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美術論

みはまさん
トピック作成者:みはま さん
2015.11.12
美術関係の本の読後感
書き込み
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11ページ
21
麦秋さん
2017.1.28 3:51
「ムンクの世界 新人物往来社編」を読む。
エドヴァルド・ムンク Edvard Munch (1863~1944享年80歳)はノルウェー生れの画家だ。ノルウェーでは国民的画家である。
彼はフランス、イタリア、ドイツで芸術活動をする。
ムンクの有名な「叫び」は人類の底知れぬ不安や恐怖を表している。彼は「叫び」を何枚も描いた。
○ ムンクが語る自分の精神状態
「病と狂気と死が、私の揺りかごを見守る暗黒の天使だった。」とムンク自身が後年に語っている。
彼は生涯、母からの結核という病と父からの狂気の遺伝を強く意識していたのである。そして、この暗黒の天使は、ムンク芸術に「生涯にわたってつきまとった。」
○ ムンク作品の魅力。
病や狂気や死を主題とし、(母や恋人たちとの不幸な関係という)きわめて個人的なモティーフを何度も変奏することで、普遍的な象徴性へと高めていった点にある。それは、繰り返される内なる叫びの昇華とも言えるだろう。
○ 「ムンクは同一テーマを何度も繰り返して描き、主要作品を手放す時は必ずもう1枚描いた。それは、コピーではなく、原体験へと帰り沈潜する行為で、いわば、魂の告白を繰り返す行為といえるだろう。」
○ ムンクが語る「叫び」の由来。
「叫び」の絵は叫びを聞いた人物が耳を塞いでいるのだ。
ムンクは保養地ニースで、血のような夕日を目にしたことで、故国ノルウェーのオスロ・フィヨルドに太陽が沈む強烈な情景を思い出し、悪戦苦闘の末に、このイメージを画布に結実させたのだ。
1892年1月22日の日記に、「2人の友人と道を歩いていた。太陽が沈み、ものうい気分におそわれた。突然、空が血のように赤くなった。私は立ち止って手すりにもたれた。とても疲れていた。そして見たのだ、燃えるような雲が群青色をしたフィヨルドと街の上に、血のように剣のようにかかっているのを。友人たちが歩み去ってゆくが、私は恐怖におののいてその場に立ちすくんだ。そして聞いた。大きな、はてしない叫びが自然をつらぬいてゆくのを。でも」と記している。
○ムンクの自画像
「女の仮面の下の自画像」「タバコを持つ自画像」「ワインボトルのある自画像」「医師ヤコブセンの病院での自画像」「スペイン風邪の後の自画像」「自画像」「窓辺の自画像」「柱時計とベッドの間の自画像」「パステルを持った自画像」「骸骨の腕のある自画像」のいずれも、端整な顔立ちで、意志の強さが伝わってくる。
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20
麦秋さん
2017.1.21 9:30
「名画の見どころ読みどころ・15世紀ルネッサンス① 朝日新聞社編」を読む。
○ この本の表紙の「ヴィーナスの誕生・ボッティチェリ」は私の好きな絵です。ボッティチェリの「プリマヴェーラ」(春の寓意)はJR検見川浜駅の近くノレストランにもレプリカが飾ってあるほど有名だ。
○ カラヴァッジョの「マグダラのマリアの法悦」には驚く。
この本では美しいカラー印刷でルネッサンス芸術を紹介する。
○ しかし皆さま、画集で満足するだけでなく、美術館で好きな絵と会話するのが楽しいですね。
○ ヨーロッパにおけるルネッサンスの中心はイタリアのフィレンツェだった。15世紀後半、フィレンツェの文化は最盛期を迎える。
○ 昨年2016年は「日本イタリア修交150年」で多くのイタリア美術展が日本で公開された意義ある年であった。
お陰さまで昨年私は昨鑑賞したイタリア関係の美術展の例です。
○2月17日 東京都美術館「 ボッティチェリ展 」
○2月17日 江戸東京博物館「レオナルド・ダ・ヴィンチ展 」
○4月16日「日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展」
○8月7日「汐留パナソニックミュージアム。ミケランジェロ展 ルネサンス建築の至宝」
