東京シティガイド【2】あの柴又で、身長2mの寅さんに出くわす
豪雨被害、40℃超酷暑、逆走台風はじめ台風の連打、北海道胆振地震……。今年の日本はどうなってしまうのだろうか、と思っていたら、10月になってしまいました。
秋風が心地よい季節になったばかりですが、ちょっと季節を先取りして冬の話をいたすことお許しください。昨年の暮れのことでした。ペダルをこいで向かった先は柴又。一度だけ電車で行ったことはありましたが、自転車では初めてです。
事前にルート検索したところ、自宅から最短で21km、1時間半の行程とでました。インターネットのおかげで、経路などはスマホで簡単に検索できます。よっしゃと旅立ったものの、やはり迷いました。結局は25km、2時間近くかかり、寒い朝だったのにびっしょりで柴又駅に到着しました。

画像提供:imagenavi(イメージナビ)
駅前には、まさに旅に出んとする寅さん(渥美清さん)と、それを見送る妹、さくらさん(倍賞千恵子さん)の像。このお二人、本当に絵になります。このアングルから見ると、とくに「デキの悪い兄貴を心配しながら見送るやさしい妹」というストーリーがくっきり浮かぶと情景です。まったく他人事と思えません。私にも、似たようなチカラカンケイ?の妹がおります。

「寅さん・さくらさん像」撮影・ネジ根塚
後で調べたら、この寅さん像は1999年に完成したのですが、その目線の先にいるべき「妹のさくら」がいない⇒やはり寅さんのそばにはさくらがいてほしい⇒いや、いなくちゃならねえ……という地元の要望を受けて、さくら像が2017年に建てられたそうです。いい話ですね。
さて、平日の朝ということもあり、すいている参道を自転車押しながら進んでいくと、外国からの観光客も大勢訪れていました。最近は、定番観光スポットでないところが人気だそうです。口コミなどで紹介されていることもあるのでしょう。店開きしたばかりのだんご屋さんで串だんごを買ったり、開店前のお店をのぞいたりしていました。
200メートルほど歩いた参道の先が、題経寺(帝釈天)の二天門です。一礼して門をくぐり、境内に入りますと、正面の帝釈堂のお賽銭箱の前で、天をつくような(なんと古い表現ですね!)長身の欧米系の男性と、アジア系の4人連れの女子グループがなにやら話しています。近づいてみると
長身さん “No hand clapping(手をたたいちゃダメ)…Only once(一度だけ)…”
女子たち “…Uhhh…Why?(なんでよ)”
長身さん “…Uhhh…Shrine(神社では)…Temple(お寺では)… ”
どうやら女子グループが二礼二拍手(それをご存じなだけでもご立派ですね)したところを、長身さんが「ここはお寺だから」と、身振り手振りで説明していた場面に出くわしたようでした。
後ろでニヤニヤしていると、長身さんが振り返って “Am I correct ? ”(僕、正しいかい?)と話しかけられたので、「私よりよく知っているよ!」(一応英語で)と答えました。女子グループは得心が行ったようで、「サンキュー!」といって、正しくお詣りしていきました。
その長身さんはオランダ人でした。背が高いわけだ! ちなみに彼は身長2メートルとのことでした。おまけにスリムで脚長。今ふうの表現ですと「高っ!」「長っ!」(この言い回し、なんとなく好きです)。オランダは世界有数の高身長の国です。行かれた方はご経験のことと思いますが、オランダのトイレ(男子用しか知りません)は胴長短足の我が同胞(私だけか?)をあざ笑うがごとく、チューリップがとんでもなく高い位置に取り付けられています。爪先立ちしないと「届かない!!」。子供用の方にいけばいいのですが、そこはプライドが許さない。途中で足がぷるぷる震えてくるのをこらえつつ、用を足します。もとい! 脱線・逸脱いたしました。

爪先立ちしないと『届かない!』イラスト・ネジ根塚
長身さん、実は寅さんの大ファンだそうです。映画『男はつらいよ』シリーズの大半は鑑賞済みだとかで、「あと見てないのは4-5作品くらい」と、タイトルをペラペラと列挙してくれました。が、英語でタイトルを言われてもねえ。「なーるほど」などと半端な返事をするばかりの、残念なオッチャンでありました。後日調べたところ、『男はつらいよ』シリーズは48作!もありました。彼が『英語の上手な足長TORAさん』に思えてきます。と同時に、海外に彼のようなコアな日本映画ファンがいることも、うれしい驚きでした。
それにも増して、外国人観光客が別の外国人観光客に日本のマナーや歴史を説明するのは、驚きの光景でありました。何故なのか? 決して興味本位やうんちくをひけらかすのが目的でないことは、彼の一挙手一投足を見ればわかります。いわんや、おせっかいとは無縁の行為と見えました。
日本の歴史・文化に敬意を払ってくれているー―。それが、私なりに出した結論でした。とても大事なことを教えられた気がしました。同じことを海外でできるだろうか、してきただろうか?
闘病中の友人の快復祈願にお守りをいただき、

撮影・ネジ根塚
お土産にだんごや煎餅を買いました。

撮影・ネジ根塚
帰りがけに少し足を延ばして、有名な『矢切(やぎり)の渡し』に立ち寄りました。

撮影・ネジ根塚
こちらは柴又、渡る先の江戸川対岸が松戸の矢切です。江戸時代以降で、現存する数少ない「渡し」だそうです。が、来てビックリ。冬季は土日祝日のみ運行でした(観光船かぁ?)。乗り場は、言葉を選ばずに言わせていただくと、「ちょっと寂れてショボくねえ?」という感じです。でも、これくらいのほうが、昔の風情があっていいのかもしれません。昔がどうだったかは知りませんが、コンクリート岸壁では絵になりません。次は、本当に乗船しに来よう。
帰りに、帝釈天の大鐘楼の横を抜けるとき、映画のあの有名なイントロが聞こえてきそうな気がしました。“チャ~チャララララララララ~♪”(と言われても、分かりませんよね。気持ちだけで)。あの映画で見たそのままの景色で、今にも笠智衆さん扮する「御前様」に会えそうな…わけありませんね。

撮影・ネジ根塚
お読みいただきありがとうございました。

還暦チョイ過ぎ「ちょい悪オヤジ」になれないちょいと残念!なオッチャンです。鉄道模型(Nゲージ)好きで新しいジオラマを画策中、が妄想の独り歩きで手が動かず…老人ホームや小児病棟の子たちにジオラマを持参して見せてあげるのが夢です。 家族の顰蹙をよそに、とうに卒業した娘の女子校で出会った父親仲間(通称:卒業できないオヤジ達)との交流を楽しんでおります。

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あそこへ行くと、映画の中にいる気分です。映画の中のシーンが浮かびます。随分前に、日航太平洋線で機内映画で上映していました。外国の方に広まったのはこれも一因かと。帝釈天良いところです。
柴又、行ってみたくなりました。海外のトイレ、私も経験あります。このイラスト、いいですねぇ。
母が正月になるとよく映画館に見に行っていました。懐かしく思い出しています。
此処だった、ここだった と今ほのぼのしています。
矢切の渡しってまだあるのですね。