【夜なべ】
お六櫛つくる夜なべや月もよく 　　　　　　　山口青邨
夜なべしにとんとんあがる二階かな 　　　　　森川暁水
夜なべせる老妻糸を切る歯あり　　　　　　　 皆吉爽雨
飢ゑすこしありてはかどる夜なべかな　　　　 鷹羽狩行
さびしくて夜なべはかどりをりにけり 　　　　山田弘子
暗闇の先に海ある夜なべかな　　　　　　　　 伊沢 恵
夜業人に調帯たわたわたわたわす 　　　　　　阿波野青畝
物落ちし音に夜なべの顔あげぬ 　　　　　　　丸山茨月
大空に月を放ちて夜なべ村 　　　　　　　　　富安風生
そばにゐるたのしさこめて夜なべ唄 　　　　　加倉井秋を
眠りこけつつ尚止めぬ夜なべかな 　　　　　　高浜虚子
しはぶきのあとの淋しき夜業かな 　　　　　　米澤吾亦紅

明日の兼題は、「秋高し」です。