【落穂】　
夕ぐれの葛飾道の落穂かな 　　　　　　　高野素十
落穂拾ひ日あたる方へあゆみ行く 　　　　蕪 村
落穂拾ひ殉教の島いまも貧し　　　　　　 成瀬櫻桃子
千枚田の落穂拾ひを見たかりし 　　　　　細見綾子
落穂拾ひ見しより汽車は暮れにけり　　　 皆吉爽雨
拾ひ持つ落穂のいつか夕冷えて 　　　　　富安風生
落人の墓に落穂を仏花とす 　　　　　　　阿波野青畝
落穂拾ひ去るや夕澄む穂高岳 　　　　　　水原秋櫻子
月出でてぬくき落穂の一にぎり　　　　　 新田祐久
裏比叡も落穂拾ひも昏れてゆく　　　　　 大橋越央子
落穂拾ふ真昼は水の音かすか 　　　　　　石原八束
落穂拾ふいつしかひとりだけの道 　　　　加倉井秋を

明日の兼題は、「身に入む」です。