01.語りかけ追想重ね墓拝む
02.山一つ踏み越えてゆく墓参
03.不器用を丸出しにして墓洗ふ
04.ふるさとの島山のぼる展墓かな
05.年ごとに辛き坂道墓参
06.迷ひ入るバスに蜻蛉や峠越え
07.湿原の川を束ねて鬼やんま
08.縄張りの棚田睥睨鬼やんま
09.清らかな瀬音を運ぶ川とんぼ
10.秋あかね空に止まりてをりにけり
11.故郷の山河を偲ぶ桐一葉
12.人の世の儚さ知るや桐一葉
13.桐一葉頑是ない子の独り言
14.桐一葉風に引導渡さるる
15.まさをなる空に穴あけ一葉落つ
16.山門を抜けて大師や萩揺れる
17.水音に合わせ揺れてる乱れ萩
18.萩揺れて光の粒と戯れり
19.水門は閉ぢしままなり乱れ萩
20.ひつそりと余生送るや萩の雨
21.墓参り萩がはらはら道遊ぶ
22.山門を入るよりすでに萩の寺
23.美しき萩の雨降る高台寺
24.名水を辿る旅路や秋の水
25.夕雲を山に返して水の秋
26.城壁の反り美しき水の秋
27.滔々と流れゆくなり秋の水
28.小魚の鱗煌めく秋の水