【夜寒】
さいはての港夜寒の灯を撒けり 　　　遠藤梧逸
次の間の灯で飯を喰ふ夜寒哉 　　　　小林一茶
犬が来て水のむ音の夜寒かな 　　　　正岡子規
落雁の声のかさなる夜寒かな 　　　　許 六
下京のともし火並ぶ夜寒かな 　　　　高浜虚子
あはれ子の夜寒の床の引けば寄る 　　中村汀女
咳ひとつ赤子のしたる夜寒かな　　　 芥川龍之介
英虞夜寒筏少なになりしかな　　　　 高木青二郎
水音に千鳥ケ淵の夜寒かな 　　　　　桜木俊晃
戸にあたる宿無し犬や夜寒き 　　　　長谷川かな女
夜寒さの松江は橋の美しき　　　　　 森 澄雄
枕辺に眼鏡を外す夜寒かな 　　　　　山口誓子
母とわれ夜寒の咳をひとつづつ 　　　桂 信子
鯛の骨たたみにひらふ夜寒かな 　　　室生犀星

明日、明後日は予備日です。「今週の俳句」は月曜日に掲載します。月曜日の兼題は、「黄落」です。