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【老老介護問題】老人が老人を介護する時代…人生100年時代の今、考えなければならない「老老介護」

最近60代の人が80、90代の親を介護し、過酷な介護生活の上、心中をはかったとのニュースを耳にします。

介護生活は先が見えず、つらく、苦しいもの。
特に高齢化社会を迎え、寿命がどんどん延びている現代においては、昔なら介護されていた年齢であっても、まだ親が存命で、介護している、という例は少なくありません。

これからの時代、このような「老老介護」が今後も深刻になると予想されています。
本日は「老老介護」についてご紹介します。

「もう限界…」老老介護とは?どのくらいの割合が老老介護?何故このような現状が起きているの?

画像提供:imagenavi(イメージナビ)

高齢化社会、核家族化といった比較的新しい家族の単位が社会全体の課題になり始めています。
その課題とは「介護問題」。

特に平均寿命が延びてきた現代においては、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」、さらに認知症患者が認知症患者を介護する「認認介護」が大きな社会問題になっています。

厚生労働省が2017年に発表した2016年の国民生活基礎調査によると、介護が必要な65歳以上の高齢者を65歳以上の高齢者が介護する「老老介護」の世帯の割合が54.7パーセントに達したそうです。
このうち、ともに75歳以上の世帯は30.2パーセントとはじめて3割を超えました。

参考

厚生労働省:平成28年 国民生活基礎調査の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/

増え続ける「老老介護」「認認介護」

2010(平成22)年、山口県で行われた調査と推計では、県内で在宅介護を行っている世帯の10.4パーセントが認認介護状態にあることがわかりました。

元々認知症は要介護状態を招く要因の上位に入っているため、そもそも高齢者の要介護者には認知症患者が多い、という現状があります。
こうした状況から、老老介護がやがて認認介護になることは自然な流れ、珍しくない、ということがわかりますよね。

この山口県の調査もあくまで推計であるため、老老介護を行っている人の中には「認知症であることを自覚していない」人も多分に存在していると考えられます。
そのため、実際に認認介護を行っている世帯の実態はつかみにくい、といった現状があります。

老老介護は何が問題?

老老介護は何が問題なのでしょうか?

要介護者の介護度に依存しますが、一般論として高齢者ほど身体の自由が効きにくいため、介護者の負担が大きくなります。
プロの介護士であっても腰痛を抱えている人が多いので、素人である高齢者が高齢者をつきっきりで介護する、というのはとても大変なことだ、ということが想像できますよね。


もちろん、介護は肉体的な負担だけではありません。
精神的な負担も大きくのしかかります。
精神的な負担から被介護者に暴力を振るってしまったり、虐待をしてしまったり、といった行動に結びつく恐れがあります。

ひとりでつきっきりで介護すると、あるタイミングで肉体的・精神的な限界を迎え、介護者・被介護者が共倒れしてしまうのです。

また、介護者が強いストレスを受けると認知症を発症しやすくなる、とも言われており、介護が泥沼化してしまう恐れもあります。

認認介護は何が問題?

では認認介護の場合、どのようなことが問題になるのでしょうか?

まずは記憶障害、判断力の低下、認識力の低下といった生活能力が大きく低下してしまうことで、食事や排泄などの世話をしたかどうか、介護者が認識できなくなる、という問題があります。
認知症は「食欲の低下」という症状もあるため、自分では気がつかないうちに栄養失調状態になる恐れも。

このほか、支払い関係で問題になることがあります。

電気、水道、ガスといった公共料金の支払いを忘れ、電気を止められたり、ガスを止められたり、水道を止められたり、といった事態につながることもあるのです。
さらに金銭管理があいまいになって、「オレオレ詐欺」をはじめとする悪徳詐欺や詐欺商法に引っかかるだけでなく、名簿が裏で回りターゲットにされ続けることも想定されます。
このほか火の不始末による「家事」、徘徊してしまうことによる「迷子・行方不明」「事故」といった問題を双方が抱えることになります。

認知症の要介護者は、介護を拒むことも多く、介護者が強硬に介護を行うことで事故や事件につながることも少なくありません。

老老介護で現在、国・行政が支援していることは?

画像提供:imagenavi(イメージナビ)

このような状況を改善するために重要なのは第3者のサポート。
現在、どのようなサポート体制があるのでしょうか?

地域包括支援センター

老老介護、認認介護を専門に行っている行政の施設やサポートは現状ありません。

すでに介護サービスを活用している場合、ケアマネージャーが状況を把握してくれて、介護者の負担を減らす提案などを行ってくれます。
しかし、介護サービスを受けていない人はこうした細やかな状況を行政に把握してもらうのが難しいですよね。
そこで役立つのが「地域包括支援センター」です。

地域包括支援センターでは、安否確認ができる「見守りサービス」が強化されていたり、老人ホームやサービス付き高齢者住宅への入居を斡旋してくれたりします。


家族がいる場合、状況を伝えるのが重要

もしも子どもがいる場合は、自分が被介護者なら自分の状況を周囲の人や子ども伝えておくのが大切です。
自分の状況をすぐに知ってくれる人を多く作っておくことが重要です。

例えば定期的に電話をしたり、顔を合わせる機会を多く作るよう心がけましょう。
また、自分の両親が老老介護を行っている場合、定期的に帰省したり、親が住んでいる地域が行っている自治体サービスを把握しておくことも重要です。
現在住んでいる地域と離れていたとしても、こうしたサービスを今はインターネットで調べられます。
あらかじめ調べておいた方が良いでしょう。

親が住んでいる地域の近所の人ともコミュニケーションを取って、何かあったとき、すぐに連絡をもらえる体制作りをしましょう。

うつ病になる前に。老後の介護について事前に子供や家族、支援サポート窓口に相談しアドバイスをもらったりすることが重要

画像提供:imagenavi(イメージナビ)

介護などの疑問や悩みに答えてくれる窓口が各市町村に設けられています。
まずはじめに問合せを行うのは、市町村の介護保険担当窓口になるでしょう。

一般的に「介護保険課」「高齢者福祉課」など自治体によって名前は異なりますが、こうした窓口に相談することになります。
電話相談はもちろん、直接赴いての対面相談、地域の施設(会館)での出張相談会などを行っています。


その後相談したいのが「地域包括支援センター」。
高齢者が可能な限り住み慣れた地域で、安心した生活を送れるよう、さまざまなサポートを行っています。
高齢者本人からの相談はもちろんですが、家族、地域住民からの相談にも応えてくれます。
現在、全国に4,000以上設けられているので、きっとお住まいの地域にもあるでしょう。

このほか、社会福祉士も相談相手として挙げられます。

もしも、介護が必要になったとき。
はじめる前、はじめた後でも、こうしたさまざまなサポートを利用することが、孤独にならない秘訣です。
介護が始まる前にこうした行政のサポート体制について、しっかりと調べ、連絡先をメモしておきましょう。

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