【五月】
藍々と五月の穂高雲を出づ 　　　　　　飯田蛇笏
子の髪の風に流るる五月来ぬ 　　　　　大野林火
婚と葬家にかさなる聖五月 　　　　　　角川源義
五月の夜未来ある身の髪匂う 　　　　　鈴木六林男
目つむりていても吾を統ぶ五月の鷹　　 寺山修司
みどり子の頬突く五月の波止場にて 　　西東三鬼
美しき五月の汗を拭はずに　　　　　　 鷹羽狩行
鳥籠のブランコ揺する風五月 　　　　　満田春日
聖五月山の暦の始めとす 　　　　　　　青柳志解樹
隠岐牛の黒光りして五月来ぬ 　　　　　山崎房子
うすうすと窓に日のさす五月かな 　　　正岡子規
鳩踏む地かたくすこやか聖五月　　　　 平畑静塔

明日の兼題は、「初夏」です。