【緑蔭】
緑蔭や矢を獲ては鳴る白き的 　　　竹下しづの女
緑蔭に顔さし入れて話しをり 　　　橋本鶏二
緑蔭やなほ卓うつすべく広く 　　　中村汀女
緑蔭の海よりしづかなる憩ひ 　　　富安風生
緑蔭を出でてふたゝび老夫婦　　　 長谷川双魚
緑陰に並びて薄茶給はりぬ 　　　　武原はん
緑蔭にいのちいたはる膝そろへ 　　林　翔
二十余樹大緑蔭を成せりける 　　　星野立子
緑蔭に待てば静かに歩みくる 　　　後藤夜半
まだ大樹ならざる橡も緑蔭に 　　　稲畑汀子
飛火野の緑蔭鹿も影を持つ 　　　　田川飛旅子
白樺の木蔭の風を讃へあふ 　　　　福田甲子雄