【湯豆腐】
湯豆腐やいのちのはてのうすあかり 　　久保田万太郎
湯豆腐や障子の外の隅田川　　　　　　 庄司瓦全
湯豆腐や雪になりつつ宵の雨 　　　　　松根東洋城
湯豆腐や男の歎ききくことも 　　　　　鈴木真砂女
湯豆腐や若狭へ抜ける京の雨 　　　　　角川春樹
湯豆腐の一つ崩れずをはりまで 　　　　水原秋櫻子
湯豆腐にうつくしき火の廻りけり　　　 萩原麦草
湯豆腐や和み始めし郷ことば 　　　　　西村美枝
湯豆腐や支那海の闇底知れず 　　　　　中村孝一
湯豆腐や軒まで充つる夜の靄 　　　　　長谷川かな女
湯どうふやはぐらかされて話やみ　　　 西村和子
湯豆腐や清濁の濁増やしつつ 　　　　　伊藤伊那男

明日の兼題は、「年の暮」です。