３月後半のサークル句会の選句結果です。今回の一席は、利明さんの「草餅」句の８点句、二席は、昇峰の「桜」句の５点句、三席は、方舟さんの「春雨」句の４点句でした。伊勢参りは、一年中行われますが、特に春の気候の良い頃に多くの人が詣でたので、遍路と同じく、春の季語になっています。「長谷詣」は季語ではありませんが、伊勢参りに劣らず、平安の貴族が多く詣でていたようです。草餅との取合せが実に巧みで参拝の賑わいが見えるようです。来会もよろしくお願い申し上げます。

一席　８点句（◎◎◎◎◎○○○）
　　21.草餅の焦げ香ばしや長谷詣　　　　　　　　　利 明
二席　５点句（◎◎○○○）
　　03.雨粒の重さ加へて糸桜　　　　　　　　　　　昇 峰
三席　４点句（◎◎◎◎）
　　52.仏とも思ふ石くれ春の雨　　　　　　　　　　方 舟

４点句（◎◎◎○）
　　39.苗札の文字難しき薬草園　　　　　　　　　　方 舟
　　44.春うらら足湯に浸る異邦人　　　　　　　　　panapana
　　34.断層の貝の化石や春の雨　　　　　　　　　　方 舟
３点句（◎◎○）
　　54.陵を塗りつぶすごと山桜　　　　　　　　　　昇 峰
　　60.吉野への道幾筋も山桜　　　　　　　　　　　利 明
　　　（◎○○）
　　09.円墳の高松塚や名草の芽　　　　　　　　　　さんせん
　　47.春疾風故郷へ急ぐ夜汽車かな　　　　　　　　昭 子　
　　　（○○○）
　　15.河原には素人芸人散る桜　　　　　　　　　　麦 秋
２点句（◎◎）
　　30.知床の気流に乗りて鳥雲に　　　　　　　　　苦 瓜
　　43.箱舟を浮べてひとり海苔掻女　　　　　　　　苦 瓜
　　　（◎○）　
　　06.移ろひの棚田に別れ鳥帰る　　　　　　　　　panapana
　　13.おぼろ月荷台で眠る九十九里　　　　　　　　Tiger 6
　　23.合格のラインメールやチューリップ　　　　　さんせん
　　27.春宵の茶房に聞くやモダンジャズ　　　　　　孤 山
　　28.春昼や電話のベルの遠く鳴る　　　　　　　　翔 行
　　42.のどけしや柱時計のぼんと鳴る　　　　　　　孤 山
　　　（○○）
　　10.大寺の甍光るや雪解風　　　　　　　　　　　利 明
１点句（◎）
　　16.観覧車日は落ちながら春の月　　　　　　　　昭 子　　
　　20.岐路に立つ馬頭観音花あしび　　　　　　　　昇 峰
　　37.点滴の窓にふふみし桜かな　　　　　　　　　さんせん
　　56.芽起しや三山背を丸うして　　　　　　　　　利 明
　　57.百千鳥泉下の殿に春告げる　　　　　　　　　翔 行
　　　（○）
　　01.あえぎつつ出世石段昇る春　　　　　　　　　panapana
　　02.仰ぎ見る標本木の二輪かな　　　　　　　　　さんせん
　　04.石橋でわたる卯の花垣の家　　　　　　　　　昇 峰
　　05.一本の尾根の薄墨桜かな　　　　　　　　　　苦 瓜
　　12.お互いに君も蒲公英我も亦　　　　　　　　　麦 秋
　　14.かなたなる雲間に一閃春の雷　　　　　　　　翔 行
　　18.喜寿なれば青春切符春遠出　　　　　　　　　利 明
　　24.桜咲く新入社員の頃をふと　　　　　　　　　昇 峰
　　25.桜咲く歩巾広げて遊歩道　　　　　　　　　　panapana
　　32.太閤の「醍醐の花見」百千鳥　　　　　　　　翔 行
　　45.春香る口笛吹いて散策へ　　　　　　　　　　Tiger 6
　　50.平成はあと幾許や春惜しむ　　　　　　　　　翔 行
　　59.夜桜や露天賑わふ通り抜け　　　　　　　　　苦 瓜
無点句
　　07.うららかな道それぞれの小鳥たち
　　08.うららかに積まれ新居のタンスかな
　　11.幼子の手を手に取りて朝桜
　　17.如月や旧約聖書の革表紙
　　19.狐窪ふっくら木の芽土竜塚
　　22.源泉を地蔵に掛けし春の昼
　　26.慕ひしける姉の命日牡丹の芽
　　29.白梅と言ふも殘りし愕の紅
　　31.姿見せず小綬鶏ここにとけたたまし
　　33.賜りし菜花煌めく昼餉かな
　　35.近付いてまた逃げ帰る野焼かな
　　36.天神の鶏地を突く春彼岸
　　38.利根の水に別れの光り真菰の芽
　　40.西風や微睡むごとし涅槃仏　　
　　41.長閑やな松籟に和し鳶の笛
　　46.春なれや連山全て萌黄色
　　48.懐にほろと入りける雪柳
　　49.平成の御代も終りや春惜しむ
　　51.ペンキ屋のつなぎ汚るる春のいろ
　　53.奔放にしなだれかかり雪柳
　　55.見る人も風にゆらゆら花ミモザ
　　58.山笑う芝山越えのランナーも

評点につきまして間違いがありましたら、お早めにお申し出ください。

選者（敬称略）
麦 秋　孤 山　翔 行　利 明　昭 子　Tiger６　苦 瓜　panapana　昇 峰　方 舟　しょうく　さんせん