【桃の花】
海女とても陸こそよけれ桃の花 　　　高浜虚子
葛飾や桃の籬も水田べり 　　　　　　水原秋櫻子
野に出れば人みなやさし桃の花 　　　高野素十
ふだん着でふだんの心桃の花 　　　　細見綾子
大いなる月の出でゐし桃の花　　　　 岸風三樓
伊豆の海紺さすときに桃の花 　　　　澤木欣一
緋桃咲く何に汲みても水光り 　　　　岡本 眸
山国の一村一寺桃の花 　　　　　　　木附沢麦青
故郷はいとこの多し桃の花 　　　　　正岡子規
降り足りし空の紺青桃の花 　　　　　村田 ：；脩
アルプスを遥かにも桃の花ざかり 　　清水稔子
桃咲くや嫁す日も父は酒臭し 　　　　伊藤伊那男