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遺言の書き方とは?きちんとした書き方は遺された家族の負担を軽減できるかも

終活を始めるにあたって手を付けやすいのは、遺言書ではないでしょうか?
遺言書を作成する際はきちんとした書き方をしていなければ有効にはならないので注意が必要です。

この遺言書。
死んだ後の資産をどうするかだけでなく、葬儀、法要などの希望を書くことも可能。
生前からしっかりと準備しておくことで、自分の望み通りに行ってもらえますし、家族の負担を軽減することもできます。
遺言書の内容によっては家族に遺せる内容が変わることも。

今回は遺言についてご紹介いたします。

遺言とは何?遺言書には3種類ある!

遺言とは何?遺言書には3種類ある!

画像提供:imagenavi(イメージナビ)

遺言は一般的に「ゆいごん」と読みますが、法律上は「いごん」と読む点はあらかじめ知っておきましょう。

遺言は法的に定められており、被相続人の最終的な意思表示のこと。
生前に遺言を作成しておけば、相続財産の承継などについて、被相続人自身の意志を反映させられます。
最終的な意思表示と行っても死の直前、間際に遺した「遺書」とは異なります。

遺言は被相続人(遺言者)が相続による遺産の承継について、意思を反映させられる唯一の方法。
自分で築いてきた財産をどのように処理するのか。
本人の遺志に沿った形で相続人に配分できるのです。

遺言書を遺しておく必要はまだあって、遺言書を遺しておくことで、相続人間での争いを避けられます。
遺産争いを避ける意味でもしっかりと遺言書を遺しておくのが良いでしょう。

「うちは遺せるものなんかないから…」という方もいるでしょう。
しかし、家庭裁判所などに持ち込まれる遺産分割事件は全体の3割が1,000万円以下となっています。
例えば家1軒を保有している場合は該当しますよね。
多くはこうした分けにくい不動産でもめ事が発生するので、ぜひ遺言を遺したいところです。

遺言の意義とは

近代私法の大原則の「私的自治の原則」は、個人間の権利義務・法律関係にいて個人が、その自由意志に基づいて自律的に決定できる、というもの。
自分が私法上の権利を取得したり、行使したり、私法上の義務を負ったり、義務を履行したりすることは自分で決められる、という原則になっています。
ここでいう私法は「民法・商法など、私人としての利益や関係について規定した法律」のことを指します。

この私法自治の原則から近代私法は派生しており、法律行為自由の原則があります。
なんだか難しそうですが、簡単に言うと生まれてから死ぬまでの間、自分の意思に基づいて自由に法律行為を行うことができるという原則です。



なぜこの原則が重要か、というと「生まれてから死ぬまでの間、自分の意思に基づいて自由に法律行為を行うことができる」という部分が関係します。
この部分をよく読むと、死んでしまえば法律行為を行えなくなる、という意味になりますよね。
法律上、亡くなった人は権利義務の主体ではなくなります。
しかし、自分が築いた財産について、死後は何も影響を及ぼせない、となると自分の意思に反する可能性もあります。
個人の私有財産を保障する私的自治の原則に反する恐れがあるため、個人の権利義務に対する意思は、生存中のみならず死後においても尊重されるのが望ましいでしょう。

そこで、個人の意思を尊重するため、私的自治・法律行為自由の原則を拡張し、個人の法律に関する意思を死後においても効果を持たせるために「遺言」という制度が導入されました。

3種類の遺言書

では、実際に遺言書を作成する上で、適当なメモ書きではいけません。
遺言書には種類がありますので、まずは遺言書の種類をご紹介します。

自筆証書遺言

自分で紙に書く遺言書のこと。
紙とペン、印鑑だけあれば作成可能で、費用もかかりません。
遺言書でもっとも多く利用されていますが、書き間違いがあったり、内容があいまいな場合、無効になることが多いのも特徴です。

公正証書遺言

遺言書を公正証書にしたもの。
公証役場にいる公証人が法律の規定通りに公正証書として書類を作成するため、確実に有効な遺言書を作成できます。

秘密証書遺言

こちらも公証役場で作成するものですが、遺言内容は公証人に知られず作成可能。
亡くなるまで秘密を守りたい、という場合に利用されていますが、あまり使用が多いものではありません。

遺言の正しい書き方とは?死後は必ず検認を。誰に預ける?遺贈、受取人、遺留分、執行者など遺言書に記載したいこと

遺言の正しい書き方とは?死後は必ず検認を。誰に預ける?遺贈、受取人、遺留分、執行者など遺言書に記載したいこと

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さて、3種類の遺言を見てきましたが、みなさんはどの遺言を作成しますか?
今すぐ作成可能なのは自筆証書遺言ですよね。
しかし、自筆証書遺言は書き間違い、法律的に有効でない記載、内容があいまいといった場合、無効となってしまいます。

正しい遺言はどのように書けば良いのでしょうか?

