【畔塗】
塗り了へて畦直なるに汽笛添ふ 　　　　　　野沢節子
畦を塗る曲るところをねんごろに 　　　　　清崎敏郎
畦を塗る鍬の光をかへしつゝ 　　　　　　　高浜虚子
畦塗つてほろりほろりと夕の雨 　　　　　　久保田 博
畦塗つて海の没日を大きくす 　　　　　　　本宮哲郎
畦塗りの一日かわく嶽の風　　　　　　　　 六角文夫
塗畦のきのふの光なくなりぬ　　　　　　　 大橋桜坡子
花過ぎし峡田の畦を塗る音か 　　　　　　　加藤楸邨
畦縫つて地の夕焼けを持ち帰る　　　　　　 楠本義雄
畔塗りの水がすぐ澄む山国は 　　　　　　　中根唯生
畦を塗り一枚の田を確かにす 　　　　　　　二村秀水
足許の入日を掻き寄せ畔を塗る　　　　　　 前西一尾