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19
麦秋さん
2017.1.15 10:11
「怖い絵で人間を読む 中野京子」を読む。
○ 絵が怖い。絵に怨念が籠もっている。その理由は「ヨーロッパの歴史、文化」が怖いからである。写真の無かった時代の絵は今の報道写真であった。
○ 19世紀以前の絵画は「見て感じる」より、「読む」のが先であるというコンセプトのもとに書かれた書だ。
その理由は、1枚の絵画にはその時代特有の常識や文化、歴史、隠されたシンボルなどが存在しているから、とされている。それ故、本書はこのような絵画の背景を説明していくというスタンスをとっている。そして、それらを説明するために選んだ視点が「怖さ」ということである。
○内容は大まかに、歴史画、神話的作品、風景画、歴史画、観念的作品、宗教画と続く。最初の歴史画ではハプスブルク家についての作品が、次の神話的作品ではローマ神話についての作品などが扱われている。また、続く歴史画ではロシアの歴史について触れ、最後の宗教画では様々な磔刑図について説明している。
○ ハプスブルク家についての章(運命、呪縛、憎悪)
と、ロシアの歴史についての章(憤怒)、さらに、磔刑図についての章(救済)であった
○ 著者は読者を夢中にさせるような内容を選ぶのが非常に上手い。専門的になりすぎず、かつ、幼稚にもならないという絶妙のラインが保たれている。また、説明も非常に分かりやすい。歴史が生きているような感覚を、読んでいて受けた。
絵画として印象に残ったのは、「我が子を喰らうサトゥルヌス(ゴヤ)」、「イワン雷帝とその息子」であった。この2枚は確かに怖かった(背景的にも、ヴィジュアル的にも)。
○ 美しい絵画を楽しみながら、様々な絵に纏わる知識が身に付く良書と言えよう。本書を絵画に興味があるという方に広くお勧めします。
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18
麦秋さん
2017.1.13 21:22
「もっと知りたいルノワール生涯と作品 島田紀夫」を読む。
○私はルノワールの絵を数々の美術館で目近に見ました。私はルノワールの温かい色彩、柔らかい筆使いが好きです。
あまりにも有名な画家オーギュスト・ルノワール(1841~1919、享年78歳)について紹介した本です。オールカラーで印刷も良い。作品が多く掲載され、生涯と作品の変遷がわかりやすく解説されている。
○作品総数が4000点以上もあると推測されているというのは驚きです。
ルノワールは印象派の画家でありながらサロン(官展)への出品にもこだわった。ルノワールは良き友人のモネと共にしばしば戸外で風景スケッチした。
○ ルノワールは女性や子供の絵を多く描いた。また裸婦。自画像を多く描きました。
ルノワールは古典主義への回帰を試みた。イタリア旅行の際にラファエロの絵を見て感激した。
ルノワールとセザンヌはお互いに信頼する友人であった。
ルノワールを支えた女性、アリーヌ・シャリゴ。ルノワールはリウマチとの闘いの中で長生きして描き続けた。
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17
麦秋さん
2017.1.13 14:12
 「もっと知りたいクリムト 千足伸行」を読む。
グスタク・クリムト(1862~1918)は世紀末のウィーン王朝を代表する耽美的で装飾的な画風を誇る画家だ。
彼は「ワルツ王」ヨハン・シュトラウス(1825~1992)とほぼ同じ時代に生きた画家だ。その時代はハプスブルク王朝の末期でもあった。
○ クリムトのデビューから晩年までの作品を年代順に眺めると、時代の潮流を受けて作風が変化しているのが分かる。21歳の時の「寓話」と56歳の「アダムとイヴ」の作品は、同じ画家が描いたとは思えないほどの変遷をたどっている。次第に個性的に装飾的になっていく様を簡単に理解できる。
生涯独身を通しながら、私生児を14人に残したという発展家でもあり、作品同様生き様も変化に富んでいた。
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16
麦秋さん
