【立秋】
秋立つや川瀬にまじる風の音 　　　　飯田蛇笏
立秋や雲の上ゆく雲とほく 　　　　　鈴木真砂女
人声のうしろより来て秋立つか　　　 加藤楸邨
秋立つやこつこつと越す跨線橋　　　 大野林火
秋たつやはじかみ漬もすみきつて　　 来 山
秋立つや素湯香しき施薬院 　　　　　蕪 村
秋立や木づたふ雨の首筋に　　　　　 一 茶
そよりともせいで秋たつ事かいの　　 上島鬼貫
川半ばまで立秋の山の影　　　　　　 桂 信子
今朝秋に梁も高きに噛み合へる 　　　能村登四郎
今朝の秋海ゆく雲の限りなし　　　　 角川春樹
くれてゆくものに風そひ秋立ちぬ　　 長谷川双魚