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75歳以上の8割が「運転に自信あり」、なくならない高齢者事故について考える

池袋の路上で暴走し母子2人が犠牲になった事故や、大阪市平野区でスーパーの駐車場から出てきた車が男性をはね、そのまま公園に突っ込んだ事故など、70歳以上の高齢者による事故が相次いでいます。
このような事故を背景に、世間では高齢者の運転に関する法的制限措置が必要ではないかとの意見が盛り上がっています。

本日は高齢者事故について考えていきます。

相次ぐ高齢者運転事故、75歳以上の8割が「運転に自信あり」

相次ぐ高齢者運転事故、75歳以上の8割が「運転に自信あり」

画像提供:imagenavi(イメージナビ)

最近の運転免許更新では、「高齢者と自動車運転」というテーマの安全講習もあるそうです。
若いうちから、ある程度の年齢で免許を返納しよう、という思いを持ってもらうことも講習の目的のようです。

現在、70歳以上の高齢者は運転免許を更新する際、「高齢者講習」を受けることが義務となっています。
また、75歳以上は「認知機能検査」も受け、いずれも「問題ない」と判断された場合のみ運転免許を更新できます。

さらに2017(平成29)年3月に改正された道路交通法では、75歳以上の運転者が一定の違反行為をした場合、免許の更新時に限らず臨時の認知検査を受けるよう義務付けられています。

過去記事

【運転免許】70歳以上の義務!『高齢者講習』の検査では何を見る?免許返納の必要性
https://slownet.ne.jp/c/society/post-25928/

高齢者の運転による交通事故を減らす「高齢ドライバー」についての知識
https://slownet.ne.jp/c/society/post-19757/

なかにはこうした厳しい審査を受けるなかで、「思ったよりも衰えている」「事故を起こしやすくなっている」と気が付き、運転免許を更新しない人もいるでしょう。
難しい講習は、こうした気づきを与えてくれる場でもあるのです。

警察庁が発表している「平成30年における交通死亡事故の特徴等について」には交通事故にまつわるデータが書かれています。

平成30年の交通事故死者数は3,532人と減少傾向で、人口10万人あたりの死者数も同様に減少しています。
その一方で、高齢者人口10万人あたりの死者数は全年齢層の約2倍に相当し、高齢者はデータ上で事故率が高いといえることがわかります。

免許返納あるいは完全自動運転、どちらも厳しい現実

免許返納あるいは完全自動運転、どちらも厳しい現実

画像提供:imagenavi(イメージナビ)

運転免許を返納することが「正義」だとすると、その反対が「悪」なのか? というとそうではありません。

高齢者といっても運転する権利があります。運転する権利を守ることも正義なのです。
こうなると、運転免許返納が正しいのかどうか考えてしまいますよね。

極論ですが、自動車は20km/h以上の速度が出ないよう、制限をかけてしまえば、自動車事故による死者数は大きく減ることでしょう。
とはいっても、現実問題なかなか難しいといえるのが悩みどころ。

免許返納だけに焦点を当てると、2018年に運転免許を自主返納したのは約42万1,000人。
このうち、75歳以上は29万3,000人にのぼるそう。
2年連続で40万人を超え、免許保有人口あたりの返納率も上昇しているので、免許返納自体は浸透してきているといえます。

ところが、運転免許を返納しているのは75歳以上の運転免許保有者のわずか5%。
5%しか運転免許を返納していないと考えると、とても低い水準であることがわかりますよね。

だからといって、75歳以上の運転免許保有者から強制的に没収すれば良いのか? というとそうではありません。
この問題についてはしっかりと考える必要があるのです。

そもそも高齢ドライバーが事故を起こさない仕組みができあがれば、運転免許を返納する必要はありません。
そのひとつが「自動運転」でしょう。

国内外で開発が進んでいる自動運転技術が全車両、あるいは高齢運転者の車両に搭載義務となると、事故を起こす確率は低くなるかも知れません。

しかし、2018年3月発表の政府方針によると、自動運転で事故を起こした場合は、車の所有者に賠償責任があるとしています。
自動運転といえど、車任せではなく、人間がきちんとした操作を行わなければならないのです。
では、運転免許を返納しなければならないほど、運転能力(判断力、反射時間など)が衰えた運転者が自動運転に対応できるでしょうか?
この点も考えなければなりませんよね。
また、自動運転に対応した自動車が義務になった場合、購入の費用は誰が負担するのでしょうか?
ただでさえ、安全性能が向上した近代の自動車は価格が上昇しています。
新車を購入することになるので、必ず費用負担が発生してしまうのです。

また、高齢者が運転免許を持ち続ける理由のひとつに自動車に変わるスムーズな移動手段がないという問題があります。
都会であれば公共交通機関が発達しているので移動に困ることは少ないでしょう。
しかし、地方であればあるほど、移動に自動車は欠かせません。
万が一、運転免許を返納してしまえば、1日3本しかないバスを待ったり、1日1往復しかしない電車を待ったりと、今までの生活が大きく変わってしまいます。
この不便を受け入れるのはとても勇気がいりますよね。
運転免許を返納して、公共交通機関が安くなったとしても、その公共交通機関がほとんど走っていないのであれば意味がありません。
実際に75歳以上の返納率で見てみると、1位が東京都で8.0%、2位大阪府7.3%、3位兵庫県6.2%、4位神奈川県6.2%と首都圏が続きます。
下位は茨城県・高知県・山梨県・岐阜県が3.7%で並ぶなど、地方ほど自動車は生活の足として欠かせない現状が見えてきます。