重要なのは「法律要件を満たす」「登記簿などに沿って正確に記載」「遺留分に配慮する」「付言事項を記載」「執行者は必ず指名」という5つのポイントです。

法律要件を満たす

自筆証書遺言の場合、「本文は手書き」「作成日を記載」「署名・押印」というのは必ず守りましょう。
このほか、筆記具は鉛筆やフリクションのような消せるボールペンはNG。
必ず消せないペンで記入しましょう。

登記簿などに沿って正確に記載

財産などの情報は正確に記載しましょう。
細かすぎるかな? というくらい細かく記載する必要があります。

例えば「相続は妻に家、長男に預金」というような表記はNGです。

不動産などの相続の場合、

妻●●(生年月日生)に下記不動産を相続させる。

土地
住所:住所を正確に記載
地番:正確に記載
地目:宅地など
地積:●●平方メートル

建物
住所:住所を正確に記載
家屋番号:正確に記載
種類:居宅
構造:正確に記載
床面積:正確に記載
名称:正確に記載

というように登記簿情報を元に、正確に記載する必要があるのです。

預金などを相続する場合、「長男に●●銀行●●支店の預金●●万円を相続」と記載すると一見良さそうですが、これもNG表記。

長男●●(生年月日生)に下記預金を相続させる。
●●銀行●●支店 普通口座●●●●●●
口座名義 ●●

のように金額を省いた表記がベター。
金額は変動する恐れがあるためですね。



このほか、「その他遺言者に関する一切の財産を●●(生年月日生)に相続させる」と付け加えると漏れがないでしょう。

遺留分

遺族には法定相続人に認められた権利です。
いくら本人が財産の分配を決めたとしても、法的に認められた権利を無視できません。

例えば、配偶者だけにすべてを相続する、ということはできないのです。

妻が2分の1、子が2分の1というのは定められた権利。
もしも遺言で妻だけに相続させる、とあっても不満を持った子が裁判を起こす可能性もあります。
もめ事を増やさないという意味でも遺留分には十分に配慮しましょう。

財産を寄付する、と明言していても、妻4分の1、子4分の1の権利がある点も覚えておきましょう。

付言事項

遺言は正しく書かれていれば何を書いても良いのです。
隠し子がいる、日頃の感謝、葬儀の方法などなんでも良いのです。
しかし、これらすべてが法的拘束力を持つかというと別問題。

例えばこの認知、相続に関する事項、遺贈などの財産処分についての事項、遺言の撤回などは遺言によって法的拘束力を持ちます。
しかし、葬儀の方法などについては拘束力を持たないのです。

そこで意味を持つのが付言事項。
法定遺言事項以外の内容を記したもので、遺言を書いた経緯や家族への気持ちを記すことが多い部分。
付言事項を書くことで、なぜ遺産の分け方の意味、相続人への感謝などを伝えられ、遺言者の意思が伝わりやすくなります。

執行者は必ず指名

遺言執行者は遺言の内容を実現すべき職務を行う人のこと。
名義変更、登記変更、不動産売却などたくさんやることがあります。

あらかじめ執行者を決めておくことで、誰が何をどのようにやるのかが明確になる、というメリットがあります。
もちろん、執行者は弁護士など第三者でもOK。

それでも分からないときは専門家に相談もあり!

それでも分からないときは専門家に相談もあり!

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遺言書の作成は思った以上に手間がかかりますし、法的要件を満たすのがなかなか大変です。

上で紹介した内容以外にも、遺言書は封筒に入れて、しっかりと封印を施す必要がありますし、できれば第三者に保管してもらえればベスト。
これらのことを考えると、プロに依頼するのが一番だといえます。



司法書士、税理士、弁護士、行政書士などのプロに依頼して作成してみましょう。
行政書士は費用も安いことが多いので、あまり費用をかけたくない場合は行政書士がオススメです。

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