平成30年３月後半のサークル初句会の選句結果です。今回の一席は、さんせんさんの「春障子」句の9点句、二席は、TOTOROさんの「椿」句の6点句、三席は、panapanaさんの「燕」句の6点句でした。一席は、星野立子の名句「障子しめて四方の紅葉を感じをり」の春季版でしょうか。来回もまたよろしくお願い申し上げます。

一席　9点句（◎◎◎◎◎○○○○）
　　23.笹の影揺るる茶室の春障子　　　　　　　　　　　　さんせん
二席　6点句（◎◎◎○○○）
　　20.紺碧の海を眼下に薮椿　　　　　　　　　　　　　　TOTORO
三席　6点句（◎○○○○○）
　　87.湯けむりや秘境の宿のつばくらめ　　　　　　　　　panapana

5点句（◎◎◎◎○）
　　51.つつぬけの空の青さや花辛夷　　　　　　　　　　　昇 峰
　　　（◎○○○○）
　　28.三陸の海鳴り遠く春の月　　　　　　　　　　　　　panapana
　　38.白壁のつづく街道つばめくる　　　　　　　　　　　山椒の実　　
　　57.猫の子を膝にまどろむ留守居かな　　　　　　　　　さんせん
4点句（◎◎○○）
　　03.朝靄の包む山城春めけり　　　　　　　　　　　　　苦 瓜
　　70.春の土風を鋤き込み畝たてる　　　　　　　　　　　secchan
　　73.晴れやかに農を継ぐ子の卒業す　　　　　　　　　　山椒の実　　　
　　　（◎○○○）
　　30.柴折戸をことこと叩く春の風　　　　　　　　　　　secchan
3点句（◎◎◎）
　　16.雲の描く空の風紋夕燕　　　　　　　　　　　　　　昇 峰
　　　（◎◎○）
　　44.托鉢の佇む戸口犬ふぐり　　　　　　　　　　　　　苦 瓜
　　　（◎○○）
　　01.青空を誉め合つてゐる花見客 　　　　　　　　　　TOTORO
　　06.胃袋を覗くカメラや花の冷え　　　　　　　　　　　泥 舟
　　46.騙さるる人好しが好き万愚節　　　　　　　　　　　利 明
　　86.雪解の水満々と黒部ダム　　　　　　　　　　　　　利 明
2点句（◎◎）　　　
　　29.潮の香と笑顔ふりまく若布売り　　　　　　　　　　panapana
　　48.知人かも後ろ姿の春日傘　　　　　　　　　　　　　そよかぜ
　　83.蓑虫の貌出してゐる遅日かな　　　　　　　　　　　昇 峰
　　　（◎○）
　　31.下萌の野辺を見守る地蔵尊　　　　　　　　　　　　secchan
　　85.もう一寺めぐる嵯峨野の暮れ遅し　　　　　　　　　さんせん
　　　（○○）
　　04.芦ノ湖は富士の揺り籠龍天に　　　　　　　　　　　麦 秋
　　10.大屋根の鴟尾金色や花万朶　　　　　　　　　　　　利 明
　　14.北国の駅長不在花辛夷　　　　　　　　　　　　　　麦 秋
　　17.繰り言は娘の事ばかり桃の花　　　　　　　　　　　さんせん
　　19.国宝となりて三尊初さくら　　　　　　　　　　　　山椒の実
　　80.マラソンのしんがり殊に風光る　　　　　　　　　　TOTORO
1点句（◎）
　　21.さくら咲き西郷どん像も宴席に　　　　　　　　　　Tiger 6
　　49.知覧発つ戦友に酒注ぐ春の夢　　　　　　　　　　　翔 行
　　54.菜花咲く橋の袂の道祖神　　　　　　　　　　　　　TOTORO
　　67.春眠し子守にまがふ経の洩れ　　　　　　　　　　　俊 雪
