８月前半のサークル句会の選句結果です。今回の一席は、利明さんの「走馬灯」句の６点句、二席は、翔行さんの「流れ星」句と利明さんの「短夜」句の5点句、三席は、panapanaさんの「西瓜」句の５点句でした。一席の走馬灯の本意には、娯楽用とは言え、寂しさ、哀しさ、懐かしさもあります。そうした本意を真正面から捉えた佳句でした。来回もまたよろしくお願い申し上げます。

一席　６点句（◎◎◎○○○）
　　21.還らざる日々を繰りをり走馬灯　　　　　　　　　　利 明
二席　５点句（◎◎○○○）
　　10.一瞬の宇宙の息吹き流れ星　　　　　　　　　　　　翔 行
　　62.短夜や読経に醒むる坊泊り　　　　　　　　　　　　利 明
三席　５点句（◎○○○○）
　　64.道の駅戸板に並ぶ大西瓜　　　　　　　　　　　　　panapana

４点句（◎◎◎◎）
　　75.露天湯のほてりを冷ます秋蛍　　　　　　　　　　　さんせん
　　　（◎○○○）
　　65.水底の我が影追ふてあめんぼう　　　　　　　　　　山椒の実
　　　（○○○○）
　　07.暑いねと会う人ごとに声をかけ　　　　　　　　　　ゆかし
３点句（◎◎○）
　　59.踏まるるな蟻よ舗石の目地を行け　　　　　　　　　利 明
　　72.流星や縁のうすき妻なりし　　　　　　　　　　　　山椒の実
　　　（◎○○）
　　23.掲額の写真ぬぐひて盆支度　　　　　　　　　　　　方 舟
２点句（◎◎）
　　08.天の川アラスカ発の最終便　　　　　　　　　　　　翔 行
　　24.芸州の山の闇より夏出水　　　　　　　　　　　　　翔 行
　　31.宿坊の朝勤行や牽牛花　　　　　　　　　　　　　　さんせん
　　　（◎○）
　　05.阿修羅とて眉間に皴の大暑かな　　　　　　　　　　利 明
　　14.現世を啼き尽せるや蝉落ちる　　　　　　　　　　　しょうく
　　22.玉堂の山水の景宿涼し　　　　　　　　　　　　　　夢追人
　　26.原爆忌川辺を飾る白芙蓉　　　　　　　　　　　　　翔 行
　　38.台風の逆走に見る地球の悶え　　　　　　　　　　　ゆかし
　　54.念入りに磨く山靴夏の果　　　　　　　　　　　　　昇 峰
　　61.星ひとつ流れえにしのはかなさよ　　　　　　　　　山椒の実
　　69.夜の秋水百選の街散歩　　　　　　　　　　　　　　夢追人
　　　（○○）
　　27.座布団を仏間に積んで盆用意　　　　　　　　　　　さんせん
　　43.露草や生きたあかしの無言館　　　　　　　　　　　方 舟
　　44.手摺り持ち渡る吊り橋初嵐　　　　　　　　　　　　panapana
　　50.波荒き海峡跨ぐ天の川　　　　　　　　　　　　　　泥 舟
　　66.山間に集落一つ天の川　　　　　　　　　　　　　　泥 舟
１点句（◎）
　　01.青柿や梲の上る藍屋敷　　　　　　　　　　　　　　苦 瓜
　　15.海原に十字をきるや敗戦忌　　　　　　　　　　　　泥 舟
　　16.姥目樫焼く窯出しや秋暑し　　　　　　　　　　　　苦 瓜
　　29.山頂や雲に飛び交ふ群蜻蛉　　　　　　　　　　　　昇 峰
　　35.生も死もこの大瀧の飛沫かな　　　　　　　　　　　苦 瓜
　　47.団栗ころころ傘寿の同窓会　　　　　　　　　　　　麦 秋
　　49.なだらかに撓む吊尾根雲の峰　　　　　　　　　　　昇 峰
　　52.寝返りの枕の湿り熱帯夜　　　　　　　　　　　　　しょうく
　　68.夜長する時を忘れる都会人　　　　　　　　　　　　Tiger 6
　　73.烈日の空の色めく岩桔梗　　　　　　　　　　　　　昇 峰
　　　（○）
　　17.衛士小屋の人の気配のなき簾　　　　　　　　　　　山椒の実
　　18.蝦夷富士を斜めに走る初嵐　　　　　　　　　　　　麦 秋
　　19.王手差すその一瞬の添水音　　　　　　　　　　　　麦 秋
　　25.元気かとつくつく法師鳴き初むる　　　　　　　　　山椒の実
　　28.爽やかに田圃あぜ道朝散歩　　　　　　　　　　　　Tiger 6
　　51.南瓜を愛しと撫でて尼厨　　　　　　　　　　　　　麦 秋
　　60.鬼灯を挿して色めく墓園かな　　　　　　　　　　　さんせん
　　67.夕焼の海恍惚と眺めをり　　　　　　　　　　　　　泥 舟
無点句
　　02.仰向けで動かぬ蝉の静かなり
　　03.赤蜻蛉八十八橋の空溢れ
　　04.朝市やほまちの茸ひざもとに
　　06.明日香路に朝日抱き込み芒原
　　09.異常気象豪雨に猛暑不気味なり
　　11.稲妻やレンブラントの闇の色
　　12.鰯雲掬へるようなスカイツリ－
　　13.鰯雲悠古里筑波峰
　　20.降りし人乗る人癒す大噴水
　　30.試合終え帰りの途の大西日
　　32.神殿でカラス共鳴初嵐
　　33.新聞受けまでのぬか雨秋に入る
　　34.水盤に泳ぎせはしき目高の子
　　36.堰落ちる小川のリズム夜の秋
　　37.尖塔のポツンと火星空涼し
　　39.台風の来るや空には怪し雲
　　40.棚経のきこえて乾く花畑
　　41.父母のいます天界天の川
　　42.地平線より星の湧く野分晴
　　45.手花火や雫の花を待ちわびる
　　46.トコロテン祖母となりきて三十年
　　48.団栗を踏んで参道大梵鐘
　　53.寝坊して頭抱える短夜かな
　　55.八月や忘れ得ぬ日々巡りくる
　　56.初体験熱波四十一度かな
　　57.花散しつつ満たし咲く百日紅
　　58.被災地にタレントの来る日輪草
　　63.水に乗り白煙に乗り水花火
　　70.ラムネ抜く旅の終りのみちのく路
　　71.ランドセルむくげ散らしてゐたりけり
　　74.路地裏でバイクの盆僧道迷う

評点につきまして間違いがありましたら、お早めにお申し出ください。

選者（敬称略）
泥 舟　利 明　麦 秋　山椒の実　翔 行　Tiger６　そよかぜ　苦 瓜　ゆかし　panapana　しょうく　方 舟　さんせん　昇 峰　

選句中（敬称略）
夢追人