7月後半のサークル句会の選句結果です。今回の一席は、昇峰の「夜の秋」句の7点句、二席は、さんせんさんの「蝉しぐれ」句、三席は、利明さんの「夜の秋」句の5点句でした。一席は、庭石に残る夏の暑さです。二席は、本陣跡の大楠から降り注ぐ蝉時雨、大きな景です。三席は、新酒作りを控えての晩夏の荘厳な儀式ですね。来回もまたよろしくお願い申し上げます。

一席　７点句（◎◎◎○○○○）
　　50.庭石に残るぬくもり夜の秋　　　　　　　　　　昇 峰
二席　6点句（◎○○○○○）
　　14.大楠の本陣跡や蝉しぐれ　　　　　　　　　　　さんせん
三席　５点句（◎◎◎◎○）
　　25.酒蔵に高き神棚夜の秋　　　　　　　　　　　　利 明
５点句（◎○○○○）
　　21.切支丹忍びし里や凌霄花　　　　　　　　　　　麦 秋
　　34.城垣の日陰日向を黒揚羽　　　　　　　　　　　昇 峰
　　79.涼風や三十畳の大広間　　　　　　　　　　　　夢追人
４点句（◎◎◎○）　
　　70.方丈に蓮の風入る運座かな　　　　　　　　　　山椒の実
　　　（◎◎○○）
　　22.香煙の真直ぐ上がる大暑かな　　　　　　　　　さんせん
　　　（◎○○○）
　　08.板一枚刻む円空仏涼し　　　　　　　　　　　　方 舟
　　　（○○○○）
　　17.風の道親子大工の三尺寝　　　　　　　　　　　そよかぜ
３点句（◎◎◎）
　　10.一升瓶真中に据ゑて夏祓　　　　　　　　　　　TOTORO
　　　（◎◎○）
　　12.炎天や呵呵大笑の羅漢かな　　　　　　　　　　夢追人
　　63.ひまさうに蠅追ふ午下の乾物屋　　　　　　　　山椒の実
　　　（◎○○）
　　04.朝涼や飛騨に目覚めて朴葉味噌　　　　　　　　利 明
　　45.途切れなく山頂めざす灯の涼し　　　　　　　　方 舟
　　59.人知れず働く母の草むしり　　　　　　　　　　TOTORO
　　　（○○○）　
　　06.阿波踊腰をしづめて男連　　　　　　　　　　　苦 瓜
２点句（◎◎）
　　64.ひまはりの迷路の中に子を放つ　　　　　　　　苦 瓜
　　69.古里の梲の街や祭笛　　　　　　　　　　　　　苦 瓜
　　　（◎○）
　　38.攻窯の煙蒼むや夜の秋　　　　　　　　　　　　苦 瓜
　　　（○○）
　　19.カラコロと宿下駄の音夕涼し　　　　　　　　　夢追人
　　27.沈む日に灼けて崩るる雲の峰　　　　　　　　　昇 峰
　　33.庄屋跡今や学び舎百日紅　　　　　　　　　　　麦 秋
　　43.テキサスの大地呑込む大夕焼　　　　　　　　　翔 行
１点句（◎）
　　09.いつしかに辞書の字つぶれゆく昼寝　　　　　　TOTORO
　　36.水害の友を思ひつ水を撒く　　　　　　　　　　そよかぜ
　　44.とうすみに流れの早き野川かな　　　　　　　　昇 峰
　　53.蓮開く音を聞いたと弾む妻　　　　　　　　　　山椒の実
　　65.風鈴の音を絡めし風の道　　　　　　　　　　　そよかぜ
　　　（○）
　　01.青柿や山影映す白樺湖　　　　　　　　　　　　panapana
　　20.聞くほどに安田祥子の声涼し　　　　　　　　　夢追人
　　23.苔むせる代々の墓秋の蝶　　　　　　　　　　　翔 行
　　26.歯科眼科はしご通院残暑かな　　　　　　　　　翔 行
　　29.自販機の釣銭の音夜の秋　　　　　　　　　　　昇 峰
　　30.島にある田舎歌舞伎の道をしへ　　　　　　　　panapana
　　31.島を去る船の航路や二重虹　　　　　　　　　　麦 秋
　　34.ソーダー水弾ける青春甲子園　　　　　　　　　Tiger 6
　　61.ひとり旅湖畔の宿のソ－ダ水　　　　　　　　　panapana
　　72.防塁の残る荒野の草いきれ　　　　　　　　　　さんせん
　　73.ぽつねんと秋の灯ともる運河かな　　　　　　　泥 舟
　　76.夕顔や裏木戸たたく人の声　　　　　　　　　　panapana
　　80.涼求め訪ねし信州熱帯夜　　　　　　　　　　　secchan
無点句
　　02.明易やけふはゴッホの生誕地
　　03.浅草に異人花嫁白絣
　　05.朝の日に落葉が光る台風過
　　07.雨欲しき辿り着きたや残暑待ち
　　11.円錐の利尻の山や雲の峰
　　13.老いて田を守るはらから稲の花
　　15.落とし穴雷電しこの夢の跡
　　16.御嶽山豪雨に荒れし登山道
　　18.片蔭へ試歩の一歩を踏み出せる
　　24.歳時記をルーペで覗く秋灯下
　　28.静やかに負け碁慰む風鈴や
　　32.灼熱の馬籠峠を妻籠へと
　　35.審判を挟み挨拶炎天へ
　　37.石磴の滑りやすさよ夏落葉
　　39.前略の次ぎ書き惑ふ半夏生
　　41.長考の解けぬ老爺の木下闇
　　42.鎮魂の夜の地響き白花火
　　46.蕺菜(どくだみ)の白き十字や医王門
　　47.夏の月ヒルズ屋上ほしいまま
　　48.虹の橋渡る空中七変化
　　49.西日射す夏日の書斎ゆだつやう
　　51.宣はる齢に見えず秋蛍
　　52.白桃を器用に剥ける娘に育つ
　　54.蓮咲き朝の読誦の透き通る
　　55.花火ショードーンと歓喜の競演へ
　　56.原つぱに日陰もなくて立葵　
　　57.半世紀ぶりの再会富士登山
　　58.ひつそりと古き運河や秋灯
　　60.人知れず山道の脇銀竜草
　　62.避難所へ行く道すがら油蝉
　　66.武家街の堀の鯉跳ね晩夏光
　　67.藤袴の花になりにし秋の蝶
　　68.文机の一輪挿しや秋灯
　　71.鬼灯市ふたりで選ぶ星の夕
　　74.短夜や避難所の夜の尚みじか
　　75.悠然と太陽宿す朝露や
　　77.夕立や一雨くれよ怖いけど
　　78.夕焼けて塒に帰る鴉かな

評点につきまして間違いがありましたら、お早めにお申し出ください。

選者（敬称略）
苦 瓜　泥 舟　麦 秋　TOTORO　Tiger６　利 明　翔 行　そよかぜ　山椒の実　ゆかし　panapana　夢追人　secchan　方 舟　昇 峰　さんせん