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東京シティガイド【4】「ソニープラザ」とインド青年の巻

氷雨のような天気の10月下旬の朝、江戸時代の細かい道筋や大名屋敷などが書き込まれた切絵図を片手に、東京は麻布・六本木界隈の社寺・大名屋敷を巡るツアーのガイドに出かけました。

どうしたらお客さまに楽しい時間を過ごしていただけるかと考えると、緊張します。でも、ガイドがつぼにはまった時のお客さまの笑顔を思い浮かべると、心が浮き浮きもしてきます。

集合場所の地下鉄・麻布十番駅前に早めに来て、旅行代理店の方と合流しました。
「雨の中ありがとうございます」
親切な代理店の方に気遣いに感謝です。
「こちらこそよろしくお願いします。このあたりは、道が狭くて坂も多い場所なので、ゆっくりと参りましょう」
などと、会話をしつつ準備していると……

「ソニービルの階段」撮影・ネジ根塚

「ソニープラザ! ソニープラザ!」と、英語とも日本語ともつかない大きな声が聞こえてきました。
振り向くと、道行く人に何かを尋ねているインド系と思しき青年が「ソニープラザ! ソニープラザ!」と叫んでいたのでした。

周りは老若男女、ビシッと決めたビジネスマンからおばあちゃんまでいるものの、彼の剣幕に皆ドン引き状態です。

ソニープラザかぁ。そういえば、銀座・数寄屋橋のドレミファ階段下にあったけど、ソニービルはなくなったし……。
あっ! もしかして、丸ビルの地下にあったかなあ。
けど、麻布十番界隈では見たことない。六本木もドンキはあるけど、ソニプラは聞いたことない。などと勝手に思いを巡らしていました。

がしかし、結局、インド系青年と目が合ってしまった。

ガイド直前なのでめんどくさいんだけど、と思いつつ、

Neji 「どこのソニープラザに行きたいの?」(もちろん、英語であります)
青年 「おー英語うめえな!このソニープラザだよ」(地獄に仏、の気持ちだったのでしょう。彼がiPhoneの画面を見せます。)
Neji 「サニープラザ!」

インド英語といえば、皆さん、ご存じですよね。独特のイントネーションというか、アクセントというか、簡単に言えば「訛っている」わけです。
どこじゃそりゃ?

青年 「日本語読めないから、住所みてくれ」

彼のiPhoneの画面をいじると、オフィスビルらしき住所が表示されています。

Neji 「サニープラザ新宿御苑! そんなところ知らん。ところで、あんた、なんでここにいるの?」
青年 「このあたりかと思って降りたのだけど。この駅はアジャブジュバンというのか?」

間違え方がどうにもおかしいのですが、彼の一言が刺さってしまいました!
アジャブジュバン…

インド人のイラスト

「インド系の青年」イラスト・ネジ根塚

若かりし頃に出会った「ハイカラなのに変にベタなオッチャン」と飲んでいたときに聞いた、おばかな小話を思い出してしまったのでした。

「フランス語でイカをなんというか?」
「?????」
「アシ・ジュポーン(脚・十本!)」
「日本にはフレンチタウンがある! その名前を知っているか?」
「?????」
「アザブ・ジュボーン」

という極めつけのサブいジョークが、なぜか頭の中によみがえりました。

十番駅前のモニュメント

「十番駅前のモニュメント」撮影・ネジ根塚

十番駅前のモニュメント : バルセロナの教会ではありません。

気を取り直して、
Neji 「いちばん近そうなのは、新宿御苑前という有名な公園がある駅だ」
青年 「公園に行きたいんじゃない! ソニープラザに行きたい! 歩いていきたいのだが!」

サニープラザだろ!と思いつつ、少々ムカついてきました。
Neji 「歩けない距離じゃないけど、着くのはあさってになるな」
青年 「えーーーーーーっ」

(ニヤリと心で笑い)
Neji 「ウソだよ。でも2-3時間かかるんじゃないかねー。地下鉄がいいよ。途中駅で乗り換えて、20分くらいで着くと思うよ」(注:後で調べたら、歩いても1時間くらいでした)。
青年 「……」(明らかに乗り気でない様子)

