【清和】
振子時計襟を正せる清和かな 　　能村研三
天清和なり大伽藍落慶す　　　　 　　大橋敦子
遠筑波遠富士の見え清和かな 　　竹内喜代子
清和なるモネの光となりゐたり 　　本田俊子
水分のことにまぶしき清和かな 　　佐藤博美
神紋の梶の木たたへ清和人 　　小澤克己
川音の空へ抜け行く清和かな 　　若島久清
阿修羅像の背ナ美しき清和かな 　　宮崎裕子
床の間の軸掛け替へる清和かな　 　　佐藤静子
膳まはり青味の増ゆる清和かな 　　中山皓雪
灌漑の水のゆたけき清和かな 　　近昌夫
ベランダに雀来てゐる清和かな　　　　田所節子
参道に鹿の声ある清和かな 　　田中道江