【水涸る】
池涸れて尚ほ青空を映しをり 　　　　波止影夫
池涸れて亀積むあそび亀がせり 　　　中原道夫
涸れ残りたる水鏡暮れ残り　　　　　 永田耕衣
水流の刃先ひらりと涸れゆけり 　　　山上樹実雄
昼の月でゝゐて水の涸れにけり 　　　久保田万太郎
大滝の涸れたる山のさびしさよ 　　　高浜虚子
ライターの火ポポポポと滝涸るる 　　秋元不死男
涸川に鳥たつ木曽の夕ぐれは　　　　 桂 信子
涸れし川わたる市電の音をたて 　　　小路智壽子
一橋脚さびし涸川もそこに鳴る　　　 大野林火
放蕩を尽せし滝の涸れにけり　　　　 大串 章
畦川の涸れてさだまる鮒釣場 　　　　水原秋桜子