【兎】
ためらひしあとまつすぐに兎道 　　　　斉藤美規
絹機を織るやかゞよふ白兎 　　　　　　中村草田男
兎の耳吹雪を笛と聞くことも 　　　　　新谷ひろし
兎追ふ林中に声満ちにけり 　　　　　　加藤憲曠
撃たれし血口に含みて兎死す　　　　　 野見山朱鳥
志賀山の霧降る夜道兎跳ぶ 　　　　　　堀口星眠
兎汁梁をねずみの走りけり 　　　　　　成瀬櫻桃子
野兎の真面目な貌と野に出会ふ 　　　　松尾節朗
兎落つ雪まみれにて陰赤く 　　　　　　加藤知世子
白兎月に住みしを語り草 　　　　　　　鈴木栄子
衆目を蹴って脱兎や枯野弾む 　　　　　中村草田男
どびろくや兎の肉は土臭き 　　　　　　瀧 春一

明日の兼題は、「煤払」です。