2017.1.7 22:48
「日本絵画のあそび 榊原悟」を楽しく読む。
著者の言葉「さあ美術館に行こう。自分の眼で作品を見よう。」
著者榊原悟さんは多くの人を美術館に誘い込もうと企くらんだ。
私はもう、すっかり榊原悟さんの企みに掛かった。昨年は32の美術館を訪問した。自分ながら呆れた。それだけ行こうと思えば1日3美術館へ行く事もある。楽しくて良い運動になる。歩数計の数字が上がるのも良い事だ。
曾我蕭白の「達磨図」は愉快だ。達磨さんが苦笑いしてるよ。
尾形光琳の「虎図」の虎は可愛いな。背景の竹林が無ければ猫だと思う。
歌川国芳の「朝比奈小人遊」はまるでガリバー旅行記だ。
下村観山の「不動明王」の不動明王は孫悟空のように空を飛んでいる。
○ 著者榊原悟さんはサントリー美術館の学芸員から早稲田大学教授に転じた人。サントリー美術館時代には作品を楽しく鑑賞して貰う為に努力した。専門は日本絵画史で、本書では「奇想」「面白い」「愉快」の美術品が紹介されている。
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15
麦秋さん
2017.1.7 20:42
「知識ゼロからの名画入門 永井龍之介」を読む。
この本はカラー写真を掲示し名画の説明をする。読んで楽しく、見て楽しい名画入門だ。
○ 日本人に人気の名画
レオナルド・ダ・ビンチ「モナリザ」。フェルメール「真珠の耳飾りの少女」。モネ「睡蓮、緑の反映」。ルノワール「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」。ドガ「エトワール」。ルーベンス「キリスト降架」。ムンク「叫び」。ピカソ「ゲルニカ」。クレー「パルナッソ山へ」。エル・グレコ「無原罪の御宿り」。ボッティチェリ「春(プリマヴェーラ)」。ミレー「晩鐘」。クリムト「接吻」。
残念ながら私の好きなボッティチェリ「ヴィーナスの誕生」に言及していない。
○ 著者永井さんは試みに名画の評価額を試算する。
モナ・リザ5000億円。ピカソの「ゲルニカ」1000億円。
ラファエロの「ヒワの聖母」1000億円。ボッティチェリの「春(プリマヴェーラ)」1000億円。レンブラントの「パレットをもつ自画像」300億円。フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」200億円。
エル・グレコの「無原罪の御宿り」300億円。アングルの「泉」は50億円。ラ・トゥールの「大工の聖ヨセフ」30億円。ミレイの「オフィーリア」は30億円。
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14
麦秋さん
2016.12.29 20:52
「アメリカのジャポニズム 児玉実英」を読む。
私たちが知るジャポニズムはフランス印象派画家たちの日本文化の憧れであしかしアメリカにおけるジャポニズムはヨーロッパのジャポニズムより広範囲である。
○ 1851年の第1回ロンドン万博を契機に、19世紀後半は、ヨーロッパでm空前の日本ブームが沸き起こった。
ヨーロッパの時を同じくしてアメリカでも同様の流行を見るが、その場合、際立っていたのは、日本趣味の及んだ範囲が、美術や文学といったハイ・カルチャーにとどまらず、服飾、造園、装飾品といった生活に密着した品々にも広がったことである。本書は実例を示す。
○着物についての第一印象は「オペラ蝶々夫人」の舞台衣装であった。
日本人の着物感覚とは異なる面があった。
○アメリカジャポニズムの淵源は1860年の「万延元年遣米使節団」であった。アメリカ人は使節団を熱狂的歓迎をした。使節団は日本文化の伝道者と思われた。 
○ アメリカ文学の中のジャポニズム。
アメリカにおける忍者小説の流行。ロングフェローの伊万里礼賛論。短歌をモデルにした五行詩。俳句の流行等である。
○アメリカ美術のジャポニズム。
メアリー・カッサトは浮世絵の影響を受けている。ターベルは着物女性を描いている。
○その他アメリカの建築、庭園、ガラス工芸等にジャポニズムの影響を見る事ができる。

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13
麦秋さん
