【山眠る】
山眠りかけては大き音起つる 　　　　上田五千石
とぢし眼のうらにも山の眠りけり 　　木下夕爾
筑波嶺は夫婦ながらに眠りけり　　　 細川加賀
山眠るまばゆき鳥を放ちては 　　　　山田みづえ
奥へ奥へ夕日を送り山眠る　　　　　 大野林火
薄目せる山も混りて山眠る　　　　　 能村登四郎
夏も殷も周も滅びて山眠る 　　　　　角川春樹
山眠る星の投網を打つごとく　　　　 神蔵 器
撞くごとに違ふ鐘の音山眠る 　　　　鍵和田秞子
硝子戸にはんけちかわき山眠る　　　 久保田万太郎
炭竃に塗り込めし火や山眠る　　　　 松本たかし
浅間山空の左手に眠りけり 　　　　　石田波郷

明日の兼題は、「日向ぼこ」です。