メニュー
ゲストさん

読書室

古典

みはまさん
トピック作成者:みはま さん
2015.11.13
伊勢物語、源氏物語など古典の読後感はここに
書き込み
 戻る次へ 
1
11ページ
6
麦秋さん
2016.11.23 5:53
「田辺聖子の古事記 田辺聖子」を読む。
田辺聖子さんの古事記の解説は分かり易く面白い。さあ古事記を楽しもう。
○ 古代、伝説と神話は渾然一体化していた。古事記を語り継けた語り部は稗田阿礼(ひえたのあれ)であり、和銅5年(715)に書き残したのが太安萬侶(おおのやすまろ)だ。田辺聖子さんは現代の語り部だ。
○ この本を読むと、日本語とは美しいと事に驚く。
途中に説明される和歌の訳なども、学者が訳すのと違う。
○ 「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」須佐之男命。
(雲 八重に湧き めでたく囲む 新婚の殿ふかく 新妻と籠もって 永えに幸あれと)
○ 大和は国のまほらば 畳なづく 青垣 山籠れる 大和し 美はし」
(大和の国は国々中で、優れて美しい国幾重にも重なった青々とした山に囲まれ、その中にこっぽり籠もる、大和は、おお、なんと美しい国)
 倭建命の望郷の歌。私はこの歌が大好きです
○ 所々に入っている田辺聖子の注がまた古事記の世界に厚みを加えてくいる。「国生み」「天の岩戸」「海幸山幸」「沙本毘古と沙本毘売の物語」など、メジャーなお話から「久米歌」などあまり知らないものまで、めくるめく漢字と大和言葉の饗宴を楽しめるお勧めの一冊だ。
0人がいいねと言っています
5
麦秋さん
2016.11.19 21:09
「もろさわようこの今昔物語 もろさわようこ」を読む。
著者もろさわようこさん(1925年2月13日 - )は、女性史研究家。本名は「両沢葉子」さんです。
今昔物語は芥川龍之介の「芋粥」や「鼻」、映画「羅生門」の原典として「藪の中」、狂言の原典として知られる日本で最大の説話集だ。
○ 著者は今昔物語のユニークな話の数かずを独自な視点で描く。
その昔、運命の名の下、翻弄され、忍従の生活を強いられながらも、逞しく、したたかに生き抜いた人びとがいた。そして今も。800数十年の時空を超え、今の世に生き続ける古説話の中に、変わらぬ人間の姿を求める。