さまざまな問題が複雑に絡んでいるので、一概に運転免許を返納しろ、といえないのが現在の問題でしょう。

高齢者ドライバーにこそ選んでほしい先進安全装備3つ

高齢者ドライバーにこそ選んでほしい先進安全装備3つ

画像提供:imagenavi(イメージナビ)

若い世代と比べ、どんなに自信があっても、確実に運転の能力は衰えていきます。
これは努力によって、能力の低下を緩やかにすることはできますが、年々衰えて行くものです。

だからこそ、万が一事故を起こしてしまった、起こしそうになったときに運転をサポートしてくれたり、他者を守る装備をそろえた方が良いでしょう。
最近の車は事故を未然に防ぐ装備が充実しています。
中古車を購入する場合でも、安全装備付きの自動車を積極的に選びましょう。

具体的な安全装備は「AEB」(衝突被害軽減ブレーキ)、「誤発進制御」、「ブラインドスポットモニター」(BSM)。
これらが装備されている自動車を選ぶと良いでしょう。

とはいえ、すべての人が車を買い換えられるわけではありません。

今乗っている車につけられる安全装備もあります。
例えば、株式会社オートバックスセブンが販売している「ペダルの見張り番Ⅱ」は、ブレーキを踏もうとして、アクセルペダルを強く踏み間違えたときに急発進を防いでくれるという商品です。

全国のオートバックスで販売されており、製品・取付ハーネスや取付工賃込みで価格は40,000円(税抜)なので、安全のため、装着を行う方も増えているようです。
車種によっては取り付けができない場合もあるため、事前にオートバックス各店やHPで確認することをおすすめします。

※適合確認はこちら

オートバックス

自動車事故は自分ひとりだけでなく、人を巻き込むケースが多いモノ。
新車を購入しなければ着けられない装備は、いったん置いておいて、まずは今の車にも装着できる安全装備をつけてみませんか?

コメント
  1. 54歳の失業中に自動車運転免許証を取得して以来25年間、旅行や日常の所用で愛車を運転している。
    昨今の高齢者の事故報道を見聞するたびに、免許証返納を自問するが決断に至らない。”自分は法規を遵守し、安全第一にhandleを握っているから、事故を起こすことはない” との考えが根強い。
    しかし 加齢による体力・判断力の減衰は避けようがなく、何かきっかけがあれば返納も止むを得ないと考えている。高齢者でも体力・判断力に個人差があるので、年齢だけで規制するのはどうかと思う。それより「認知機能検査」と「高齢者講習」の厳格化や、免許証更新の3年を毎年にして、短期間での変化を認知できるようにすべきと考える。また 過疎地での日常生活の不便さを救済する行政施策も不可欠である。そして 自動車業界が安全運転装置の開発、提供を促進してほしい。誰もが安心して運転できる無事故社会の実現のために・・・

  2.  高齢者率が相当の速さで上がってますので、色々な意味で「高齢者」が目立ってきました。最近の自動車事故も残念な結果になっておりますが、我々も、もっと自認すると同時に、「自己変革」を進める必要がありそうです。

     私は、現役時代は中型の乗用車タイプを約40年間、5台ほど乗り継いできましたが、リタイヤ時に今後の考察としたことを列記します。
    1)運転技能には不安は無いにしても、操作や判断のスピードが落ちる。
    2)車の移動は、大きいより小さい方が楽だ。
    3)一度の走行距離は、長距離は減り、むしろ短距離が増えそうだ、そして回数も減るであろう。
    4)運転を満喫するのは相当やってきた。
     などで有り、その結果、今まで乗ったことのない「軽自動車」にしました。そして「自動車運転」に対する「自己変革」に取り組みました。

    【その結果】
    1)標識は今まで以上に良く見えるようになりました。
    2)停止線はきちっと止まり、それから、ゆっくり出る様心がけてます。
    3)車間距離は、普通道路で約10Ⅿ確保し、高速では100mは確保します。空けすぎはないですょ。
    4)スピードは標識に対し5~8kmUPでの走行に心がけています。
    5)ブレーキの踏み込みは回数は増えてます。自分が先頭で、遠目に赤信号が確認できますと停止まで4~5回踏みますか。
    6)標識が見逃(見え難い)しそうなところは、どんどん警察に提案します。これは若いときから同じ  ですが・・・(笑)      等々・・・

     軽自動車の走行距離は、新車からこの12月で満5年を迎えますが、間もなく50.000㎞です。月当たり約880㎞走ってます。 色は目立つ白ですが、キズ一つないぴかぴかです。(笑)

     習慣病の論議の時、良く食生活の話題が出ますが、運転も「食生活と同じにいい意味での「癖」が出るようにしてしまえば、何の厄介さはないですね。

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