メニュー
ゲストさん

読書室

詩。短歌。俳句。連歌。連句。

麦秋さん
トピック作成者:麦秋 さん
2016.1.29
詩。短歌。俳句。連歌。連句。
書き込み
 戻る次へ 
1
11ページ
8
麦秋さん
2017.1.18 17:23
「一茶と良寛と芭蕉 相馬御風」を読む。
○ この本は70余年も読みつがれた不朽の名著の新版だ。初めて新仮名づかいにするとともに、難しい漢詩や手紙文の一部には読み下し文や現代語訳をつけて、若い読者の方々にも読みやすくなって刊行された。
○ 一茶と良寛と芭蕉は共に漂泊の詩人だ。
良寛は越後の禅僧と知られるが意外に修行時代に放浪の旅をしているのだ。
良寛には純真無垢な若い女性の弟子「寿心尼」がいた。良寛70歳、寿心尼29歳の出会いの師弟であった。二人はほのぼのとした心の通う和歌の師弟であった。
「君にかくあひみることのうれしさもまださめやらぬ夢かとぞおもふ 貞心」  
「夢の世にかつまどろみて夢を又かたるも夢もせれがまにまに 良寛」
まるで恋の贈答歌のようで心が和む。
○ 芭蕉は「閑寂を味わい抜いた俳人だ。」
芭蕉には若い頃「寿貞尼」と言う恋人がいた。
芭蕉は寿貞尼が亡くなった時の俳句
「数ならぬ身となおもひそ魂祭  芭蕉
○一茶は故郷に住む事が出来なくなって漂泊した。しかし彼の漂泊があってこそ後世に残る俳句が出来た。
一茶は50歳で信州故郷の柏原に戻り嫁を貰う。
一茶は、28歳の嫁迎えた。一茶の人生の春であった。
「ともかくもあなたまかせの年の暮 一茶」
0人がいいねと言っています
7
麦秋さん
2017.1.13 2:39
「俳句で綴る変哲半生記 小沢昭一」を楽しく読む。
内容は小沢昭一さん(俳号 変哲)の俳句集です。
俳句も良い。亦俳句よりも章の間の小文も味があります。
小沢昭一さんはやはり「語りの人」だ。
造本も結構です。四六横。表紙の柔らかさも適度ですし、開きもいいです。
気に入った句少し紹介。

春めくやお稲荷さんの鈴の音
もう余録どうでもいいぜ法師蝉
スナックに煮凝のあるママの過去
志ん生忌猫の眠りの深さかな
らしゃめんの幻さむし明治村
寒月や地下鉄工事秋田辯
またこの背広されど颯爽と神無月の朝
春の夜のエプロンをとるしぐさ哉
ゆく年や下駄からからとポストまで
寒月やさて行く末の丁と半
0人がいいねと言っています
6
麦秋さん
2016.12.27 20:15
「短歌を詠む科学者たち 松村由利子」を読む。
優れた科学者には素晴らしい歌人が数多く存在する。最先端の研究に従事する科学者が、千数百年も長らえてきた小さな詩型に自らの思いを載せるとき、言葉は不思議な輝きを放つ。折々に歌を詠み続けた7人の科学者の生涯をたどりながら、その歌ごころと研究の歩み、両面に迫る。

