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20年ぶりに紙幣を刷新!新紙幣はいつから流通する?なぜ紙幣を変える必要があるの?

2019年4月9日の閣議後の記者会見で、麻生太郎財務大臣が新紙幣デザインの発表を行いました。
突然の発表に驚いた方も多いのではないでしょうか?
1週間ほど前には新元号「令和」が発表されたこともあって、ワクワク感がありましたよね。

新紙幣は5年後の2024年から使用されるようになるそうです。

では一体なぜ紙幣を変える必要があるのでしょうか?
また、なぜ5年も前に紙幣デザインを発表する必要があるのでしょうか?

紙幣のデザインに変わる理由とは?

>紙幣のデザインに変わる理由とは?

画像提供:imagenavi(イメージナビ)

日本で初めて発行されたお札は、江戸時代にそれぞれの藩が発行した「藩札」だといわれています。
藩札は各藩主が承認に協力を得て、自藩内のみで使用できる通貨として発行された地域通貨。
それまで江戸時代は江戸幕府が金貨や銀貨などを発行していましたが、1661年に福井藩ははじめて藩札を発行したことで、明治維新直前まで、244もの藩で藩札が発行されていました。

しかし、当時は藩の財政が厳しかったため、流通することへの影響なども考慮せず、無計画に藩札を発行してしまうことが多かったそう。
そのため、藩札の信頼性がなくなり、価値が暴落(インフレ)するケースも少なくなかったそうです。

明治時代に入ると明治政府が「政府紙幣」を発行。
このほか、各地の国立銀行が「国立銀行紙幣」を発行しました。
しかし、当時混迷を極める日本国内の状況から、市民の生活に根付くところまではいかなかったそう。
1877年には紙幣を発行しすぎたため、物価が急騰するといったトラブルもありました。

現在の「紙幣」。
つまり「日本銀行券」が発行されたのは1885年(明治18年)になってから。
初めて発行されたのは「拾円券(10円券)」で、大黒天の絵が描かれていました。
大黒天の絵柄が描かれていたことから、市民からは「大黒札」と呼ばれていたそうです。
当時の紙幣はこんにゃくの粉を混ぜ、紙幣としての丈夫さを保つなど、さまざまな工夫が施されていたそう。
しかし、こんにゃく粉を混ぜてしまったため、ネズミや虫に食われるケースも多く、数年後に新紙幣に変わっていったそうです。

現在までに53種類の「日本銀行券」が発行されてきました。
現在でも過去に発行されてきた紙幣を含み、22種類の銀行券を利用することが可能なようです。
使用できるのは、以下のとおりです。

  • 福沢諭吉の一万円札(平成19年発行停止)
  • 聖徳太子の一万円札(昭和61年発行停止)
  • 新渡戸稲造の五千円札(平成19年発行停止)
  • 聖徳太子の五千円札(昭和61年発行停止)
  • 夏目漱石の千円札(平成19年発行停止)
  • 伊藤博文の千円札(昭和61年発行停止)
  • 聖徳太子の千円札(昭和40年発行停止)
  • 岩倉具視の五百円札(平成6年発行停止)
  • 岩倉具視の五百円札(昭和46年発行停止)

これらの日本銀行券は現在でも使用可能です。
このほか百円券や五十円券、十円券、五円券、一円券なども使用することが可能だそう。
しかし、あまり古い紙幣はお店でも本物かどうか担保できないので、受け取ってもらえないかも知れませんね。



ざっと紙幣の歴史を振り返ってみましたが、懐かしく感じた方も多いのではないでしょうか?
今は見かけなくなった五百円札も平成6年まで発行されていたのですね。

さて、ここまで見てみると、発行停止になった年数にある程度の共通性が見えてきます。

1984年→2004年→2024年(※予定)とこのようにおおむね20年毎に新紙幣の発行が行わているのです。

なぜ新紙幣をある程度のサイクルで発行しているのでしょうか?
その理由のひとつが偽造防止の強化だと麻生大臣は説明しました。
これまでも20年毎に偽造防止を主目的として紙幣のデザインは変更が行われてきたそう。
印刷技術の向上に伴って、信頼ある銀行券を維持するためには、万全の偽造対策を行わなければなりません。
だからこそ、定期的に20年毎にデザインを変更し、偽造されないようにしていっているのですね。

2024年に発行される新紙幣ではいくつかの新要素が盛り込まれています。
1つ目が見る角度によって肖像画の立体画像の向きが変わって見えるホログラムを導入。
紙幣にホログラムを導入するのは世界で初めてだ、ということで、より強い偽造対策への意識を感じます。
2つ目は記番号の桁数変更。
従来9桁だった記番号が10桁に変更になります。

キャッシュレス化が急速に進んでいますが、まだまだ現金を使用する人が多い日本。
新紙幣の偽造防止をすることで、銀行券への信頼を高める狙いがありそうです。

一体なぜ5年も早く告知するの?