0人がいいねと言っています
4
麦秋さん
2016.4.16 7:22
「声に出して読みたい日本語4 斎藤孝」読む。
○古典は子供も頃から声を出して読んで欲しいな。とにかく名作はリズムから入るんだよ。例えば百人一首は声を出して読むから良いんだな。万葉集の和歌も当時の人たちは歌っていたんだ。
それを大伴家持は文字に書き留めたんだな。
井上陽水、村上春樹、谷川俊太郎も入って、すごく新鮮なシリーズ、ベストセラーの第4弾だ。
○日本語の可能性を探り、定番ものも加えてますます充実した内容となっている。
朗読ファン、齊藤考ファン必携の一冊である。『声に出して読みたい日本語』は朗読テキストとして、いまや万人の座右の書となった。第4巻では、村上春樹、井上陽水などの現代の名文まで新しく採用し、日本語の無限の可能性、多彩な言葉の探究を試みた。またユーモアのある言葉を多く採り入れたことも特徴のひとつである。日本語の豊かな広がりを存分に味わってほしい。
○『声に出して読みたい日本語』は朗読テキストとして、いまや万人の座右の書となった。第4巻では、村上春樹、井上陽水などの現代の名文まで新しく採用し、日本語の無限の可能性、多彩な言葉の探究を試みた。またユーモアのある言葉を多く採り入れたことも特徴のひとつである。この本を読んで日本語の豊かな広がりを存分に味わってほしいな。
0人がいいねと言っています
3
麦秋さん
2016.1.11 5:15
「梁塵秘抄信仰と愛欲の歌謡 秦恒平」を読む。
後白河法皇によって集成された今様集『梁塵秘抄』は、中世の歌謡曲集。古代女文化と中世男文化が混じり合い沸騰する平安末期に、民衆の間に流行し、世俗の諸相が息づく。言語表現など歴史資料的にも貴重な書だ。後白河法王は偉大なる今様(歌謡)伝承者だ。
皇室が日本文化の保護に努められた事は誰でも知っている事だ。後白河法王(1127年10月18日 - 1192年4月26日)は平安時代最後皇室を支えられた有力政治家である。
しかしながら今様(歌謡)を愛好され「梁塵秘抄」を保護するなど文化的にも大きな足跡を残された。
後白河法皇は少年のときより、今様と呼ばれる歌謡を好んだ。法王30歳代の時70歳代の「乙前」言う女歌謡演芸の上手を宮中に召し、多くの歌謡を学んだ。今様は踊りながら歌う。法王も宮中でそのように「今様」を踊りながら歌われた。死後それらが伝わらなくなることを惜しみ、書き留めて本にした。また、歌謡の歴史などについて、別に口伝集十巻を残された。
書名の「梁塵」は、名人の歌で梁の塵も動いたという故事より、すぐれた歌のことを言う。
「梁塵秘抄」の例
「遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん、遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ。」
「舞え舞え蝸牛、舞はぬものならば、馬の子や牛の子に蹴させてん、踏破せてん、真に美しく舞うたらば、華の園まで遊ばせん。」
「東屋(あづまや)の妻とも終(つい)に成らざりけるもの故に、何とてむねを合せ初めけむ。」
「仏は常にいませども、現(うつつ)ならぬぞあわれなる、人の音せぬ暁に、ほのかに夢に見え給ふ。」
みはま 1人がいいねと言っています
2
麦秋さん
2015.12.26 19:47
『「歌」の精神史 山折哲雄』を読む。う~む。なる程、さも有りなん。
近年母親が子守唄を歌うのを聞かなくなった。新聞の短歌欄を見ても散文的になり叙情が枯渇している。美空ひばりの「川の流れのように」は鴨長明の「方丈記」の冒頭を思わせると述べる。また演歌の叙情性を評価する。
「平家物語」は琵琶法師が琵琶の調べで歌った物語だ。それを聞いた事のない国文学者が得意げに評論するのは失礼だ。
いま、叙情が危ない。われわれの心の世界が乾き上がり、砂漠化しているのではないか。叙情を受け容れる器が損傷し、水漏れをおこしているからではないか。叙情とは、万葉以来の生命のリズムのことだ。魂の躍動をうながし、日常の言葉を詩の形に結晶させる泉のことだ。それが枯渇し危機に瀕しているのは、時代が平板な散文世界に埋没してしまっているからである。歌の調べが衰弱し、その固有のリズムを喪失しているからだ。いまこそ、「歌」の精神を取り戻すときではないか。
みはま 1人がいいねと言っています
1
麦秋さん
2015.12.12 1:20
「文学で読む日本の歴史 五味文彦」を読む。
著者はこれまでの歴史研究では見えなかったことを探ろうと、二つの方針を試みる。文学は即ち歴史を表すと考える。
○一つは、人の世代の進行を自然に反映する「百年」をひと区切りとした時間軸。
○もう一つは「文学」で、これを歴史の目で読み解くことである。
○ この二つによって著者が過去からたぐりよせ、目の前に示してくれるのは、そのときどきの「思潮」だ。
○思潮とは、物の見方や思想の傾向のことで、これがその時代の人びとを強くとらえ、社会や政治のしくみにも大きな力をおよぼすという。
○本書は、万葉集・古今和歌集ほか多くの古典文学を通して、「思潮」を浮き彫りにし、時代の全体像を探る。
1 国づくり 『古事記』と『魏志』倭人伝 
 一 国づくりの原型 
 二 国づくり神話 
 三 大和の国づくり 
 四 外来の王 
2 統合の仕掛け 『日本書紀』と『宋書』倭国伝 
 一 統治の構造 
 二 倭国平定の物語 
 三 倭の五王 
 四 擁立された王と統合の思潮 
3 文明化の動き 『日本書紀』と『万葉集』 
 一 文明化への初発 
 二 仏教伝来 
 三 文明化の象徴 
 四 文明化と国内改革 
4 制度の構築 『万葉集』と『懐風藻』 
 一 律令国家建設の歌声 
 二 律令の制定 
 三 制度化の進捗 
 四 制度化の到達と大仏開眼 
5 神仏習合の論理 『日本霊異記』と『続日本紀』 
 一 仏教信仰の深まり 
 二 神仏習合 
 三 習合の治世 
 四 習合の行方 
6 作法の形成 『伊勢物語』と『竹取物語』 
 一 宮廷社会の形成 
 二 宮廷文化の展開 
 三 社会文化の新段階 
 四 宮廷文化の達成と作法の思潮 
7 開発の広がり 『古今和歌集』と『今昔物語集』 
 一 大地変動と疫病 
 二 宮廷政治と文化の規範 
 三 富豪の輩と兵と 
 四 地方の反乱 
 五 開発の担い手とその思潮 
8 風景を描く、映す 『枕草子』と『源氏物語』 
 一 宮廷社会の裾野の広がり 
 二 自然と人を見つめる 
 三 道長と女房文学の輝き 
 四 浄土への信仰 
 五 風景の思潮 
ーーー
○ 一例をとり出そう。奈良時代に流行した「神仏習合」(神と仏の合祀ごうし)は、異質なもの同士を妥協・共存させようとする試みの典型。この「習合」の思潮が、土地の私的支配である荘園と公的支配である公領とが併存する構造を作ったと著者は見る。
○鎌倉時代以降の幕府と朝廷という二つの政体の並立もしかり。なるほど、思潮から読み解く歴史は、初めて登った山から見知った景色を改めてながめるみたいで新鮮だ。
○ 文学もまた歴史の目で読み解くことで、がぜん面白味が増す。『竹取物語』でかぐや姫に言い寄った貴公子がなぜ5人で、うち2人が皇族なのか。これは皇子2人、公家3の政治形態表す。なぜ姫が天に帰る前に天子(天皇)が出てくるのか。それは天上の帝と地上の帝の交流を意味する。
○ 歴史の幕あいに、おりおりの和歌・漢詩・物語などの文学作品がちりばめられた独特の叙述。文学の中に歴史の実景を見出みいだし、歴史の中に文学を置いてみる営みから、新しい日本史像が浮かび上がってくる。本書の範囲は弥生時代から平安時代までの主として古代。著者の専門である中世を扱う次作が楽しみだ。
 著者は五味文彦1946年、山梨県生まれ。放送大学教授。著書に『中世のことばと絵』『書物の中世史』など。
0人がいいねと言っています
 戻る次へ 
1
11ページ
関連記事

Slownetの公式SNSアカウントをチェック!

ボタンをタップしてフォローしてね!