これから「遠距離介護」は普通になっていく?見守りサービスの進化は?
平均寿命が伸びてきていることはご存じの方も多いでしょう。
また、健康で自立した暮らしが可能な健康寿命も合わせて伸びてきており、最新のデータでは世界2位の長さなのだとか。
健康とはいえ歳を取ると誰かが見守ってくれないと不安になる、という方も多いのではないでしょうか?
しかし、子供に介護をお願いするのは申し訳なく、看病人を使うには経済的に負担になる…このような悩みの解決策のひとつが「遠距離介護」です。
今回は「遠距離介護」をご紹介いたします。
遠距離介護とは?
遠距離介護、という言葉を聞いたことはありますか?
まだあまり浸透しておらず、あまり耳馴染みのない言葉、という方も多いのではないでしょうか?
遠距離介護とは離れて暮らす高齢の両親が自立した生活を送れるよう、子ども世代がサポートすること。
年々老いていく両親を見ていると、なんとかサポートしたいと思うもの。
しかし、両親には両親の暮らしがあり、考えがあります。
遠距離介護は「両親の側で面倒を見たい」という思いを叶える新たな手段になるかも知れません。
遠距離介護をなぜはじめる?
今まで育ててもらった両親だからこそ、しっかりと面倒を見たい、という思いを抱える子ども世代は多いものです。
しかし、最近では高齢化が進み、両親の介護が必要なタイミングは、自分が働き盛りだったり、自分も介護が必要になっている、ということも少なくありません。
そこで選択されるのが「遠距離介護」です。
高齢者の住み替えはリスクがある
長年住み慣れた土地、家を離れる、というのは非常に勇気が必要なもの。
その土地の人間関係、行きつけの店、かかりつけの病院といったすべての環境が変わってしまうためですね。
また、新たな土地には知人がひとりもいない、ということも考えられます。
だからこそ、生活拠点を移動する、というのは非常にエネルギーを使うものなのです。
住む場所が変わることで、高齢者のなかには環境の変化に対応できず、認知症を発症してしまったり、症状が悪化してしまう人もいます。
両親を今、自分が住んでいる土地に呼んで介護する、というのは自分自身の負担はもちろんですが、両親の負担にもなり得ます。
介護する側にもリスクがある
もちろん、このほかにも介護する人の問題もあります。
両親の介護が必要になる年齢の頃は自分も働き盛り。
会社での地位や立場もあって、なかなかかかりきりで介護をすることが難しいという状況が考えられます。
家庭を築いて配偶者、子どもがいるのなら、なおさら時間を確保することは難しいでしょう。
両親と自分との生活拠点が遠い場合、なかなか休日の度に両親の元を訪れて、介護をする、というのも継続するのは困難です。
また、仕事を辞めて両親の生活拠点に移り住み、介護に専念する、というのも多くの人が選択できることではありません。
核家族化が進んだ現代にマッチした介護方法が「遠距離介護」なのです。
遠距離介護をはじめるには
これから遠距離介護をはじめる場合、どのような準備が必要になってくるのでしょうか?
まず大切なのは家族としっかりと話し合う、ということ。
介護の方法を決めたり、利用できる介護サービスを探したり、介護にかかる費用について、細かく話し合う必要があります。
次に大切なのは両親の生活を把握するということ。
何時に起床し、どこに出かけ、誰と会っているのか、何時に食事を摂っているのか、ということを事前に把握しておくと、いざというとき連絡がつきやすくなります。
交友関係を知っておき、相手と信頼関係を築いておけば、いざというとき対応してくれるかもしれません。
このほか、両親の預貯金、保険関係、近隣の介護施設、介護サービスなどを把握しておきましょう。
遠方に住んでいる場合、自分が住んでいるエリアとは対応が異なる可能性があります。
交通費がかかる、施設の方が安心?遠距離介護の長所と短所
とはいえ、心情的には近くに住んで着きっきりで介護したいもの。
そこでここからはメリットとデメリットを並べて見てみましょう。
遠距離介護のメリット
- 互いの生活環境が変わらない
- 介護保険を活用し介護サービスを行ってもらうため、介護の身体的負担が少ない
- 身体的負担が少ないため、精神的・肉体的に余裕がある状態で親の介護ができる
- 場合によってはひとり暮らしを対象とした介護サービスを受けられる
- ひとり暮らしなら、特別養護老人ホームの優先度が高くなる
遠距離介護のデメリット
- すぐに行くことができない
- 日々の様子を把握しきれない
気づかぬ間に認知症が進行していることも - 入院等で泊まり込みになることもある
- 往復交通費、電話代などの金銭的負担が増える
- 住居が離れているため、親が住んでいる土地の介護施設・サービスの評判を把握しにくい
- ケアマネージャーと会話する機会が少ない
このほか近居介護・同居介護も念のため見てみましょう。
近居介護のメリット・デメリット
近居介護のメリットは同居介護と比較し、自分の生活をきちんと保てること。
また、親の様子を把握しやすいことがあげられます。
行政サービスとしては、親が独居であれば受けられるサービスを受けることができるのもメリットでしょう。
デメリットとしては、自分の住居の近くに呼ぶとなると親の環境を変えてしまう点。
知り合いのいない土地なら、馴染むまでに時間を要する可能性があります。
同居介護のメリット・デメリット
同居介護は、親の急変の気づきやすく、子どもがいれば祖父母との交流が増えます。
また、別居と比較すると、住居にかかる総費用を抑えることもできるでしょう。
まだ、元気ならば家事負担も減ることが考えられます。
一方で、こちらも親の環境変化というデメリットがあり、馴染むまで時間がかかるかもしれません。
場合によっては、嫁姑問題に発展することも考えられます。
今まで独立して生活していた分、生活スタイルが異なり、些細なことでストレスが生じることもあるかもしれません。
また、行政サービス面で考えると、同居していると受けられないサービスもあります。
さらにいざ施設に入居しようと思っても、特別養護老人ホームの優先度が下がってしまうため、順番待ちをしなければならないことも考えられます。
うまくいく介護の形は人それぞれ
同居、近居、遠距離それぞれにメリット・デメリットは存在します。
どのような形がうまくいくのかは人それぞれです。
自分たちに合ったスタイルを見つけてみてくださいね。
認知症、食事、安否確認など高齢者の遠隔見守りサービス(支援)は益々発展している
また、高齢者の見守り大切は着実に進歩しており、遠距離介護であっても安心して任せられるようになってきています。
警備大手のセコムはベンチャー企業と共同で、高齢者見守りサービスをはじめる、と2019年12月に発表。
専用端末をテレビにつなぎ、子どもや孫たちの様子が画面を通じて楽しめるチカク社の「まごチャンネル」に、セコムも見守りサービスを組み合わせた「まごチャンネル with SECOM」がリリースされました。
参考
まごチャンネル with SECOM
https://www.secom.co.jp/mimamori/mago-ch/
このほか、兵庫県市川市は2020年2月から、NECと協働で、小型ロボットの無償レンタルを開始。
ロボットにはカメラとセンサーが搭載されており、人や室内の変化を察知し、離れて暮らす家族らのスマートフォンなどに写真やメッセージを送ってくれます。
見守りサービスも年々進化しています。
これらのツールを活用し、遠距離介護を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?
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