【寒鯉】
寒鯉の一擲したる力かな　　　　　　　 高濱虚子
寒鯉の色あつまつてなほ淡し 　　　　　古舘曹人
寒鯉はしづかなるかな鰭を垂れ 　　　　水原秋櫻子
寒鯉の雲のごとくにしづもれる 　　　　山口青邨
寒の鯉金輪際をうごかざる 　　　　　　川端茅舎
寒鯉のそよぎに水の応へざる 　　　　　上田五千石
山動くかに寒鯉の動きけり 　　　　　　藤崎久を
寒鯉の深く沈みて石となる 　　　　　　河野南畦
寒鯉の金鐶の眼を嵌めにけり　　　　　 福田蓼汀
寒鯉のごつとぶつかり煙るかな　　　　 小島 健
冬の鯉日ごとに不動たらむとす　　　　 大串 章
別の桶にも寒鯉の水しぶき 　　　　　　飯田龍太

明日は、「今週の俳句」です。