2016.12.23 20:11
「モダン・アートへの招待  木村重信」
モダン・アートは一般的には近代美術を言う。だが現代美術をも含む場合もある。厳密な分類はできない。
著者は先入観、偏見なしにモダン・アートを鑑賞して欲しいと望む。
詩人ボードレールはモダン・アートでは主題よりも形式が優位すると言う。
モダン・アートに於いては、鑑賞者は何を描いてあるか詮索するのは無益である。その作品の色彩とリズムを鑑賞すれば十分である。
ターナー、ピカソ、ダリ、マチス、シャガール、ゴッホ、デ・キリコ、ミロ、ルオー、ミレー、ブラック、ユトリロ、ルオー等の画家を取り上げ語る。
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12
麦秋さん
2016.12.18 23:31
「絵の教室 安野光雅」を読む。
 安野氏の人となりがわかる一冊であり、画家としてそこはかとなく伝わる情緒が感じられる。
○ 芸術家は自信を持ち、自分の道を行くべきだ。
想像力と創造力、つまりイマジネーションが大切だ。そして子供の頃の豊かなイマジネーションの世界がなんと貴重なものだったかと述べる。
○ 客観主義とは写真のように描く事ではない。芸術における客観主義とは事実を芸術家の頭脳で構成したこのである。
○ ゴッホはあたかも魔法の「赤い靴」を履かせられたように、来る日も来る日もひたすら絵を描き続ける。
自分の生活などどうでもいい。見る人に戦慄を感じさせる魔法の絵を描かずにはいられない。
○ 数学者クヌースの言う「頭の中に誰かがいて、わたしの感性を左右するもの、それは、つまりミューズだよ」と言った。
○ 森鴎外の言葉「なんだか自分を支配するものが頭の中にいて筆を動かす」
○ 安野氏は、一見幼稚に見える子供らしいイマジネーションを、ミューズというみずみずしい脳汁の枯渇した大人が否定したり矯正したりして、子供たちの将来を潰してしまわぬよう警告している。
○ 子供の絵に教師が手を入れた絵は実につまらないものだ。

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11
麦秋さん
2016.12.18 17:43
「処女懐胎  岡田温司」を読む。
この書は芸術論である。宗教論ではない。
イエス・キリストの母マリアは多くの人の癒しである。新約聖書では殆ど記述されないマリアは芸術の世界で重要な位置を占めるに至った。マリアは愛と平和の象徴であろうか。
処女にしてキリストを宿したとされるマリア。処女懐胎はキリスト教の中心に横たわる奇跡であり、夥しい図像を生み出してきた。
「無原罪」の「マリアは誕生にして罪がない」という否定形の図像化一つとってみても、西洋絵画に与えたインスピレーションは巨大である。
○ 聖書で記述の少ない「養父」ヨセフに高い評価を与える。
また同様に聖書で記述の少ない「マリアの母」アンナも聖家族の一員として崇められる。
ヨーロッパの宗教画ではキリスト教が培ってきた柔
軟な発想と表象を、キリストの「家族」の運命の変転を辿りつつ描き出す。

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10
麦秋さん
2016.12.9 6:09
「ぼくのマンガ人生 手塚治虫」を読む。
手塚治虫さん(1928~1989)の1986年~1988年の晩年の講演を抜粋した記録集だ。太平洋戦争を生き抜いた手塚治虫さんは、どの作品においても一貫して生命の尊さを説いてきた。この著作では、生い立ちや漫画との関わり、自身の考えなどから訴える。
○ 大人は子供に対等に向き合うべき(彼らに対して、私たちの次の世代を生きる者としての敬意を持ち、そのために私たちは彼らに大切なことを教えなくてはならない)というメッセージは胸に残る。
○ 手塚治虫さんのマンガは大阪大空襲と8月15日が原点だ。子供時代、父母、先生、友人との触れあい、作品にこめた熱いメッセージを語る。マンガを読み聞かせてくれた母、作文する楽しさを教えてくれた小学校の乾先生、絶体絶命の苦境で助けてくれた葛西さん。彼の創作を支えたものは闘争心であった。 この本の不滅のマンガ家手塚治虫さんが残した言葉に胸が打たれる。 


