【鱧】
いちにちを下京にゐる鱧茶漬 　　　　　　　橋本榮治
骨切りの年季の入りし鱧料理 　　　　　　　倉田白沙
友の死に堪へゆく鱧を食べにけり 　　　　　山田みづえ
大粒の雨が来さうよ鱧の皮 　　　　　　　　草間時彦
大阪の祭つぎつぎ鱧の味 　　　　　　　　　青木月斗
大阪を離るる気なし鱧料理　　　　　　　　 下村非文
水鱧や父との酒の舟畳　　　　　　　　　　 藤田あけ烏
竹の宿昼水鱧をきざみけり　　　　　　　　 松瀬青々
関東の男も多弁鱧ましろ 　　　　　　　　　宇多喜代子
青竹の林を抜けて祭鱧 　　　　　　　　　　大木あまり
鱧の皮きつてもきれぬ浪速つ子　　　　　　 小松弘枝
鱧の酢に文句をつけて堺の出　　　　　　　 伊藤白潮
下京や滾る湯くぐり鱧の咲く 　　　　　　　河合多美子