青年と漫才まがいのやり取りをしつつも、肝心のガイドのお客さまがちらほら集まり出しているような、また、旅行代理店の方も怪訝な顔で私をチラリチラリ見ておられるような……。早く、青年との会話を終わらさないと。

ここで半ば強引に、地下鉄以外ありえないという感じで、
Neji 「地下鉄での行き方はこれだよ」

麻布十番駅から新宿御苑前駅まで

麻布十番駅から新宿御苑前駅まで

と私の携帯で乗り換えアプリの「NAVITIME(ナビタイム)」を開き、「麻布十番駅から新宿御苑前駅まで」の順路を示します。
Neji 「青緑色のマークの南北線に乗って、4つ目の四ッ谷駅で降りて、赤色マークの丸ノ内線のほうに行く。長いエスカレーターに乗って上に上がる。赤い電車に乗って、2つ目の駅が新宿御苑前」
(俺って結構、親切でねぇ? 語尾がちょっと上がります)

青年 「英語で見せてくれないか」(俺のナビタイムは「にっぽんご」だ!)
Neji 「ナビタイムは日本語しか見られない」(嘘かもしれんが致し方ない)(注:後日調べたら、英語版ありました。)
Neji 「でもね、日本人は親切だから、シンジュクギョエンと尋ねたら何とかしてくれるから」
と言うと
青年 「I See(分かった)」

結局、青年は私のiPhoneに映し出されたナビタイムの乗り換え案内を、自分のiPhoneで撮影して
青年 「Thank You, My Friend…アリガト」と言って、なぜかあさっての方向に歩き出しました。
Neji 「オイ! 駅はこっちだ!」
青年は、またまた
「Thank You, My Friend…アリガト」と言って、ようやっと地下鉄駅のエスカレーターで降りていきました。

通りすがりのビジネスマン風の方が、
「ソニープラザという店名はもうなくて、プラザに名前が変わっていますよ」
と教えてくれました。
Neji 「御親切にありがとうございます(微笑)」と感謝したのですが、

“お兄さん、ソニーじゃなくて、サニーだったんですよ。それに、会話聞こえていたなら、もっと早く手伝ってよ(怒)”
と急に血圧が上がった気がしました。(最近ちょっと高めです。何とか130台に収めたい)
 
気をとりなおして「さあてガイドだ!」と見回すと……。お客さまお揃いのようでしたが、すっかり異星人を見るような視線です。

Neji 「ご挨拶が遅れてしまい、申し訳ありません。本日、ガイドを務めさせていただきますNejiと申しますっ!」

ゲスト「日本語お上手ですね!」

小雨の中、楽しいお客さまとのガイドを無事終えて帰宅したとき「訛っていたのは自分じゃないか???」思い込みはいけないと反省しました。
ところで彼はちゃんと“サニープラザ”に行けたのだろうか?
ガイドの顛末はまたの機会に。

お読みいただきありがとうございました。

根塚さんプロフィール


ネジ 根塚(ねじ ねづか)


還暦チョイ過ぎ「ちょい悪オヤジ」になれないちょいと残念!なオッチャンです。鉄道模型(Nゲージ)好きで新しいジオラマを画策中、が妄想の独り歩きで手が動かず…老人ホームや小児病棟の子たちにジオラマを持参して見せてあげるのが夢です。 家族の顰蹙をよそに、とうに卒業した娘の女子校で出会った父親仲間(通称:卒業できないオヤジ達)との交流を楽しんでおります。


コメント
  1. nejiさんのブログを毎回楽しみにいます。英語も堪能な上、困った人を何とかしてあげようというメンタリティに感激しました。それをコミカルに読み物に仕上げる腕に確か実力を垣間見ます。今後のご活躍も楽しみです。

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