【山椒の芽】
山椒の芽母に煮物の季節来る 　　　　　　古賀まり子
摺鉢は膝でおさへて山椒の芽 　　　　　　草間時彦
日もすがら機織る音の山椒の芽 　　　　　長谷川素逝
流刑地の今はつらつと山椒の芽 　　　　　佐藤ゆき子
一椀に木の芽のかをり山の音 　　　　　　長谷川 櫂
夕刊をとりて山椒の芽をとりて 　　　　　高野富士子
まだ匂ひ放たぬ小さき山椒の芽 　　　　　官田節子
寺の水飲めば山椒の芽が匂ふ 　　　　　　青柳志解樹
山椒の芽摘むや山椒の香にまみれ　　　　 畠山譲二
朝夕に摘む一本の山椒の芽 　　　　　　　上村占魚
雨の音確かになりぬ山椒の芽 　　　　　　吉田秋女
何にでも添ふる山椒の芽を摘んで 　　　　稲畑汀子