　　74.日陰りて風の辛夷となりにけり　　　　　　　　　　昇 峰
　　75.風鐸の音色さやかに花明かり　　　　　　　　　　　そよかぜ
　　　（○）
　　12.陽炎の中の国会仮面劇　　　　　　　　　　　　　　夢追人
　　22.桜もち子規逗留の向島　　　　　　　　　　　　　　夢追人
　　24.サックスのブルース聞くや花の冷え　　　　　　　　泥 舟
　　34.鞦韆や単身赴任と言ふ無聊　　　　　　　　　　　　麦 秋
　　36.春眠や読書かまはず襲ひけり　　　　　　　　　　　俊 雪
　　43.ダイヤ婚の追憶こめて雛納　　　　　　　　　　　　方 舟
　　47.「断捨離」と思いきれない花の冷え　　　　　　　　そよかぜ
　　50.つくし摘む遠きあの頃あの山河　　　　　　　　　　さんせん
　　53.永き日や波間に沈む大夕陽　　　　　　　　　　　　panapana
　　58.荷を抑へ春眠繋ぐ山手線　　　　　　　　　　　　　俊 雪
　　66.春風やわははワハハと笑ひヨガ　　　　　　　　　　夢追人
　　77.米寿へと近附く一日春惜しむ　　　　　　　　　　　方 舟
無点句
　　02.朝寝して夢路に辿る過去未来
　　05.蟻穴を出てはや上下右ひだり
　　07.うぐひすや俘虜の遺せしドイツ橋
　　08.追いかけて桜前線次は何処
　　09.大鯉を盥に放つ遅日かな
　　11.角館桜さくらの武家屋敷
　　13.観光客見守る開花宣言を
　　15.疑念なお開かぬままなり木の根開く
　　18.恋猫に水かけ追ひて悔残る
　　25.狭庭にも山川のあり初蝶来　
　　26.さりげなく岸削りゆく春の川
　　27.山荘に雑魚寝七人春惜しむ
　　32.四万十の霞む気水や網を打つ
　　33.就活を終へて今や木の目風
　　35.春眠や工事現場のハンマー音
　　39.沈丁の花を濡らしつ春の雪
　　40.人力車の二人を濡れす花菜雨
　　41.すなどりの船引き揚ぐる春夕焼
　　42.それとなく孫が彼女を花の宴
　　45.旅行けば花のトンネル趣味仲間
　　52.寺町の石階に遊ぶ子猫かな
　　55.握り飯頬張る畦や犬ふぐり
　　56.二度三度糸引く凧の奮ひ起ち
　　59.のどけしや淡き影もつパステル画
　　60.のどけしや孫を相手に将棋さす
　　61.野焼あと水辺に小さき靴ひとつ
　　62.初めての一人暮らしや春の月
　　63.花冷やしばし逃げ込む喫茶店
　　64.花冷えや力士の膝のサポーター
　　65.春惜しむ清少納言の朝の影
　　68.春の鴨お堀端往く馬車の列
　　69.春の月荒波悠か凛とあり
　　71.春の陽に名画イレーヌ跳び出る
　　72.春めくや伏流水の落つる音
　　76.富士ちらと見せて吹く風若布干す
　　78.ペン胼胝の指もてそつと土筆摘む
　　79.真夜中の蜆舌出す音と聞く
　　81.満開のミモザ小雨の除けて降り
　　82.道の駅不揃ひを買ふ春みかん
　　84.目借時類句類想ばかりかな
　　88.寄る年波忘れ佐保姫に会いにゆく　
　　89.老人てふレッテル剥がす春の風
　　90.六角形亀鳴く仲間こうら干し

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選者（敬称略）
泥 舟　麦 秋　TOTORO　そよかぜ　翔 行　雪 子　Tiger6　俊 雪　苦 瓜　利 明　panapana　secchan　夢追人　しょうく　山椒の実　方 舟　さんせん　昇 峰