各科学者の短歌一首を紹介する。
○理論物理ノーベル賞受賞学者の歌ごころ――湯川秀樹の場合
「逝く水の流れの底の美しき小石に似たる思ひ出もあり」
○精神科医の日常の深みから――斎藤茂吉の場合
「一とせの悲喜こもごもを過去として葡萄の酒を今こそは飲め」
○生命科学者を支えた歌――柳澤桂子の場合
「失ひしわれの乳房に似し丘あり冬は枯れたる花が飾らむ」
○ 物理の世界から科学ジャーナリストへ――石原純の場合
「美しき数式があまたならびたりその尊とさになみだ滲みぬ」
○ 細胞のふるまいと歌の狭間に――永田和宏の場合
「噴水のむこうのきみに夕焼けをかえさんとしてわれはくさはら」
○ パリで詠み続けた女性物理学者――湯浅年子の場合
「幾年をのぞみし国に吾は来ぬ巴里は近し走りてゆかな」
○ コンピュータの未来と短歌――坂井修一の場合
「しんかんと異境の河童見えざるをわれは愚直の記憶たもてよ」
0人がいいねと言っています
5
麦秋さん
2016.12.8 20:01
「面白くてよくわかる!万葉集 根本浩」を楽しく読む。
○ 万葉集には、天皇から関東地方の農民まで、いろんな立場の人が詠んだ歌が収められている。
この本は古代史とその時代に生きた歌人を明らかにする。
○ 万葉集を読む事により古代の日本人の息づかいに接する事ができる。
人を恋しく思う気持ちは今と昔で変わらないばかりか、皇族も庶民も変わりない。
古代人の中の同じ気持ちを味わえるのが、万葉集を開く醍醐味だ。
和歌は短い言葉にたくさんの意味を込めているので、その世界を「万葉集初心者」が十分に味わうにはある程度のガイドが必要です。本書で豊かな万葉集の世界の扉をどうぞ開けてみよう。
○ 代表的な和歌を挙げよう。
「茜さす紫野行き標野(しめの)行き野守は見ずや君が袖振る  額田王」
「東(ひむがし)の野にに炎(かぎろひ)の立つ見えてかへり見すれば月傾(かたぶ)きぬ 柿本人麻呂」
「新しき年の始めの初春の今日降る雪のいや重(し)け吉事(よごと)  大伴家持」
0人がいいねと言っています
4
麦秋さん
2016.11.2 8:03
「俳人杉田久女の世界 湯本明子」を読む。
大正から昭和にかけての女性の文芸活動の制約の中で、純粋に文芸にかけた孤高の天才俳人杉田久女(1890~1946年)の波瀾に富んだ生涯を描く。 
○ 芸術家は残した作品によってのみ冷厳に評価される。ならば杉田久女は最高の俳人である。
○杉田久女の俳句
花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ
紫陽花に秋冷いたる信濃かな
朝顔や濁り初めたる市の空
谺して山ほととぎすほしいまゝ
○ 杉田久女は、鹿児島県出身の俳人。本名は杉田 久。高浜虚子に師事。長谷川かな女、竹下しづの女などとともに、近代俳句における最初期の女性俳人である。
○久女は格調の高さと華やかさのある句で知られた。俳句に熱中するが故に家庭内の不和、俳句の師である高浜虚子を極めて敬愛する。しかし久女と距離を置きたい虚子との確執など、その人生は悲劇的であった。
久女の高浜虚子を慕う思い。「虚子留守の鎌倉に来て春惜む」
久女の夫宇内に対する思い。「足袋つぐやノラともならず教師妻」


0人がいいねと言っています
3
麦秋さん
2016.2.8 4:33
「芭蕉にひらかれた俳諧の女性史 別所真紀子」を読む。
著者は現代の連句師だ。俳諧は連句の最初の句、発句を意味する言葉から始まった。
私もある連句会に参加しているので興味深くこの本を読みました。
著者は芭蕉に関わりのある女流俳人について概観している。更に広く江戸時代全体のの女流俳人についても筆を加えている。随分時間を要する読書だった。
芭蕉の哀切な悼句に秘められた初恋の寿貞への想い。若き日の芭蕉と寿貞。「数ならぬ身とな思ひそ玉まつり」の哀切な悼句を手向けられた寿貞は如何に。
世捨人と思われている芭蕉にもささやかな恋があったのだ。
 「ちり椿」と題した作品は芭蕉の撰集「猿蓑」編纂に際して協力した野沢凡兆の妻、羽紅の、芭蕉に 対する無償の愛を描く。羽紅は落飾して芭蕉に尽くすのだ。 
 芭蕉が羽紅 にあてた感激的ないい手紙が芭蕉書簡集に残っている。
加賀の千代女は芭蕉没後の伝説の女流俳人である。「朝顔につるべとられて貰ひ水」「枯野ゆく人は小さう見ゆるまで」




0人がいいねと言っています
2
みはまさん
2016.2.4 11:19
>>[1] 麦秋 さん
又吉さんの小説を読みました、しっかりした文体で、中身も素晴らしく、流石芥川賞作品だと思いました、次の小説を期待しています
0人がいいねと言っています
1
麦秋さん
2016.1.29 8:18
「芸人と俳人 又吉直樹 × 堀本裕樹」を読む。
皆さんご承知のように又吉直樹さんはお笑い芸人であり、芥川賞作家だ。
俳人堀本裕樹さんが 又吉直樹さんに俳句の手ほどきする異色の 俳句入門講座だ。
またこの本は二人の文学者の対談集でもある。
私たちも又吉直樹さんと 共に俳句を学ぶのも結構ではありませんか。
○ 堀本裕樹さんは教える。俳句における「取り合わせ」について、「本来関係ない二つの言葉」が一句の中に入ると、詩的作用を生み出す。これを「二物衝撃」という言う。
○この本自体が、まさに、その「衝撃」なのだ。
「芸人」と「俳人」という二物の衝撃なのだ。
○俳句は季節をうたう詩だ。歳時記に親しもう。
○ 句会から吟行へと講義は移り、鎌倉の寺巡りをしつつ、又吉さんはつぶやく。「花に限らず、後ろ姿や何かの裏側を見るのって、僕、めっちゃ好きなんですけど、あれってなんでおもろいんでしょうね。」
堀本さんはいう。「僕は今日、又吉さんの後ろ姿をよく見ましたよ。」
「蒲公英や行けなくなった喫茶店 又吉直樹」
「血脈の讃美歌ひびく霜夜かな 又吉直樹」
みはま 1人がいいねと言っています
 戻る次へ 
1
11ページ
関連記事

Slownetの公式SNSアカウントをチェック!

ボタンをタップしてフォローしてね!