【熱燗】
熱燗に焼きたる舌を出しにけり 　　　　高浜虚子
熱燗やいつも無口の一人客 　　　　　　鈴木真砂女
熱燗を置くや指先耳に当て 　　　　　　吉屋信子
熱燗や酔へばすなはち支那のこと 　　　遠藤梧逸
熱燗や街ぐんぐんと暮れてゐし 　　　　高田風人子
熱燗や夜は音ひそむ石屋町 　　　　　　渡邊牢晴
熱燗に酔うていよいよ小心な 　　　　　高野素十
熱燗に応へて鳴くや腹の虫 　　　　　　日野草城
熱燗の夫にも捨てし夢あらむ 　　　　　西村和子
熱燗や余生躓くばかりなる 　　　　　　石原八束
燗酒や屋島あたりがしぐれをり　　　　 里見善三郎
熱燗やあまた仏に会ひし夜は　　　　　 伊藤伊那男

明日の兼題は、「雪催」です。