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9
麦秋さん
2016.12.7 19:11
「浮世絵で見る年中行事 中村祐子、大久保純」を楽しく読む。
江戸時代は約260年の平和な時代であった。浮世絵は江戸時代の庶民文化であった。浮世絵は世界に誇る文化だ。
○ この本はは旧暦1月から12月まで、春夏秋冬の行事を代表的な美しい浮世絵と共に辿る一冊だ。旧暦とは太陰暦で今でも農業で使われているのだ。
○ 浮世絵、俳句に興味ある方には是非読んで貰いたい本だ。
言う迄もなく浮世絵に添え、簡単な解説に加えて、各月毎の主な行事一覧、或いは大きな行事のしきたりを掲載する等の工夫もあり、江戸時代の年中行事をコンパクトに学べる良書だ。私達日本人が季節を重んじて来たかという事がよく解る。
この本を読んで、四季に恵まれた日本に於いて「季節の移ろい」を楽しむ事の幸せと心の豊かさを思う。
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8
麦秋さん
2016.12.5 11:08
「チャップリン再入門 大野裕之」を読む。
著者大野裕之さんはチャップリンを敬愛する。私も同じである。
チャップリンの映画には笑いと哀愁がある。そして弱者への労りがあるのだ。
○ 時代の奔流に抗い、映画を通して愛を貫いたチャップリン。極め付きの身体芸、痛烈な社会批評、そしてユーモアとヒューマニズム。数々の傑作群は世紀を越え、国境を越えて愛され、かつ問題提起し続けている。
○ 「黄金狂時代」のラストシーンは、放浪者チャップリンが二人で歩くのだが、このスマイルとよばれる音楽は有名であるが、道を歩く二人の影は、一日中歩いているように撮影され編集されていると撮影現地まで行って検証している。単なるハッピー・エンドではないのである。
○「独裁者」でのチャップリンの演説は、でたらめではなく意味があると著者は解読した。アメリカにも日本でもヒトラーの尊崇者がいた時代にヒトラーの本質を見抜いたチャップリンは素晴らしい。残念ながら日本はドイツと軍事同盟を結び第二次世界大戦に踏み込んだのである。
この映画は日本では戦後公開された。もし早く公開されていたら第二次世界大戦に突入しなかったかも知れない。
○ 「ライムライト」は、若い恋人の将来を思い自ら身を退く老コメデイアンを演じる。名優バスター・キートンが助演する。テーマ音楽も素晴らしい。

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7
麦秋さん
2016.12.2 22:50
「浮世絵 大久保純一」を読む。
表紙に使われている絵は歌川豊国が、錦絵制作に携わる職人たちを女性の姿に変えて描いた錦絵の一部でした。表紙から楽しいな。
筆者の大久保純一氏は、国立歴史民俗博物館研究部教授で、浮世絵研究の碩学です。
○ 大久保氏の長年の研究成果が、真っ正面から説明に表れています。新書版ながら説明に挿入されている浮世絵のカラー写真も美しい。
多くの図版が掲載されていますので、具体的に理解できるのも美術書の特徴でしょう。浮世絵の流れと全貌を知ることができ、体系的に浮世絵を学ぶことができます。
○ 千葉市美術館は浮世絵の所蔵を誇っています。私はしばしば浮世絵を見る機会があり嬉しい。
○ 私は千葉県在住なので浮世絵の創始者・菱川師宣(?~1694)が安房(千葉県)の出身である事が嬉しい。師宣の「見返り美人」は絶品だ。
○ この本では鈴木春信、鳥居清長、奥村政信、喜多川歌麿、東洲斎写楽、歌川豊国、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳、そして月岡芳年までの範囲を扱っていました。それぞれの絵師の特徴、代表作を見比べながら、浮世絵と一口に言っても様々なジャンルがあり個性豊かな作品が世に出ているのを知ることになります。
○ 本書を通読された後は、絵師の残した素晴らしい浮世絵と実際に美術館等でご覧になることをお勧めします。光による経年変化はあるにせよ、掲載写真とは色合いや雰囲気が微妙に違うでしょう。実物は絵師や摺師の思いが感じられる。



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6