一体なぜ5年も早く告知するの?

画像提供:imagenavi(イメージナビ)

今回の銀行券変更は「1万円札」「五千円札」「千円札」と、貨幣の「500円玉」。
2000円札は流通量が少ないため、据え置きになるそうです。

直近で銀行券が変更になった2004年はいつ頃告知されたのでしょうか?

2004年の日本銀行券変更に伴う告知は平成14年(2002年)8月2日に行われました(※外務省プレスリリースより)。
新紙幣発行の2年前ですね。
このときは五千円券が樋口一葉、千円券が野口英世になり、新たな紙幣へのワクワク感が高まりました。
じつはこのとき、5000円券が1ミリ短くなっていたそうです。

今回の告知を見てみると、なんと5年も前。
なぜ5年も前に告知を行ったのでしょうか?

新紙幣の準備はおおよそ2年ほどで終えられるそうです。
そのため、前回の発表は2年前、これから準備を始めます、という告知でした。
しかし、今回は5年前です。



麻生大臣は「たまたまタイミングがあった」と詳しい理由を明らかにしていませんが、「令和」の祝賀ムードを盛り上げる小道具のひとつ、という見方をしている人もいます。
また、1兆2600億円の需要が見込まれることも大きいでしょう。

4月10日の衆院財務金融委員会で、可部理財局長は「日本自動販売システム機械工業会」の資産を挙げました。
ATMや自動販売機などを新紙幣対応させるため、7700億円、新500円硬貨への対応で4900億円、合計1兆2600億円の需要が見込まれるそう。
新紙幣発行である程度の特需は見込まれますが、キャッシュレス化が今よりも進んでいると考えられ、以前の紙幣刷新ほどの特需はないだろうと予想もされています。

5年も早く発表したのは「令和」に乗じ、祝福ムード、政府への支持を高めたかった、と考えるのが自然だといえそうです。

紙幣の人物は誰?このほかに案はあったの?

紙幣の人物は誰?このほかに案はあったの?

画像提供:imagenavi(イメージナビ)

さて、新紙幣に採用されたのは「渋沢栄一」「津田梅子」「北里柴三郎」の3名。
1万円札は久しぶりに券面登場人物が変わりますね。

どのような人たちなのでしょうか?

渋沢栄一は明治維新後、大蔵省に勤務し、第一国立銀行の創設に携わりました。
生涯で日本初の私鉄日本鉄道会社、王子製紙など約500の事業に携わり、一橋大学などの実業教育の普及に尽力した人物です。
「近代日本資本主義の父」とも呼ばれるほど、日本の経済発展に関わった人物。

津田梅子は明治から昭和にかけての教育化。
「日本の女性教育の先駆者」と呼ばれる人物で、6歳で岩倉使節団に加わり、渡米した日本で最初の女性留学生です。
帰国後は女子英学塾(現:津田塾大学)を創立し、英語教育・女性の地位向上・女性の個性を尊重した教育に生涯尽力した人物。

北里柴三郎は明治から大正にかけて伝染病予防などに尽力した細菌学者。
「近代医学の父」とも呼ばれ、世界的細菌学者コッホに師事し、破傷風菌の純粋培養技術や血清療法を開発した人物です。

3名とも生涯に渡り、素晴らしい業績を残しています。
日本銀行券の顔にふさわしい人物だといえるでしょう。

この3名のほかに案があったのかは公表されていませんが、国立印刷局によると「日本国民が世界に誇れる人物」「教科書に載っている」「一般に知られている」「偽造防止の観点から精密な人物像の写真や絵画が入手できる」という条件を満たしていることが紙幣採用の要件だそう。
最近では基本的に明治以降の文化人から選ぶ方針が定着していきます。

新紙幣登場は5年後の2024年。
この機会に過去の紙幣を思い出し、脳の体操をしてみてはいかがでしょうか?

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