【雲の峰】
雲の峯いくつ崩れて月の山 　　　　　芭 蕉
雲の峰八方焦土とはなりぬ　　　　　 加藤楸邨
雲の峰一人の家を一人発ち　　　　　 岡本 眸
峰雲を生みつぐ海の力業 　　　　　　原 裕
厚餡割ればシクと音して雲の峰 　　　中村草田男
雲の峰立正安国論を蔵す　　　　　　 川崎展宏
雲の峯噴煙小さくなりにけり　　　　 大串 章
東塔と西塔つなぎ雲の峰 　　　　　　佐藤信子
積乱雲つねに淋しきポプラあり 　　　金子兜太
峰雲を蹴りたる海女の双足よ 　　　　佐野鬼人
雷雲やシャツを括りし大漁旗 　　　　関口祥子
雲の峰信玄の寺梁太し 　　　　　　　伊藤伊那男
月山に速力のある雲の峰 　　　　　　皆川盤水

明日の兼題は、「滴り」です。