麦秋さん
2016.11.25 22:03
みはまさん見ていただき有り難う御座います。
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みはまさん
2016.11.24 9:54
「もっと知りたい サバドール・ダリ 生涯と作品」 村松和明 東京美術 2016年7月刊
今、国立新美術館で「ダリ展」を開催している。展覧会の作品を見て、もっとダリを知りたいと思ってこの本を読む。
ダリは「天才を演じよ、されば天才になる」と言った。
狂気を装い、天才を自作した。
ダリには兄がいた。しかし1歳9か月で亡くなる。兄と同じ名前を命名されたダリは、自分は兄の身代わりかというトラウマに一生苦しめられる、優しかった母はダリが18歳のときに亡くなり、再びダリに衝撃を与える。こんな環境にありながら、ダリの絵画に対する才能は開花していく。
ガラとの愛も、彼に幸せをもたらさなかった、しかし、彼は生涯ガラを愛し続けた。
波乱万丈のダリの生涯を通じて、彼の作品は我々に優しい親しみを与えてくれる。
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麦秋さん
2016.10.30 23:01
「私の好きな美術館 NHK」を読む。
 タイトルの頭に、「29人のゆたかな個性が語る」と付いている。つまり芸術鑑賞は個人の好みだ。評論家先生さようなら。
○ 染織家の堀尾真紀子さんから、女優の高橋洋子さんから草森紳一さんまで好きな美術館を語る。
○ 私の推薦する知名度は低いが好きな美術館は、東京目黒区駒場の「日本民芸館」、千葉県千葉県鋸南町「菱川師宣記念館」、静岡市「芹沢銈介美術館」だ。
箱根の「成川美術館」は芦ノ湖の景観が素晴らしい。箱根の「ポーラ美術館」、伊東市の「池田20世紀美術館」群馬県水上の「天一美術館」は森の中で静かで良いな。
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麦秋さん
2015.12.19 5:13
「ひとり連句春秋 野坂昭如」を読む。
野坂昭如さんは2003年脳梗塞で倒れた。野坂昭如さんはリハビリを兼ね、講談社の編集者 宮田昭宏さんの助けを受け日本の伝統的な言葉遊び「連句」に挑む。この本は野坂昭如さんと宮田昭宏さんの友情の書だ。
まさに異色の歌仙ー『春の寝床』の巻と『秋の朝』の巻のふた巻きを完成させる。その句作実践の記録はまた、連句とはなにかという問いに分かりやすく答える。野坂昭如さんが実践を通じて、読者に贈る連句入門の書でもある。
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麦秋さん
2015.12.16 11:28
「日本の大和言葉を美しく話す 高橋こうじ」を読む。
「大和言葉が日本人の心に染みるのは、日本の風土の中で生まれ育った言葉だからです」「大和言葉はその一音一音が先祖たちの感性の投影なのです」。美しい大和言葉を再確認しましょう。
日本には漢語、外来語、大和言葉の3つがある。このうちの大和言葉について、代表的な言葉を選びながらエッセイ風に解説した本。落ち着いた品のよいデザインとイラストを添えた、柔らかな文体の文章で綴られているのが特徴である。
ごゆるりと、おてなし、いみじくも、こよなく、たそがれ(誰そ彼)、澪標(みおつくし)、お引き立ていただく、人いきれ、つむじまがり、とりなし、小春日和、きざはし、恋衣(恋する心)、しっくりいかない、山の端(は)、お上がりください、浜辺、見初める、さやか、手を携える、凪ぐ、声色(こわいろ)、ときわぎ(常磐木)、契りを結ぶ、あやかし(妖怪)、風足、おめかし、星月夜、焦がれ泣き、奇(く)しきゆかり、さいさき(幸先)等。
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みはまさん
2015.11.24 13:29
「すぐわかる西洋の美術」 宝木範義 東京美術
絵画、彫刻、建築、工芸について、その成り立ちと発展を描いた本、
小学生程度の子供向きの本である
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