1. 夕闇に映る篝火鵜飼舟
2. 鵜舟去りあたりは元の静寂かな
3. 篝火に笑みを浮かべる鵜匠かな
4. どう見ても鵜縄一本怠けをリ
5. 疲鵜に滴る水の重さかな
6. 浴衣着てそぞろ歩きの夜の街
7. 寝て起きて流浪の旅や宿浴衣
8. 湯めぐりや下駄からころと宿浴衣
9. 大中の間が欲しき宿浴衣
10. ゆるやかに着ても糊効く宿浴衣
11. 滴りや風の道行く山の神
12. 岩の苔ふくらませては滴れり
13. 滴りや山の心音聞くごとく
14. 滴りの音を静かに聞きをりぬ
15. 滴りの一滴づつが身に沁むる
16. 大鮑魚拓の墨を塗られをリ
17. 部屋食に主来て焼く鮑かな
18. 朝市の戸板に並ぶ初鮑
19. 夕日浴び岩礁に立つ鮑海女
20. 店頭に鮑の殻の細工物
21. 竹寺に筍料理食べ行かな
22. 名人の後ろから行く筍堀り
23. 筍を掘る裏山に薄日差す
24. たかんなを茹でて味噌つけ頬張れり
25. 老ひてなほ筍掘って乾杯す