービスを求められていない、アメリカのコンビニならではの仕組みとも言えるのではないでしょうか?

2019年5月9日の報道によると、無人キャッシュレス決済が売りの「Amazon Go」も結局は現金決済可能となり、有人対応し始めているそう。
今後コンビニエンスストアがどのように変貌していくのか、注目ですね。

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