【田植】
田一枚植て立去る柳かな 　　　　　　　芭 蕉
田を植ゑて空も近江の水ぐもり 　　　　森 澄雄
山の湯の田植終へたる顔ばかり　　　　 国安一帆
やさしやな田を植るにも母の側 　　　　炭 太祇
田を植ゑて畷の子等となりにけり 　　　石田波郷
明るさの田植の足を洗ふなる　　　　　 高野素十
田を植ゑて佐夜の中山明るうす 　　　　永方裕子
忽ちに一枚の田を植ゑにけり 　　　　　高浜虚子
峡の雨田植の唄もなかりけり 　　　　　岸田稚魚
浅間なる照り降りきびし田植笠 　　　　前田普羅
みめよくて田植の笠に指を添ふ 　　　　山口誓子
田植笠紐結へたる声となる 　　　　　　中村汀女

明日の兼題は、「燕子花」です。