1. 養花天軒低くして蘆花旧居
2. 折鶴のすぐ傾ぐ癖養花天
3. 養花天ホ－ルインワンに咲く笑顔
4. 庭下駄の鼻緒の湿り養花天
5. 鶏小屋の金網古し養花天
6. 遠足の園児離さぬ教師の手
7. 遠足の声の吹き飛ぶ岬径
8. 遠足の声が波間に九十九里
9. 遠足の弁当狙ふ鳶ふた羽
10. 遠足の列がやがやとバスを待つ
11. 遠足の早や昼時や塩むすび
12. 菜畑を絨毯にして桃の花
13. 笛吹川を見下ろす丘辺桃の花
14. 桃の花ふと来年のこと思う
15. 桃の花新居をさがす親と子
16. 川風に枝の揺るるや桃の花
17. 縁側で将棋を指すや桃の花
18. 花冷やことさらに照る池の面
19. 花冷や灯ともす頃の先斗町
20. 花冷えや延長戦の泣き笑ひ
21. 花冷えや引っ越し便に託す夢
22. 花冷や賑はひみせる喫茶店
23. うどん屋の看板目立つ花の冷え
24. 砂浜の足跡深し夕遍路
25. 笠とれば面輪やさしき女遍路
26. 葬儀には遍路さまの杖白き
27. 遍路道にわが影伸びて急き立てる
28. 四万十の沈下橋ゆく遍路かな
29. 結願や高野に詣で遍路宿
30. 杖を手に同行二人遍路かな
31. 鼻唄で湯船につかる遍路かな