【百日紅】
女来と帯纏き出づる百日紅 　　　　　　石田波郷
百日紅咲きつぐなかに父老いぬ 　　　　大串　章
いつの世も祈りは切や百日紅 　　　　　中村汀女
さるすべり美しかりき与謝郡　　　　　 森　澄雄
百日紅この叔父死せば来ん家か 　　　　大野林火
灼くるだけ灼けし風立つ百日紅 　　　　馬場移公子
少女倚る幹かゞやかに百日紅 　　　　　西島麦南
咲き満ちて天の簪百日紅 　　　　　　　阿部みどり女
百日紅百日咲いて開かずの門 　　　　　三橋鷹女
一枝はすぐ立ち風のさるすべり 　　　　川崎展宏
奈良坂の家うち暗きさるすべり 　　　　桂　信子
ゆふばえにこぼるゝ花やさるすべり 　　日野草城

明日の兼題は、「夕顔」です。