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10月から「酒税」が変わったこと、ご存じですか?

そもそもビールと発泡酒、その他雑酒の違いは?法改正の歴史とは?

画像提供:imagenavi(イメージナビ)

ビールや発泡酒、第3のビールにはどのような違いがあるのでしょうか?
その答えは酒税の歴史とともにありました。

酒税の歴史

今では当たり前のように課税されるお酒。
いつ頃からあるものなのでしょうか?

日本の酒税の歴史は非常に古く、室町時代には課せられていたといいます。
江戸時代から明治時代にかけては「酒株」(さけかぶ)という酒造りの免許税も存在していたほど。

明治時代に入ると酒税は貴重な税収となり、明治25(1892)年には酒税による歳入が全体の約24パーセントにも上ったそうです。

そんな酒税は日清戦争が終わった後の1896(明治29)年。
日露戦争に向けて増税が行われました。

その際に酒造りが終わった時点で酒造事業者に課せられる酒税制度「造石税」という仕組みが導入。
現在の仕組みとは大きくかけ離れており、酒を製造した時点で、売り上げの多寡に関わらず、納める酒税が年額で決められた仕組みです。
あらかじめ歳入を見込みやすいとうわけですね。

しかし、このときビールはまだ酒税の対象ではありませんでした。

1901(明治34)年には酒税の対象外だったビールにも「麦酒税」が導入。
このときはじめてビールも課税対象に。
ビールを課税対象としたことで、酒税は地租を上回り、最大の税収となったのです。

現在の酒税法が出来上がったのは昭和28(1953)年。
ウイスキーやブランデーなどいわゆる高級酒には高い税額を設定するという仕組みです。
当時はビールも高級品だったので、高い税率となっていました。
ウイスキーやブランデーは流通量が増えた影響もあって税率が下げられましたが、ビールだけは増税につぐ増税で高い税率のまま。
家庭用冷蔵庫が普及したことでビールの消費量が増加したことも、税率が高い理由だといわれています。

内閣府 経済社会総合研究所「主要耐久消費財等の普及率」及び、ビール酒造組合 統計資料「ビールに出荷量」(1960年頃)によると、電気冷蔵庫普及率とビール製造量はほぼ同様の推移を見せています。

ビールにかけられている税金

では2020年9月まではビールにどのくらいの税金がかけられていたのでしょうか?

現在、ビール系飲料には「ビール」「発泡酒」「第3のビール」の3酒類があります。
それぞれに異なる税率が設定されています。

350ml缶の場合、以下の税金がかかっています。

  • ビール ・・・ 約77円
  • 発泡酒 ・・・ 約62円
    25パーセント≦麦芽比率≦50パーセント
  • 発泡酒 ・・・ 約47円
    麦芽比率<25パーセント
  • 第3のビール ・・・ 約28円

こうしてみるとビールには高額な税金がかけられていることがわかります。
もっとも手頃な第3のビールよりも50円も高い税金がかけられています。
一般的なビールの小売価格が220円前後なので、約40パーセントが税金というわけです。

発泡酒・第3のビール

発泡酒や第3のビールは、ビールとはどのように違うのでしょうか?

1990年代に登場したビール風味の発泡酒。
当時は麦芽比率が67パーセント以上がビール、それ未満が発泡酒と定義され、発泡酒の税率は低く抑えられていました。
そこで、ビール風味を低価格で味わってもらおうとメーカーが開発したのが発泡酒です。

ところが1996年、税制改正によって麦芽比率50パーセント以上の発泡酒はビールと同じ税率が適用に。
ビールメーカーも麦芽比率50パーセント未満のビール風味発泡酒を開発するなどいたちごっこを繰り返しました。
しかし2003年、麦芽比率25パーセント以上50パーセント未満の発泡酒の税率を引き上げ、発泡酒ブームは終焉を迎えたのです。

次に酒造メーカーが開発したのが新ジャンルと呼ばれる第3のビール。
第3のビールは麦芽や麦以外を原料にしたものや、発泡酒に蒸留酒などの別のアルコールを加えたお酒(酒税法ではリキュールに分類されるため)のこと。
2018年3月に各社から発売され、今もなお低価格なビール系飲料として親しまれていますよね。

ビール、ビール系飲料にもさまざまな歴史があったことがわかります。
ところが2018年4月、再び酒税法が改正されました。

ひとつめはビールの定義変更。
今までは原料の3分の2以上、麦芽を使用していることがビールと定義されていました。
これが緩和され、原料の2分1以上麦芽を使用すればビールと定義されるようになりました。
発泡酒の幅が広がったことを意味します。

また、原料の5パーセント以内においては副原料が認められていました。
麦、ホップ、米、とうもろこしなどが副原料に該当します。
これらを以外を使用した場合は問答無用で発泡酒だったわけですが、これも緩和。
果実、コリアンダー、香辛料、ハーブ、野菜など10種類の原料が加えられました。
ベルギービールなどは香辛料を使用することで知られているので、今までは発泡酒だったものが「ビール」になったのです。

このほか、段階的に税率が一本化されることも決められました。
ビール、発泡酒、第3のビール、それぞれの税率が揃えられるのです。

これは2020年10月、2023年10月、2026年10月の3段階で幅を調整していきます。

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>>次ページ 酒税はどのように値上げされた?値下げされた?

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コメント
  1. よく勉強になりました。ありがとうございます。

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