遺族年金はいつまで・いくらもらえる?よくある疑問徹底解説
家族を養っていた人が突然亡くなってしまった。
そんなとき、遺族は「遺族年金」を受け取ることができます。
ただし、家族であれば誰でも良い、というわけではなく、一定の条件が設けられています。
遺族年金をもらう条件や金額は、亡くなった人がどのような年金制度に加入していたのか、家族の続柄、年齢といった要素で決定され、簡単に計算できないほど複雑なものとなっています。
もしも遺族年金を受け取る機会が出てきたら。
自分は一体どのような遺族年金等を受け取ることができるのか?
この記事では「遺族年金」について詳しく見ていきます。
遺族年金とは?年金額など気になる疑問
「遺族年金」と一言でいっても、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。
これらは、死亡した人がどのような保険に加入していたかによって異なるので、自分の状況に合わせて考えていくことが重要です。
そもそも遺族年金は社会保障制度のひとつ。
家計を支える人が死亡したとき、残された家族が生活に困らないよう支給されるのが特徴です。
一般的に死亡した人が自営業者だった場合は「遺族基礎年金」。
サラリーマンだった場合は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」を受け取ることが可能です。
つまり、サラリーマン世帯の方がより多くの遺族年金を受け取れることができる、というわけですね。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
遺族基礎年金の支給について
日本年金機構のホームページに、遺族基礎年金の支給条件や対象者、年金額などが詳しく記載されています。
参考
日本年金機構:遺族基礎年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/jukyu-yoken/20150401-04.html
死亡した人の要件
これによると、支給要件は被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある人が死亡したとき(ただし、死亡した者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が加入期間の3分の2以上あること。)となっています。
なんだか難しですが、簡単に言うと「国民年金に加入中」「国民年金に加入していた60歳以上65歳未満の人で日本国内に住所がある」「2017年7月までに老齢基礎年金を受けられるようになった」「老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある(保険料を納めていた期間、免除を受けていた期間、合算対象期間の合計)」となります。
原則的には国民年金加入期間の内、保険料納付済期間が3分の2以上あることとなっています。
また、特例として死亡日が令和8年(2026年)3月31日までで、死亡時の年齢が65歳未満の人は、死亡の前々月までの1年間で保険料の滞納がなければ良い、とされています。
対象者は上記ホームページによると、以下のようになっています。
- 死亡した者によって生計を維持されていた、子のある配偶者
- 死亡した者によって生計を維持されていた、子
子は次のように定義されています。
- 18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
- 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子
ちなみに生計を維持されていた、とは同居または仕送りを受けていた、健康保険の扶養親族であった、ことを差します。
このほか、年収850万円未満または年間所得655万5,000円未満といったことも要件になります。
ここで注目したいのは、子のいない配偶者(子の要件から外れる配偶者含む)は遺族基礎年金を受給できない点。
しかし、セーフティネットとして、寡婦年金または死亡一時金が支給される場合もあるので、詳しくは後ほど解説いたします。
遺族基礎年金の年金額
遺族基礎年金の金額は、78万100円が基本となり、子の数に応じて加算されます。
第1子・第2子は各22万4,500円が加算され、第3子以降は各7万4,800円が加算されます。
配偶者と子どもがふたりいる場合は、122万9,100円支給される、ということになるのです。
遺族厚生年金の支給について
では、続いて遺族厚生年金についても見ていきましょう。
参考
日本年金機構:遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/jukyu-yoken/20150424.html
こちらも詳しい要件は日本年金機構のホームページに記載されているので、要点をかいつまんでご紹介いたします。
死亡した人の要件
2種類要件があり、いずれかを満たす必要があります。
短期要件
- 厚生年金に加入中(在職中)
- 厚生年金加入中に初診を受けた傷病で初診日から5年以内に死亡した
- 障害等級1級または2級の障害厚生年金を受けられる人だった
長期要件
- 2017年7月までに老齢厚生年金を受けられるようになった
- 老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある(保険料を納めていた期間、免除を受けていた期間、合算対象期間の合計)
短期要件の1または2に該当する場合は、遺族基礎年金と同様の条件を満たす必要があります。
遺族厚生年金をもらえる人の要件
こちらも死亡した人に生計を維持されていた人が対象になります。
続柄ごとに年齢の要件があるのが特徴で、順位が設けられており、下の順位の人は上の順位の人が受給したらもらうことができません。
第1順位
- 妻 … 要件なし(子どもがいない30歳未満の妻は5年間のみ)
- 夫 … 遺族基礎年金をもらっている場合であって、生計維持者の死亡当時に55歳以上であること(支給は60歳から)
- 子 … 高校卒業に相当する年齢まで(障害等級が1級または2級の場合は20歳になるまで)
第2順位
- 父母… 生計維持者の死亡当時に55歳以上であること(支給は60歳から)
第3順位
- 孫 … 高校卒業に相当する年齢まで(障害等級が1級または2級の場合は20歳になるまで)
第4順位
- 祖父母…生計維持者の死亡当時に55歳以上であること(支給は60歳から)
遺族厚生年金支給額
こちらは非常に複雑な計算となるので、ぜひ日本年金機構のホームページをご覧ください。
遺族年金がいつまで・いくらもらえる?サラリーマン・自営業者の場合は?
遺族年金がいつまで支給されるのか、というのは上の条件の通り。
子どものいない妻(要件から外れる妻)は遺族基礎年金を受け取れませんし、妻が30歳未満なら5年間のみの支給となります。
子どもがいる妻の場合、子どもが一定年齢(高校卒業相当または20歳)に達するまで遺族基礎年金が支給され、遺族厚生年金は一生涯支給されます。
自営業者(個人事業主)の場合、遺族基礎年金のみとなるので、なかなか条件が厳しくなりますよね。
そのほか、死亡が原因で支給されるものとは?寡婦年金・死亡一時金
このほか、支給されるものとしては「寡婦年金」と「死亡一時金」があります。
寡婦年金は、死亡した夫と10年以上継続して婚姻関係があって、生計を維持されていた妻が対象。
60歳から65歳になる前までの5年間支給される有期年金です。
死亡一時金とは、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36ヶ月以上ある人が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けることなく亡くなった場合、遺族に支払われる給付。
どちらか一方しか受け取ることができず、寡婦年金は死亡の翌日から5年経過で権利が消滅、死亡一時金は死亡日の翌日から2年で権利が消滅するので、どちらを選ぶのかあらかじめ考えておいた方が良さそうですね。
業務での死亡は労災保険も支給される。労災保険の遺族補償一時金
このほか、遺族補償一時金というものもあります。
遺族補償年金の受給資格者がいない場合、給付基礎日額の1,000日分が支給されます。
死亡事故が発生した日の前の3ヶ月の賃金総額を、期間の総日数で割った金額が給付基礎日額となります(ボーナスは対象外)。
労災年金は遺族補償年金×0.80と遺族基礎年金・遺族厚生年金を受け取れるので、労災の場合はしっかりと覚えておきましょう。
詳しくは以下のサイトに詳しく書かれているので、ぜひご覧ください。
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