行く春や余白のままのカレンダー
行く春やカミュのペスト読み返し
行く春や湖水伝ひに母子像
行く春や五色の石を拾ふ浜
行く春や浜辺に寄する波の音
一筋の飛行機雲や春逝けり
奥能登や塗畦光る千枚田
畔塗つて我が影平らに鞣しけり
畦塗や遠くに鳥の声を聞く
畦塗りて星の散らばる水面かな
畦塗って遠くの峰に煙立つ
遣る気満ち人に頼らず畔を塗る
足音を聞き分けてゐる朝寝かな
大朝寝こむらがへりに起こさるる
朝寝して幼き頃の夢の中
昨日今日何事もなく朝寝かな
難題のヒントを得たる朝寝かな
目覚しを子守唄とし朝寝かな
紫はなみだの色よ勿忘草
孤独とは一人の夕餉忘れな草
校庭にオルガンの音や勿忘草
ひそと咲く勿忘草や雨静か
天女像拝観しての勿忘草
騎士像の視るに飽くなく勿忘草
仮の世に預けし余生花菜漬
普通てふことの幸せ花菜漬
花菜漬心行くまで酒を酌む
お茶漬の箸の進むや花菜漬

今週の句であなたの好きな句は（自句も可）？